Mission-driven meetup #2

世間の「すごい」に囚われず視野を広げる、自分らしいキャリアの見つけ方

写真:会場の様子

パナソニック株式会社とFastGrowが共催する学生向けイベント「Mission-driven meetup」の第2回が、2019年9月28日(土)に開催。会場となった渋谷BOOK LAB TOKYOには、自らの “ミッション”と“キャリア選択”について模索する現役大学生が多数詰めかけました。

INTRODUCTION 〜Mission-driven meetupとは?〜

写真:モデレーター杉山さんのトーク中の様子

“ミッションドリブン”をキーワードに、参加者一人ひとりが「自らの内なる指針=“ミッション”」について考えを深め、行動につなげていくことを目的とした本イベント。第2回目は、自分の中にあるミッションのタネを見つけ育むきっかけとなるべく、異なるフィールドで働く社会人がゲスト登壇し、自らの体験を語るトークセッションを展開しました。

開会のあいさつに立ったパナソニックの杉山は、「キャリアの多様性が高まる今、自分の中にこれという価値観がないと、たくさんの選択肢を前に迷いが生じてしまう。不確実性が高い時代だからこそ、自分の中の軸がより大事になってきています。今日のトークセッションが、みなさんにとってよりベターなキャリア選択ができるきっかけになればと思っています」と語りました。

Talk Session #1 長谷川リョー「世間の『すごい』の裏側とは?
〜自身の『ミッション』への一歩を踏み出す方法〜」

写真:登壇者、長谷川さん

長谷川リョー(はせがわりょー)
株式会社モメンタム・ホース 代表取締役

編集者/ライター/『SENSORS』編集長/修士(東京大学大学院学際情報学府)。新卒でリクルートホールディングスに入社後、2016年12月にフリーランスのライターとして独立。ビジネス・テクノロジー領域を中心に数多くのベンチャー経営者や最先端で活躍する研究者、クリエイターへの取材・執筆を重ねる。『FastGrow』編集パートナー・編集協力に『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一共著)、『日本進化論』(落合陽一著)『THE TEAM』(麻野耕司著)、『転職と副業のかけ算』(moto著)など。Twitter: @_ryh

落ちこぼれだった少年が、自分の“得意”を仕事にするまで

編集集団モメンタム・ホースの代表であり、編集者・ライターとして多くのベストセラーを輩出している長谷川リョーさん。家族や身近な親戚に大学進学者がおらず、「母方の祖父が大工だったので、漠然と“自分も中卒で大工になるのかなぁ”と思っていました」と語る長谷川さんが、人生を変えた恩師との出会いから現在に至るまでの波乱に満ちたキャリアについて語ってくれました。

――フリーター時代、インドのヴィパッサナー瞑想で開眼!?

長谷川:「勉強、特に英語が苦手で、中学3年生の夏の段階で“do”と“does”の違いもわからなかったんです。そんな時、母親の友人が英語を教えてくれることになり、結果的に英語科のある高校に進学することができました。その後、アメリカでの1年間のホームステイを経て青山学院大学に進学しましたが、ろくに就職活動をしないままフリーターに。

大学を卒業してすぐ、前々から興味があったヴィパッサナー瞑想をやるために、インドのブッダガヤに行きました。そこで十日間の瞑想が終わってふとフェイスブックを開いたら、就職した友だちがこぞって『ようやく花金だー!』とか投稿していて。インドという物理的に離れた場所から相対的にみんなの状況を眺めたときに、もうちょっと自分の意思で、やり残したことがない状態で仕事に就きたいなと思ったんです。

そういえば、英語以外にガチで勉強したことないよなと思って、目指したのが東大の大学院。院試まで実質2〜3カ月しかなかったけど、ヴィパッサナー瞑想がマジきつかったんで、その集中力でなんとか乗り切りました」

――“常軌を逸した行動”が、縁を引き寄せることも。

長谷川:「大学院のときにアルバイトしていた日本テレビで、インターネットとテレビ番組とウェブメディアが三位一体となったプロジェクトを立ち上げることになり、ライター経験のある僕にお呼びがかかった。それが、今、僕が編集長を務めている『SENSORS』です。

