空気の質が与える安心感
「ジアイーノ」による介護の付加価値とは?

この記事を要約すると

  • パナソニックが提供する空間除菌脱臭機「ジアイーノ」は、次亜塩素酸で室内を除菌・脱臭
  • 医療機関、学校、保育施設、介護施設などの業務用途に加え、家庭用でも高い評価を得ている
  • 有人環境で利用することを前提としただけに、安全・安心の設計になっていることもポイント
  • 導入済みの介護施設の評価、パナソニック担当者によるジアイーノに込めた思いを聞いた

次亜塩素酸で空気を除菌・脱臭するパナソニックの「ジアイーノ」は、医療・介護・教育などの施設に導入され、“きれいな空気”を届けることに貢献してきた。導入施設である埼玉県所沢市の「健康倶楽部 むさし野の森」を訪れ、「ジアイーノ」がグループホーム入居者や職員の日常をどのように変えたのか、そしてパナソニック担当者による「ジアイーノ」に込めた思いを聞いた。

名古屋大学未来社会創造機構客員教授 元名古屋大学産学官連携推進本部特任教授 元ImPACTプログラム・マネージャー 宮田 令子 氏

名古屋大学未来社会創造機構客員教授
元名古屋大学産学官連携推進本部特任教授
元ImPACTプログラム・マネージャー

宮田 令子 氏

1982年入社の東レ株式会社では、一貫して研究開発に従事。事業化・研究マネージメントを経験。日本生物工学会技術賞受賞。名大では、異分野融合領域の産学官連携共同研究等マネージメントに従事。2014年~2019年にかけ内閣府 革新的研究開発推進プログラムImPACTにてプロジェクトマネージャーとして参画。超微量物質多項目同時センシングシステムの実用化に向けたプロジェクトを主導した。

介護施設は居住、療養の空間でありますが、日々の生活行動の中で目に見えないにおいや微粒子(PM2.5、PM0.1、ウイルス、細菌など)はヒトの動きとともに移動、拡散をします。個人の空間と多くの人が行き来する共有空間が併存する「介護施設」においては、特に衛生面で安心、安全、快適な環境を保つことが強く求められます。昨今の事情を鑑み、今後さらに今回の事例のような取り組みの深化が求められていくと思います。

空気が気になる場所にジアイーノあり

ニューノーマル時代を迎え、浮遊する“空気の質”(空質)にも注目が集まる。空質の向上に貢献するテクノロジーの1つが、パナソニックが提供する空間除菌脱臭機「ジアイーノ」である。

独自開発の技術により塩と水を電気分解し、次亜塩素酸水溶液を自動生成。機器の運転中は、次亜塩素酸で室内を除菌・脱臭する。第三者の各機関で菌・ウイルス、ニオイに対する抑制効果が明らかにされているのも心強い。

ジアイーノとは 塩+水→電気分解→次亜塩素酸(水) 高い除菌力 高い脱臭力 高い安全性を実現 ジアイーノは(1)次亜塩素酸を自動生成 (2)次亜塩素酸で室内を除菌・脱臭 (3)常に次亜塩素酸を生成しているから効力持続

「ジアイーノ」は独自の技術により常に優れた効力を発揮する

パナソニックでは1987年から次亜塩素酸技術に取り組んできた。歴史を重ねるにつれて空気中の浮遊菌除菌・脱臭に効く空間浮遊物浄化技術、付着菌を除菌する揮発・拡散技術を確立し、あわせて機器のコンパクト化にも磨きをかけた。これらの進化を盛り込み、2013年には医療機関、学校、保育施設、介護施設などを主なターゲットとした業務用「ジアイーノ」、そして2017年には家庭用「ジアイーノ」を発売した。

埼玉県所沢市にある「健康倶楽部 むさし野の森」は、早くから「ジアイーノ」を導入した介護施設だ。新潟県を拠点とする苗場福祉会が運営する同施設は、2014年4月に開設。所在地の所沢市三ケ島エリアでは初となる地域密着型のサービス事業所であり、1階が小規模多機能、2階がグループホームから成る。さらに「特別養護老人ホーム ケアカレッジ」を隣接している。

健康倶楽部 むさし野の森。グループホーム入居者の方々が作成した綿棒アートが飾られている

健康倶楽部 むさし野の森。グループホーム入居者の方々が作成した綿棒アートが飾られている

「ジアイーノ」は生活環境を整える付加価値

健康倶楽部 むさし野の森が「ジアイーノ」を導入したのは開設から8カ月を経た2014年12月のこと。導入に際して各メーカーを比較検討したが、施設長を務める宮寺裕子氏は「安心できるブランド力が決め手になった」という。

