誰もが安心して観戦できるスタジアムに

~顔認証システム~

一部の白熱したファンによる迷惑行為のせいで、他のファンや家族連れが安心して観戦できない。そんな課題を抱えていたデンマークのサッカースタジアムに、2019年夏、パナソニックの顔認証システムが導入されました。従来は、スタッフが目視で行っていた要注意人物の割り出しを高精度なシステムに託すことで、誰もが安心・安全に観戦を楽しめるスタジアム運営を実現しました。

ブレンビーIF(Brøndby IF)は、デンマークのプロサッカーリーグ、スーペルリーガのサッカークラブです。パナソニックは、このクラブのホームスタジアムである「ブレンビーIF スタジアム」に、同国スタジアムで初となるディープラーニング顔認証システム「FacePRO」を納入しました。

このシステムは、当社の60年以上にわたるセキュリティシステム、30年に及ぶ画像センシングの技術と知見をベースとしたもので、「顔ベストショット」搭載のセキュリティカメラと、高精度ディープラーニングによる「FacePRO」顔認証ソフトウェアから構成されています。

要注意人物 イメージ

「ブレンビーIF スタジアム」の来場者は、1試合につき平均約1万4千人。対して、要注意人物リストに登録されている人物は約100人にものぼり、従来はセキュリティスタッフが目視によって当該人物の入場を防ごうとしていました。しかし人の目だよりではどうしても限界があり、時にサングラスなどで変装して入場を試みようとする彼らを判別しシャットアウトするのは困難でした。この課題を受けたパナソニックは、同スタジアムのニーズに対応する顔認証システムを約2年の歳月をかけて実現。要注意人物をシステムが照合すると、監視室からセキュリティスタッフの端末にメッセージを送信。システムと人の二重チェック体制による強固なガード体制を確立しました。

動画のキャプチャ画像「監視室からセキュリティスタッフの端末にメッセージを送信し、要注意人物の入場を食い止める」

今回のシステムでは、撮影を行うカメラと、カメラから送られてくる顔画像を解析するソフトウェアの双方に、当社独自の技術が採用されています。

カメラ側では、「顔ベストショット」の機能を活かし、周囲の明るさが足りない状況でも最適な撮像モードで自動撮影。得られた同一人物の複数の顔写真の中から、顔認証に適したデータのみを厳選しサーバーに送っています。これによってネットワークに過大な負荷をかけずに大量のデータを処理することができ、システム全体のコスト削減にも貢献しました。

顔認証に適した画像のみサーバーに送信

図版「カメラで撮影した画像の中から顔認証に適した画像のみサーバーに送信することでサーバーへの低負荷を実現」

一方、ソフトウェア側での顔画像の解析では、世界最高水準(※)の認証性能を達成。明暗が極端になりがちな屋外や、顔の向きが左右45度、上下30度などの「斜め顔」になっている場合、さらには経年による顔の変化(10年分相当)、サングラスやマスクなどによる部分隠蔽など、人間の目でも判別が難しいシチュエーションでも精度の高い照合が可能です。

ディープラーニングによる世界最高水準(※)の認証性能

図版「ディープラーニングによる顔の特徴数値化のイメージ」

さまざまな条件に対応可能

図版「斜め顔、サングラスやマスクなどによる部分隠蔽、経年による顔の変化(10年分相当)など、さまざまな条件において精度の高い照合が可能」

※ 2017年5月9日現在、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)公式の評価レポート:https://www.nist.gov/programs-projects/face-challenges (The IJB-A Face Verification Challenge Performance Report、The IJB-A Face Identification Challenge Performance Report)における評価点において。なお、本技術について論文として公開しています。 https://arxiv.org/abs/1704.00438

動画のキャプチャ画像「GDPRに対応し、要注意人物リストに存在しない人の収録イメージやデータは、選別後、速やかに削除」

大勢のお客様が集まるスタジアムで大量の撮影データを扱うにあたって、もうひとつ避けて通れない課題が、EU域内の個人データの保護を規定するGDPR(EU一般データ保護規則)(※2)への対応でした。ブレンビーIFとも綿密な打ち合わせを繰り返し、要注意人物リストに存在しない人の収録イメージやデータは、選別後、速やかに削除する仕組みを構築し、一方、登録されている要注意人物リスト自体もインターネットや外部システムから遮断されたサーバーに保存することで、情報漏洩のリスクを抑止しています。

※2 GDPR(General Data Protection Regulation):
欧州議会・欧州理事会および欧州委員会が欧州連合内の全ての個人のためにデータ保護を強化し統合することを意図している規則。個人情報の処理と移転について広範かつ厳格な規定が設けられています。

本システムの導入によって、「ブレンビーIF スタジアム」は、誰もが楽しく観戦を楽しめる、より安心・安全なスタジアムとなりました。また、セキュリティスタッフの負担軽減によって、入場支援など一般ファンへのサービス向上にもつながっています。

今後もパナソニックは、顔認証システムを公共施設の監視、入場管理・出入国管理など、さまざまなソリューションへの応用に取り組み、より安心・安全な社会の実現に貢献していきます。

動画のキャプチャ画像「より安心・安全になったスタジアムで元気よく応援する子ども」
パナソニックのブランドスローガン「A Better Life, A Better World」