先日、ある方に“小さな伝説を残してきたんだね”と言われたのですが、まさにその通りで、インパクトを残すことは大事。たとえば、取材から原稿アップまで普通なら2週間かかるところを、僕は翌日に出すとか。そういう常軌を逸したことやると印象に残るし、“こいつと繋がっていたいな”と思ってもらえるのかもしれないです。〆切まで2週間あるから2週間後でいいやと思ってやってたら、今の自分はいないと思います」

――自分の“得意”を知ることで、未来が開けた。

長谷川:「大学時代からライター・編集としてのキャリアを重ねてきた一方で、いわゆる“新卒切符”を行使したい気持ちもありました。大きな会社の仕組み、どんな風にして事業が回っているのかを知りたい。でも、ライター・編集の仕事も続けたい。

それで、当時から副業を奨励していたリクルートに就職したのですが、体力的な面で両立が厳しくなり、ずっとやってきたライターの方を選びました。

リクルートを辞める最後の決断を後押ししたのが、任天堂の元社長である岩田聡さんの“労力の割に周りが認めてくれることが、あなたの才能”という言葉。当時担当していたデータ分析で、頭一個抜け出すには時間がかかるけど、ライターの仕事はさーっとやって評価をいただくことが多かった。自分の才能はライティングだなと思えたことで、独立を決意しました」

――みんな1回目の人生を生きている。誰にも正解はわからない。

長谷川:「会社を辞めるかどうか迷っていたとき、周りの人がいろいろなアドバイスをくださいました。でも、僕の基本的な考え方として、“みんな1回目の人生を生きてるんだから、誰も正解はわからない”というのがあって。

誰の助言であろうと、それはその人の1回しか生きていない人生の価値観とか経験で語られているわけですよね。意味がないとは言わないけど、あくまでも参考程度にして、都合のいいところだけいただくのが僕のスタンス。

だから、僕のこの話もそんなに意味がないというか、一個ぐらい参考になればいいかな、と(笑)。人生の時間には限りがあるから、得意なことで一点突破。苦手なことは得意な人に任せるというのが僕の考え方です。

写真:登壇者、長谷川さん

行動する人と行動しない人の違い

学生も社会人も関係なく、誰もが「“ポジショニング”と“レピュテーション”は意識すべきだと思います」と長谷川さん。置かれている環境のなかで、自分が力を発揮できる“場所”を探すこと。ソーシャルによって価値や影響力が可視化される時代に、個人としての“評価”を貯め続けていくこと。それによって生まれた縁がさまざまにつながり、今の長谷川リョーさんを形づくっているのです。

――いちばん重要なのは“習慣”だと思う。

長谷川:「学生のうちは時間があるので、一個に決めるよりもいろいろやってみて、自分の筋が良さそうなものにフルベッドすればいいと思うんです。いちばん重要なことは習慣で、習慣化できることは、たぶん、自分ができることなんですよ。筋トレでも読書でもなんでもいいんですけど、何かにチャレンジしようと思ったら、死ぬ気でそれを習慣化する。それができればたぶん向いている、素質があるということなんです。

ぬるっと生きていくと日々はあっという間に過ぎていくので、1日1日楔を打つ。ソーシャルゲームをやるぐらいだったら、自分の生活をゲーム化した方がよっぽどいい。習慣をゲームと捉えると、すごくおもしろいですよ。たとえば、大学生の間に本を1000冊読む、とか、ゴール設定にひも付けた習慣化をしていくと、明らかに人と差分ができていくと思います」

写真:登壇者、長谷川さん

学生時代にいちばん大事なのは“Do”。まず、動くこと。

――最初からスポットライトが当たっている人なんていない。

長谷川:「どんなことでもいいので、自分にとっての“修行期間”を設けてみる。たとえば家にこもって本を100冊読むでもいいし、企業でインターンをしてみるでもいい。ストイックになれとは言わないですけど、あとから振り返ったときに“あのときがあったから今がある”と思える期間を設けて、そうと決めたら言い訳せずに、最後まで歯を食いしばって頑張ってみる。その経験は必ず自信につながるし、のちの自分をつくってくれると思います。

僕の周りにいる優れた人たちの過去を深掘りしていくと、必ずと言っていいほど、数年間、誰にも見られていない修行期間というか、ただひたすら孤独に努力していた期間があります。当たり前のことだけど、最初からスポットライトが当たっている人なんていないんです」

