2 SDカード編

最後発がデファクトスタンダードに

インターネットの黎明期の課題

時代が1980年代から1990年代に移るのと同じくして、わが国は工業化社会から情報化社会に移行した。とりわけ、1995年のMicrosoft Windows 95の発売により、パーソナルコンピュータが一気に普及し、あわせてインターネットが一般に浸透していった。そして、その後の通信速度の向上に伴い、文字音声、画像、映像などが次々とデジタルデータに変換され、さまざまな情報がデジタル機器上で活用できる時代に突入した。
当時はまだ通信速度が遅く、大容量データをネットワーク上で送受信するのが困難であったため、機器から機器へのデータのやり取りには、スマートメディア、コンパクトフラッシュ、マルチメディアカード、メモリースティックなどの記録媒体が使用されていた。しかし、それらの規格には互換性がなく、使用できる機器も決まっていたため、ユーザーはデータの共有に不便を感じていた。

記録容量64MB、シェア1%からの船出

当社はこの問題に着目、また、今後の放送・通信のデジタル化やインターネットの普及により大きな成長が期待できると判断し1999年、東芝、サンディスクと「次世代メモリーカードの開発標準化ならびに応用機器開発における包括提携」を締結。「コンパクト化、大容量化、著作権保護」というコンセプトで、様々な用途に対応できるメモリーカードの規格策定を目指した。
翌年1月には規格化団体としてSDA(SDカードアソシエーション)を米国に設立し、当社がDVD規格策定時に音楽コンテンツなどの著作権保護を目的に確立した、セキュリティ保護技術を入れたSDカードを同年開発。発売時の記録容量は最大でも64MBで、初年度のシェアはわずか1%だったが、2年後の2002年には容量は512MBに増大し、SDAは世界の有力企業約500社が参画するまでに成長した。その翌年にはついにシェアNo.1の30%超えを実現。そして、2006年には新規格SDHCが誕生。記録容量は当初の60倍の4GBを達成し、年間の世界需要は1億7,500万枚に拡大した。

当社、サンディスク社、東芝の3社合同でSDカードの共同開発企画を発表(1999年)
経営方針発表会で森下社長がSDカードを紹介(2000年)

SDカードでデジタル機器が繋がる

この快進撃の背景には、SDカードを記録メディアとして採用したデジタルカメラや携帯電話が2000年代初めに急速に普及したことがあげられるが、当社が2003年に掲げた「3Dバリューチェーン戦略」の効果も大きい。この戦略は、「SDカード関連商品」「DVD」「Digital TV」の3つの「D」商品を結び付け、お客様にデジタルならではの価値を提供することが狙いである。写真・動画・音楽・音声・情報などのコンテンツを一義的に扱え、持ち運びが容易なSDカードをブリッジメディアとして、デジタルカメラ「ルミックス」やデジタルビデオカメラで撮影した写真や映像を、容易にデジタルテレビ「ビエラ」で観たり、DVDレコーダー「ディーガ」に保存したりすることを可能にし、総合電機メーカーの当社にしかできないデジタルデータの新しい楽しみ方をグループ一丸となって提案していった。

SD Link製品群をつないで新しい価値を創造

SD Link製品群をつないで新しい価値を創造

SDカードの変遷

民生機器でのノウハウを強化してBtoBへ展開

2000年代後半に入り、当社は民生用でのデファクトスタンダード化に成功したSDカードのビジネス用途への展開を図った。
規格化においては、8Kビデオまで想定した高画質動画対応や、大容量化を進めるとともに、それぞれのお客様の使用環境に合わせて、長寿命・高品質・高耐久性を確保。信頼性の高い産業用SDカードと、独自の高性能SDカードコントローラ技術を、車載、医療、工業機械をはじめとした様々な産業機器へ展開し、2018年には累計生産3億台を達成した。

産業用SDカードの利用用途

(後列左から)デジタルカメラ「ルミックス」DMC-F7、SDマルチカメラ「D-snap」SV-AV100 (前列左から)SDカード(8MB、16MB、32MB、64MB)

(後列左から)デジタルカメラ「ルミックス」DMC-F7、SDマルチカメラ「D-snap」SV-AV100
(前列左から)SDカード(8MB、16MB、32MB、64MB)

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