社会福祉法人 苗場福祉会 健康倶楽部 むさし野の森 施設長 宮寺 裕子 氏

社会福祉法人 苗場福祉会
健康倶楽部 むさし野の森
施設長
宮寺 裕子 氏

また、グループホームの職員は若年層のみならずシニア層も多いことから、操作や手入れが簡単な点も重視した。「手間もかからず、職員誰もがすぐに対応できるのがメリット。パナソニック担当者の方には機器の取り扱い等、とても丁寧に分かり易く説明していただきました」(宮寺氏)。

現在、グループホームのユニット(共同生活の単位)の共有スペースに各1台ずつ、合計2台を置く。グループホームは入居型施設のため、日常的に職員と入居者のユニット間の往来が発生する。加えて家族、見学者、往診の医師など外部からの出入りも多いために設置した。

グループホーム内に設置される「ジアイーノ」

グループホーム内に設置される「ジアイーノ」

「衛生管理の面で、やはり安心感が違います。職員も『これがあるから安心して働けます』と話してくれます」(宮寺氏)

もう1つ、「ジアイーノ」の特徴には強力な脱臭効果がある。グループホームでは生活の一環として、キッチンで職員と入居者が一緒に食事を作っている。「夏場などはごみのニオイが目の前の共有スペースに時折こもってしまうことがありました。しかし、『ジアイーノ』導入後は、不快なニオイはなくなり、それでいてお料理の美味しそうな匂いは消えず共有スペースに立ち込めています。それも『ジアイーノ』の効果なのかもしれません。今では、お客様と職員が快適な生活空間で食事を楽しめるようになりました」と宮寺氏は話す。介護施設にとって共通の課題でもある排泄のニオイに関しても同様の効果をもたらした。

「排泄の際、ニオイはどうしても残ってしまいますが、比較的短時間でニオイが解消されます。これは職員も実感しています。お客様にとって居心地の良い生活環境を提供する点でも、『ジアイーノ』の脱臭効果は大きな役割を果たしています。」(宮寺氏)

名古屋大学未来社会創造機構客員教授 元名古屋大学産学官連携推進本部特任教授 元ImPACTプログラム・マネージャー 宮田 令子 氏

個人の空間、共有空間がある「介護施設」において、衛生面、安全面での安心を感じられるように、介護する側、される側が安心して過ごせるよう“空間を清潔にする”というコンセプトでの取り組みだと思います。今回の「ジアイ―ノ」設置における取り組みは、科学的根拠に基づいて、ウイルスや細菌などを除去するだけでなく、不快なにおいも消すことを可能としています。また入居者や職員の方々もその効果を実感していることが大きなポイントであると思います。今後ますます、これらの状況が実用的に施設内で“見える化”できることを期待しています。

これらの実績を踏まえ、健康倶楽部 むさし野の森では小規模多機能にひと回り大きな「ジアイーノ」を設置することに決めた。こちらは「通い」が中心の介護サービスのため、グループホーム以上に不特定多数の人が出入りするからだ。

「『ジアイーノ』はある意味、生活環境を整える付加価値ではないでしょうか。『ジアイーノ』で施設のお客様に安心できる生活空間を提供し、今後も地域の皆様が安心してご利用いただける施設をめざしていきたいと思っています」(宮寺氏)

現在、苗場福祉会全体では20台以上の「ジアイーノ」を導入しており、今日も元気に“きれいな空気”を利用者に提供している。また宮寺氏が所沢市のグループホーム管理者会議で「ジアイーノ」の効果を紹介したところ、導入に至った施設もあったという。利用者の体感による口コミが「ジアイーノ」の普及に一役買っているようだ。

「むさし野の森」でのレクリエーションの様子

「むさし野の森」でのレクリエーションの様子

空気の質の向上は、まだまだ開拓の余地がある

次亜塩素酸はプールの除菌、水道水の浄化、食品の洗浄などに利用され、安全・安心であることが証明されている。

「ジアイーノ」は次亜塩素酸を機器の内部で生成し、吹き出す構造を特長とする。パナソニック エコシステムズの井浦嘉和氏は「『ジアイーノ』で利用するのは食塩と水道水。そもそも使っているものが安全ですし、電気分解して生成する成分も安全。有人空間で使用していただくことを前提に設計しておりますので、安心してお使いいただける技術、製品になっています」と語る。

名古屋大学未来社会創造機構客員教授 元名古屋大学産学官連携推進本部特任教授 元ImPACTプログラム・マネージャー 宮田 令子 氏

強力な酸化力を有する次亜塩素酸を、安全に取り扱える塩と水から手軽に発生させる「ジアイーノ」の空気浄化技術を基に、より安全に空気中の臭いや菌・ウイルスを酸化して抑制するというコンセプトを効果的に実現しています。家庭でも使えるようにコンパクト化した技術もパナソニックの得意分野と言えるでしょう。「ジアイーノ」の空気浄化技術は特に菌・ウイルスに注意が必要なだけでなく、排泄介助のニオイや生ごみのニオイが出る介護施設では有用な技術と言えます。

