滋賀

大正14年、石山寺で撮った一枚の写真。

「フト古い写真帖をめくっていたら、『大正十四年五月、於石山寺』と註記した古い古い写真が出てきた」――昭和31年、創業者 松下幸之助が寄稿した社内報の文章には、滋賀県の石山寺で行ったレクリエーションの想い出が語られていました。

「楽しい想い出である。本当にレクリエーションの楽しさを心から味わっていた時代である。だがこんな楽しさは、もう最近では滅多に味わえない。近ごろでは誰も誘ってもくれないし、と言って私から進んで行こうかとも一寸言いにくいのである。第一この大正のころは、従業員の人たちの名前は全部おぼえていたものだが、今はもうそんなことはとてもできそうもない。人もずいぶん多くなったし、私の記憶力も大分におとろえたからである。しかし、レクリエーションの楽しさを味わいたいという気持ちは今も昔とすこしも変りはない。いや最近はますます強くなっていると言ってよかろう。と言うのは、人間の個人的な楽しみというものは事業の大小とか社会的な成功とかとは別問題なのであって、むしろみんなそろって一日を楽しく愉快にすごすというところに、本当の個人的な喜びがあるからである」

松下幸之助にとってその時のレクリエーションは、30年以上経っても楽しい想い出でした。一人の人間としての素顔が垣間見えるこの文章に、後年、一言を添えています。「人間の個人的な楽しさというものは、いつの時代も変わらない」と。

大正7年の創業以来、私たちがここまで歩んでこられたことは滋賀のみなさまをはじめとする、たくさんの方々のご愛顧とご信頼の賜物と心より感謝申し上げます。これからも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

おかげさまで、パナソニックは創業100周年を迎えました。