――打率よりも、打席に立ち続けることが大事。

長谷川:「ことを成したいと思っている自分やチームがあるなら、ミッションは絶対に必要だと思います。やりたいことが決まっているなら、その目標に向かって逆算して行動する。やりたいことがないなら、運とか偶然を信じて、その瞬間、瞬間にやれること、目の前のことを全力で頑張る。打率よりも、打席に立ち続ける。

“PDCA”ってあるじゃないですか。Plan→Do→Check→Act。学生時代にいちばん大事なのはDo。何が好きとかやりたいとか絶対にわからないから、まずはDoが先。そこからPlan→Checkという流れでいいと思います。20代前半の学生はとにかくDo、Do、Do、DoでDoの数を増やしていくしかない。とにかくぬるっと生きない。それが大事だと僕は思います」

Talk Session #2 中山智裕×黒尾玲奈「あなたが抱いているイメージは真実か?
『大企業に対する固定観念から抜け出し、自分の可能性を広げるには』」

写真:登壇者、中山さん

中山智裕(なかやまともひろ)
パナソニック株式会社 コーポレート戦略本部 経営企画部

京都工芸繊維大学を卒業後、2012年にパナソニック入社。3年目でベンチャー企業へ転職したが挫折を経験し、1年後ジョブリターン制度を通じパナソニックに再び入社。新卒時と同じPC事業部門で、中国市場開拓の専任組織下で法人営業・商務に従事。2017年10月より現職。

写真:登壇者、黒尾さん

黒尾玲奈(くろおれいな)
パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部

一橋大学法学部在籍時、アイセック一橋大学委員会に所属。フィリピンにおける貧困層への教育活動や、国際会議への参画、大学支部の代表などを務める。 そのほか、ベンチャー2社(動画コンテンツ制作、経営企画)と国会議員のインターンなどを経て2018年にパナソニックに入社、現在2年目。オリンピック・パラリンピックに関する展示やイベントの展開を通じて、コーポレートブランドイメージ向上を目指す活動を実施。

スタートアップ企業を経験した両氏がパナソニックを選択したワケ

学生時代、「理系学部で研究や設計など専門性の高い勉強を継続してきた」中山氏と、「計画性や将来のビジョンを明確に持ち、広く活動してきた」黒尾氏。一見異なる学生時代を送った両氏が、大手企業であるパナソニック就職にたどり着くまでの背景にあったミッションや、各々の選択軸などについて語り合いました。

――大企業ではできないことにチャレンジしたかった。

中山:「私はもともとモノづくりが好きで、高専に進学し電気情報工学を学んだのですが、その中で自分はモノづくりの開発ではなくコンセプトメイキングがしたいんだと気付いて。そこで、大学でマーケティングやデザインを学ぶという方向転換を経て、メーカーの商品企画を目指し、パナソニックに就職しました。

最初に担当したのはPCの法人営業で、企画的な要素もあり、やりがいを感じていた一方で、実は、大学卒業直前に出会った起業家からの影響で、スタートアップというサイズ感の企業にもあこがれを持っていました。そして入社から3年後、知人の誘いでスタートアップ企業に転職。ゼロから事業をつくる、つまり、本当にまっさらの状態から世の中にないものをつくるというのは、大企業ではなかなかできないんじゃないか、というのが当時の私の思いでした」

――日本の学生が入社しなければ、日本の企業は衰退していく。

黒尾:「大学時代は、海外インターンシップ事業を運営するアイセックという学生団体で活動していました。アイセックは50年以上続く、非常に強いミッションがあります。一貫して組織が持ち続けているミッションと、新しく入ってくれるメンバーのやりがいをどう結び付けるか。その難しさや大切さを学びました。その経験はスタートアップでのインターンシップや現在の仕事にも生きていて、上の人がどういう風に思って自分に仕事を振っているのか、上の人は自分のことをどう考えてくれているのかという目線が持てるようになりました。

スタートアップではインターンを2社経験しましたが、それは、スタートアップという世界を知らないと就活に踏み切りにくいなと考えたからです。日本の大企業に対しては、多くの学生さんと同じように“安定志向”“いわゆるスーツを着て、満員電車に乗って…”的な印象しかありませんでした(笑)。

ただ、就活中にある人から「ミッションを持って生きようとする学生が日本の企業に入らなくなったら、それは日本の企業が衰退するということだよね」と言われて。そう考えると逆に、自分が日本の企業に入るという選択肢もあるのかなって思ったんです」