パナソニック エコシステムズ IAQビジネスユニット ジア戦略PJ 戦略推進担当 主幹 井浦 嘉和 氏

パナソニック エコシステムズ
IAQビジネスユニット
ジア戦略PJ 戦略推進担当
主幹
井浦 嘉和 氏

「ジアイーノ」の仕組みを改めて見ていこう。まず、水道水と塩タブレットで作った食塩水を電気分解して次亜塩素酸を生成する。生成した次亜塩素酸水溶液をロール状のフィルターに含浸させて除菌フィルターとし、外部から取り込んだ汚れた室内の空気を除菌・脱臭。吹き出し口からは揮発した次亜塩素酸を放出し、空間で付着している菌・ウイルスを抑制する。言わば「取り込んで吹き出す」一連の流れを循環することで除菌・脱臭作用を行なう。

「次亜塩素酸の成分は酸化作用をもたらします。酸化作用によって菌・ウイルスから電子を奪い、抑制していくのが特徴です。ニオイ成分に関しては次亜塩素酸水溶液に臭気が溶け込んで分解するので、通常の空気清浄機とは体感レベルがまったく異なります。これらの効果が介護施設などでとても喜ばれています」(井浦氏)

空気清浄機 主な用途:集じん/除菌方法 空間に浮遊している菌:集じんフィルターによるろ過、ドアノブ等に付着している菌:-、ジアイーノ 主な用途:除菌・脱臭/除菌方法 空間に浮遊している菌:次亜塩素酸(水)で空気を洗浄、ドアノブ等に付着している菌:発揮した次亜塩素酸で除菌

空気清浄機と「ジアイーノ」の比較。期待される効果は大きく異なる

3年前の家庭用「ジアイーノ」の発売以降は、ブランド名も急激に浸透した。家庭用としては高額であるにもかかわらず、売れ行きも好調だ。同社でアンケートを取ったところ「購入したお客様の9割以上が他の方におすすめしたいと答えるほど満足していただいている」と井浦氏。回答の中には「空気を洗うという表現がぴったり」「今までいろんな対策が効かなかったが、『ジアイーノ』があるだけで安心感がある」といった声が相次いだ。

業務用についても、発売当初はお試しで数台という注文が多かったそうだが、最近では大口の導入事例が増えたと話す。これまでの医療、介護、教育に加え、オフィスでの需要が伸びている。「人が多く集まる環境ですので、ニオイや衛生管理の部分で導入される企業が多くなってきています。常時稼働する除菌脱臭機が、社員の健康面に配慮した福利厚生の選択肢になっているようです」(井浦氏)。

「ジアイーノ」は家庭用から業務用まで用途に合わせ幅広く展開している

「ジアイーノ」は家庭用から業務用まで用途に合わせ幅広く展開している

現在、家庭用・業務用あわせて9畳から56畳までの幅広いラインナップをそろえる。2020年4月には水道に直結するタイプの業務用新製品を発売。これはメンテナンスの負荷を軽減したいとの声に応えたもので、井浦氏は「本当に価値として認められるものは何かを見直しながら、次の商品を出していく必要がある」と強調する。

井浦氏が所属するパナソニック エコシステムズ IAQビジネスユニットは、「Indoor Air Quality:室内空気質」の向上、改善を念頭に置く。室内環境は、人が1日に生活している場所の90%を占めると言われており、良質なIAQによってもたらされる効果は、我々が実感する以上に大きい。

「IAQの中でも除菌・脱臭は代表的な訴求ポイント。お客様の生活環境の空気をいかに快適かつ健康的に維持していくかを考えたとき、除菌・脱臭がどのようにあるべきか――それを発展させていくのが我々のミッションです。

空気は見えないものですから、見える化していくことも1つのトライでしょう。さらにAIやIoTといった技術が一般的になる中で、例えば今後は『ジアイーノ』と空調や換気システムが連動することも夢ではありません。“空気の質”の向上は、まだまだ開拓の余地がある分野なのです」(井浦氏)

名古屋大学未来社会創造機構客員教授 元名古屋大学産学官連携推進本部特任教授 元ImPACTプログラム・マネージャー 宮田 令子 氏

これからの社会においては特に高齢者を取り巻く空気の質の向上、見える化が科学的根拠に基づいてあらゆるシーンで浸透していくことが肝要です。特にウイルスや菌などを「ジアイーノ」の空気浄化技術で抑制し、「空気の質が良い」ということを利用者が介護施設で実感できる価値を提供できていることはとても重要です。こうした取り組みが今後のビジネスモデルとなり、さらに広い場面で深化・加速していくことを期待しています。

この記事は、日経BPの未来コトハジメ「社会デザイン研究」に掲載したものの転載です(本稿の初出:2020年12月11日)。