90. 輪界復帰を発表 1951年(昭和26年)

松下電器と自転車業界との関係は、大正12年発売の砲弾型電池ランプに始まる。その後、角型ランプを発売するなど、松下電器の草創期は自転車用品によって築かれたのであり、自転車業界はいわば松下電器の故郷ともいえる業界である。しかし、太平洋戦争のために、民需生産の中止を余儀なくされ、輪界との関係もとだえた。

戦後、この輪界に多数のメーカーが乱立、価格競争が激化した。薄利のために、経営的に不安定な状態が続き、倒産する業者も少なくなかった。輪界に強い関心を抱いていた社長は、こうした事態が進行することを憂慮した。たまたま、このとき「ナショナル」という自転車の商標をもっていた東京部品工業から、その商標を譲渡するとの話がもたらされた。社長は業界の正常な発展のために、輪界復帰を決心した。

昭和26年6月18日、「ナショナル輪栄会総会」を開催した。席上、社長は「適正価格を維持することこそ、業界に真の繁栄をもたらす基礎的条件である。松下電器は適正価格を堅持し、業界の安定勢力となり、業界の真の繁栄に貢献したい」と訴えた。