受け継がれた“きれいな空気”への思い

35年前から続く電解水の活用

水道水と塩を電気分解することで生成される次亜塩素酸は、プールの除菌、水道水の浄化、野菜の洗浄など幅広い分野で使用されている。三洋は1987年に、カップ式自動販売機の流路(飲料が流れる管)の衛生保持システムで、次亜塩素酸を含む電解水を採用した。そして2001年には、電解水で洗う「洗剤ゼロコース」搭載の全自動電気洗濯機を発売。その後も電解水でフィルターや本体内の水を除菌して、清潔な加湿を実現した加湿器を発売し、電解水活用の幅を拡大していった。

次亜塩素酸は長年幅広い分野で活用されている

電解水技術で「大切な人をウイルスから守りたい」

2000年代半ばになると、花粉などによるアレルギーやシックハウス症候群の患者が急増、加えて癒しを求めて室内でペットを飼う家庭が増加し、空間浄化に対するニーズが一気に高まる。2005年1月、群馬県衛生環境研究所で電解水がインフルエンザウイルスの抑制に効果があることが実証され、その成果をもとに、同研究所と三洋で共同研究を開始。その年の秋に、電解水が滲み込んだ除菌エレメントを空気が一度通過するだけで、ウイルスを99%以上抑制できることが確認された。
そして、翌年2月に世界初の電解水で空気を洗う、業務用空間清浄システム「ウイルスウォッシャー」が誕生。本格的に製品開発をスタートしてからわずか半年で商品化できたのは、「社会に役立つものを早く届けたい」という開発者たちの熱意と努力によるものである。
「ウイルスウォッシャー」シリーズは、病院や公共空間、学校、オフィスなどの中規模空間用の据え置き型から始まり、映画館や劇場、商業施設などの大規模空間用、また、除菌電解ミスト方式を採用した家庭用など、空間と用途に応じた幅広い商品展開が行われた。

業務用空間清浄システム「ウイルスウオッシャー」の新聞広告
(2006年)

SANYOからPanasonicへ技術のバトンパス

2008年、三洋がパナソニックグループ入りし、2010年からグループ全体の事業再編が始まる。その中で、「ウイルスウォッシャー」の電解水技術は、パナソニック エコシステムズ社に技術移管されることが決定した。空気清浄機など室内空気質事業を担当する同社は、これまでライバルであった「ウイルスウォッシャー」の除菌・脱臭効果を高く評価していたのだった。
三洋の技術者も同社に移籍し、三洋が開発した「電解水を満たした機器に浮遊菌を引き寄せて除菌する技術」と、パナソニックの加湿器・空気清浄機事業で培った通風、気液接触・揮発効率のノウハウを組み合わせた、除菌と脱臭に尖った新商品の開発を2011年にスタートした。

<ジアイーノ除菌・脱臭の仕組み>

  1. 汚れた空気を側面から吸引
  2. 保護エレメントで粗ゴミを捕集
  3. 次亜塩素酸が浸透した除菌フィルターで汚れた空気を除菌・脱臭(パッシブ効果)
  4. キレイになった空気とともに気体状の次亜塩素酸を放出、付着した菌にも効果を発揮(アクティブ効果)

次亜塩素酸の力で空質環境を革新する

2013年、ついに業務用空間除菌脱臭機「ジアイーノ」が誕生。この名称は「zia(次亜塩素酸)」と「innovation(革新)」を合わせた造語で、「次亜塩素酸で空気を除菌・脱臭することで、空質環境を革新する」という思いが込められている。
臭いや菌の対策が大きな課題になっている、医療・保育・介護の3業界を想定して開発されたこの商品。実際に体験したお客様にはその効果を絶賛されたが、普及には時間がかかった。目に見えない化学反応の効果を数値で表すのが難しいことと、価格の高さが要因だった。そこで、一時貸し出しなどの販売プログラムを設定し、お客様に効果を体感してもらうことから始めた。このようにして業務用で着実に実績を積み重ね、お客様から絶大な信頼を得られる商品に成長。お客様からの家庭用「ジアイーノ」発売の要望を受け、業務用で得た知見に、家庭用ならではのニーズを合わせて、2017年に家庭用「ジアイーノ」を発売した。
パナソニックと三洋の技術を合わせてパワーアップした「ジアイーノ」は、業務用、家庭用どちらの領域においても、圧倒的な除菌・脱臭力でお客様の信頼を獲得し、2020年のコロナ禍において、「ジアイーノ」は新規受注を一時停止せざるを得ないほどオーダーが殺到した。今後も、お客様に「きれいな空気」と、安心・安全で快適な空間をお届けするための進化は続く。

(左から)「ウイルスウォッシャー」VW-VF8A、「ジアイーノ」F-MV4100

(左から)「ウイルスウォッシャー」VW-VF8A、「ジアイーノ」F-MV4100

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