73. 太平洋戦争が起こる 1941年(昭和16年)

昭和16年12月8日午前6時。突然、ラジオから臨時ニュースが流れた。

「帝国陸海軍ハ今8日未明西太平洋ニオイテ米英軍ト戦闘状態ニ入レリ」

日本軍がハワイの真珠湾を奇襲攻撃するとともに英領マレー半島への進攻を開始したのである。国民は大きな衝撃を受けたものの、その「赫々たる大戦果」に、いつしか「米英何するものぞ」との気概さえ抱き始めた。マレー沖海戦にも勝ち、香港も陥落させた。昭和17年には、マニラ、シンガポール、ジャワ島、スマトラ島などを次々と攻略し、日本軍は西南太平洋の資源地帯を手中に収めた。その「連戦連勝」ぶりに国民は歓喜した。

しかしそれも最初の半年余りにすぎない。昭和17年6月5日のミッドウェー海戦において、思わぬ大敗を喫し、情勢は逆転し始めた。昭和18年2月9日には、ガダルカナル島から撤退、これは「転進」と報じられたものの、大きな犠牲をともなう敗退であった。これを境に、戦局は刻一刻と悪化し始めた。