――働く人を通して透けて見える、企業のミッション。

中山:「就活のときも、転職のときも、私は常に“人”を見ていたような気がします。そこで働く人と話すことで透けて見えてくる会社の雰囲気やミッションを感じ取っていたんだと、今振り返れば思います。そして、たくさんの選択肢があったなかで、最終的にいちばん私の肌にあったのが新卒で入社したパナソニックで、スタートアップ企業への転職を経てジョブリターンしました」

黒尾:「その感覚はわかります。私は親に勘当されかけて嫌々就活を始めたのですが(笑)、活動しはじめたなかで“私の考え方と会社の考え方が合う”ことが、私にとっていちばん大事だと気付いたんです。そこからOB訪問をしまくって、いろんな方のお話を聞きました。もちろん、そこで働く人全員に会えるわけじゃないですけど、何人かお会いしていくなかで企業の雰囲気みたいなものは見えてくる。そのなかでいちばん魅力を感じたのがパナソニックでした」

写真:登壇者、中山さんと黒尾さん

働き甲斐あるの?巨大組織で自分らしく働くためのミッションとは

黒尾:「大企業って重そうとか裁量権がなさそうというイメージがありますが、大企業であろうとスタートアップであろうと、自分の動き方次第、巻き込み方次第なところはあると思います。会社のミッションにつながる活動であれば上司も理解してくれますし、自分の仕事が会社のミッションにつながるんだと思えれば、やりがいも生まれます。あえて悪い面を挙げるとすれば、新しい組織体制をつくるときなど、ベンチャーでは克服しやすくても、大企業では組織が大きすぎるあまりに追いつかない部分が多々あると感じています」

中山:「裁量権の話でいうと、スタートアップの場合、人数が少ないと個人が抱える範囲は否が応でも大きくなりますよね。それを良しとする価値観もあるとは思うんですけど、私としては、自分がやったことをちゃんと世の中に問えてこそ、初めて裁量権があると言えると思います。スタートアップではそもそも事業をまわしていくことの難易度が高い。その中にあって「世の中に問う」という視点を持ち続けることは、さらに難しいものなんだと痛感しました。その点、パナソニックの創業者・松下幸之助が掲げた経営理念は社会に向いていて、社員がそれを体現していけば社会やお客様からちゃんとレスポンスをもらえる。世の中に問うことに努めている観点では、とても健全な組織だと思います」

人生のミッションに終わりはあるのか。
アクションから生まれる新たなミッション

中山:「すでにミッションを見つけている人もいれば、探し続けている人もいるかもしれませんが、私は完全に後者です。社会人になったからってすぐに何か見つかるかっていったら全然そうじゃない。今でも、もがき苦しみながら探し続けています。

でも、私にとって、それは悪いことではないんです。むしろ、考え続けることができるって、楽しいし幸せだなと感じます。学生のみなさんに何かアドバイスできるとすれば、日記などで、今の自分の思いや言葉を記録しておくといいですよ、ということ。

私自身、10年前からずっと日記を書いているんですが、当時の思考や感情を残しておくことはすごく価値があると感じています。外からの情報じゃなく、自分の中の気持ち。あなたにしか書けないあなただけの気持ちを、ぜひ残してみてください」

黒尾:「自分はやりたいことが明確にあるわけじゃなくて、たとえば就活で“あなたのやりたいことはなんですか?”と聞かれた時に、ひねり出さないと答えられないタイプなんですね。でも、目の前の状況を見ると、やらなくちゃいけないことがものすごくいっぱいあって、それを全部やっていったその先に、もしかしたら次のステージがあるのかもしれないと思うんです。長谷川リョーさんの言葉をお借りするなら、目の前のバッターボックスに立ち続ける。そのことを、今はただひたすらにやっていこうと思っています」

社会に依存しない、自身の内なる指標に基づいて行動を起こす“ミッションドリブンな生き方”について考える本イベント。参加した学生からは「固定観念や評価にとらわれないキャリア選択について知ることができた」「自分のやりたいことや、こうなりたいというビジョンが見つけられるような気がした」という声が寄せられました。
次回は、12月に開催予定です。あなたもぜひご参加ください。

*所属・内容等は取材当時のものです。