3-2. 製材所

昭和7年春、幸之助は某氏に連れられて、とある宗教団体の本部を訪れていた。広大な敷地を順に案内されるうち、二人は製材所にたどり着いた。

「製材所? 製材所って何をするとこでっか?」「もちろん材木の製材所です。 全国の信者から献じられた木を使うて、教祖殿などの建築を進めてるんですわ」「これ、みな、献木ですか!」

不況のど真ん中というのに、信者から献木が山のようにやってくる。奉仕によって作業は進められているというのに、作業をする信者の人たちの顔は喜びに満ちている。この様子を見て、幸之助は心を打たれた。