未知の先にある道。

京都大学助教

有馬 祐介

写真は京都大学助教 有馬 祐介さん

ときどき、通勤時間がもっと長ければと思うことがある。自宅と研究所を電車で行き来する、片道40分の時間。それが、じっくり思考を巡らすことができる数少ない時間だったから。考えがまとまる前に、降りる駅に着いてしまうときが、もどかしかった。
有馬祐介。大学のときから一貫して、高分子というプラスチックなどの材料の研究に携わってきた彼は、医療にもっと関わるために現在の研究所にやってきた。「いま取り組んでいることのひとつが、体と触れる材料、つまり、細胞などと触れる材料の研究です」。たとえば、再生医療をはじめ、病気の原因解明、創薬など、さまざまな可能性を持つiPS細胞。研究には多くの細胞の培養が必要になるが、他と比べ扱いが難しいこの細胞を培養するには、どんな素材の器がいいのか。シャーレの材料やコーティング方法を変えることで、うまく接着させたり、分化を防いだり。iPS細胞の研究を、もっと効率的に行うための研究を行っている。
「体と触れる材料というのは難しいです。体にはまだ分からないことが多いですから」。しかしそれは大きな喜びでもある。「研究をして、他の人が知らないことが分かる。それが、楽しいんです。求める性能を持つ材料を探して、考えて、考えて。それを実験して、確かめて。思い通りにいくことは、5%いけばいい方だと思いますが、うまくいったとき『そういうことか』ってじわじわ分かる感じが楽しいですね」。そうして蓄積した知識を、これからはアウトプットすることに力を入れたい。研究者の材料に関するさまざまな要求に応える、いわゆる材料のコンサルタントになるのが彼の目標だ。
世界中から注目が集まるiPS細胞の研究。ニュースなどで取り上げられることも多いが、そのたびに思うことがある。「僕がやらないといけないのは、そういう報道には出ていないことなんだって」。まだ、誰も知らないことを知りたくて。彼がめざすものは、いつも未知なるものの先にある。

写真は京都大学助教 有馬 祐介さん

有馬 祐介

京都大学助教。大学のときから高分子化学を専攻、博士課程から医用材料研究に関わるように。趣味は、フットサル。

【先端の研究を自動化で支えるパナソニック】

熟練者の培養技術を再現する自動培養装置が、研究者の負担を減らし、再生医療や創薬など、iPS細胞の研究に貢献します。