毎日の笑顔がつくるパン。

パン職人

黄 聖安

写真はパン職人の黄 聖安さん

日本に来たのは19歳のときだった。マンガやゲームが好きで、子どものころからあこがれていた国。したいことがあったというよりも、生まれ育った上海を離れて自立したかった。イタリアンでバイトをはじめたのも、自分でごはんをつくれるようになりたかったから。だけどその店のスイーツを食べたとき、心の中になにかが生まれた。「人ってこんなにおいしいものつくれるんだ」。それからケーキ屋とか和食とか、興味のあった飲食の仕事をいろいろやってみた。そしてパン屋で働くようになったとき「見つけた」と思った。
黄聖安(コウ・セイアン)が、パン職人になって5年。いまでは、製造の責任者を任されている。「パンは奥が深いです」。水と小麦粉と塩だけでつくる本物のパンは、毎日ちゃんと手をかけないと言うことを聞いてくれない。同じようにつくっていても、室温や湿度、生地をつくる人とか、ちょっとしたことで、毎日違う表情で焼き上がってくる。「つくっている人の気持ちによって変わることもあります。焦っているときは、そんな表情のパンになってしまうんです」。だから常にパンの状態を確かめながら、集中して、丁寧に。丁寧に。パンづくりはいまでも難しくて、おもしろくてしょうがないから、四六時中どうしたらもっとおいしくなるんだろうって考えている。
「つぎはどんなパンをつくろうか」。新作を考えるときは、お店にいらっしゃるこの街の人たちのことを思い浮かべる。おしゃべりが好きなお母さんや、よく笑う元気な子どもたち、休日のたびに来てくださるオシャレなご夫婦…。その人たちが笑顔になるパンにしようと思うから、やわらかくて甘いパンや他では食べられない食材をつかったパンが自然と多くなる。自分がつくるパンの味は、この街で毎日出会う人たちがつくってくれているのかもって思ったりもする。
窯を開けると、焼きたてのパンの香りがひろがった。うん大丈夫。どれも気持ちよさそうな表情をしている。それは新しい一日のはじまりを喜んでいるようにも見えた。

写真はパン職人の黄 聖安さん

黄 聖安

上海出身。現在、「パンとエスプレッソと湘南と」の製造責任者を務める。つくるのがいちばん好きなパンはカンパーニュ。

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