家電の普及を牽引した「⽣活の必需品」

⼀次電池

乾電池は人のくらしや社会の営みに不可欠な存在で、スーパーやコンビニ、駅の売店など身近な場所で販売されています。当社は、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウム電池などの一次電池(充電できない電池)と、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン電池などの二次電池(充電式の電池)に加え、充電器や電池応用機器など幅広い関連製品を生産する「電池の総合メーカー」に成長しました。人々の快適なくらしと密接に結びつく一次電池。このコーナーでは、その技術開発を種類別に紐解いていきます。

マンガン乾電池編

1954-1980

安価で信頼性・安定性の高さを追求

1954年、日本で初めて完全金属外装の乾電池「ハイパー」の開発に成功しました。

その後、「応用範囲が広く、長持ちする電池を作るように」という経営トップからの指示を受けて、正極材料を見直し、1963年、放電特性はハイパー乾電池の1.5倍、保存特性は3倍に向上した乾電池「ハイトップ」を開発。電気カミソリや電卓などで活躍し、人々のくらしを豊かにしました。

1969年には、「ハイパー」より3倍長持ちする世界最高水準の「ネオハイトップ」を発売、使用機器の主役はラジカセでした。旺盛な需要に応えるため、毎分600個以上生産できる高速ラインを導入。17か国で943件の特許・実用新案を取得しました。

1975年、電解液を塩化アンモニウムから塩化亜鉛に替えることで、液漏れを減少させた「新ネオハイトップ」を開発。1980年からは液漏れ補償期限を明示した「補償付き乾電池」を販売するなど、高信頼性を追求しました。

ハイパー
ハイトップ
ネオハイトップ

アルカリ乾電池編

1967-1995

ポータブル家電市場の創出に貢献

当社初のアルカリ乾電池は1967年に発売されました。1980年代に入ると、ヘッドホンステレオやポータブルCDなどの需要が増加。それに合わせて、1983年に充電などの誤使用による破裂を防止する構造を備えたアルカリ乾電池「ウルトラネオ」を発売。家電製品の小型化・ポータブル化が進む中、大電流/低温性能が特長の「ウルトラネオ」は、ヘッドホンステレオや、電気カミソリなどの家電市場創出に貢献しました。

環境対応に関しては、保存性(貯蔵性)・耐漏液に優れた耐食性亜鉛合金、特殊防食剤などの技術開発に成功し、1992年、アルカリ乾電池でも「無水銀化」を実現。製造環境においても、各工程でクリーン度を高めた量産製造体制を構築しました。1990年代後半に入ると、デジタルスチルカメラが普及し、高出力のアルカリ乾電池が要望されてきました。当社は1995年に大電流パワーアルカリ乾電池を開発し、普及が進むデジタル機器に対応しました。

初代アルカリ乾電池
ウルトラネオ

2006-2008

「商品力No.1」への挑戦

2000年代半ばを過ぎ、マイナス成長に陥った乾電池事業の再生に向け、2006年に「K1プロジェクト」が発足。新構造技術、高密度充填技術、高効率材料技術、これら3つのテクノロジーで、他社製品を圧倒するアルカリ乾電池の開発、商品化に取り組みました。

正・負の両極に新材料を採用するなど構造・工法・材料を進化させた結果、2008年に「世界No.1長もち」と「使用推奨期限10年」を実現した新しい乾電池「EVOLTA(エボルタ)」が誕生。この商品は「世界一長もちする単3形アルカリ電池」としてギネス世界記録に認定され、現在まで続くヒット商品になりました。

「EVOLTA」に採用された新正極材料の技術
「EVOLTA」単一、単三

2017

「世界No.1電池」に認定された
「EVOLTA NEO」

2017年には、エボルタで培った技術を活用し、さらに性能・品質を向上させた乾電池「EVOLTA NEO」を開発。電池性能を左右する3大要素である材料・工法・構造の革新を掛け合わせて、長もち性能は約10%、長期保存後(10年保証)の長もち性能は20%アップ。新開発の「液漏れ防止製法Ag+」により、過放電後のガス発生量を約30%削減。同年秋に「世界No.1」電池に認定されました。

「EVOLTA」に採用された新正極材料の技術

リチウム電池編

1971-1999

新市場を次々に開拓

当社は、1971年に世界に先駆けて民生用のリチウム電池、円筒形の「フッ化黒鉛リチウム電池」を開発。1973年にコイン形、1976年には発光ダイオードを使用した電気ウキ用(夜釣り用)の微細・軽量なピン型電池や、電子腕時計、電卓などの小型化・薄型化に貢献した厚さ2.5mmのコイン型リチウム電池「BR2325」を商品化。以降、コイン形のリチウム電池は、キーレスエントリー、体温計、デジタル腕時計、小型電子機器の主電源、マイコンのメモリバックアップ用などで使用されています。1985年には、世界で初めてカメラ用円筒形リチウム電池の販売を開始しました。

リチウム電池の進化

2000-

「高信頼性」を基軸に新規事業分野を開拓

2000年代に入り普及したデジタルカメラの電源は充電式電池が採用されるようになり、カメラ用のリチウム電池の需要は激減。代わって、高電圧、広い温度域、長期信頼性の特長が買われ、火災報知器、AED、ガス・水道・電気メーターなどへ主用途が変化しました。
2003年には、その高い信頼性が買われ、惑星探査機にも搭載。さらに、最近は小型・高信頼性の利点を生かし、車載向けコイン電池を強化、過酷な使用条件下での高い信頼性が求められるタイヤ空気圧センサーにも採用されています。

高電圧(3V)、広い放流電流(μA~A)、広い温度範囲(-40℃~+125℃)、長信頼(10年)で新規事業分野開拓
幅広い分野で使用されるリチウム電池
電池応用標品

関連リンク

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