154. 松下政経塾を開塾 1980年(昭和55年)

1980年代に入っても、日本はなお混迷の度を深めていた。

「21世紀には日本をはじめとするアジアに世界の繁栄が巡ってくる」と洞察した相談役は、その繁栄の受け皿づくりを熱心に提唱、自らもやむにやまれぬ思いから、その準備のための活動に着手した。国家百年の大計に立ち、「新国土創成論」や「無税国家論」などの壮大な構想を発表、それらを実現するための方策についても、具体的に研究を始めた。

さらに、21世紀に理想の日本を実現しうる為政者をはじめ、各界の指導者を育成するために、私財70億円を投じて「松下政経塾」を設立した。この塾は、昭和53年9月に構想を発表し、大きな反響を呼んだもの。その後、文部省から財団法人の許可もおり、第1期塾生を募集したところ、全国から約900人が応募、3次にわたる厳正な審査の末に、20人余の俊英が入塾、昭和55年4月、開塾した。松下政経塾の研修期間は5年間(特別塾生は3年間)で、「自習自得」を主眼とした研修機関である。