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「就職ってもっと柔軟で良いはず」パナソニックと
サイバーエージェントの人事担当が今の採用に対して思うこと

対談の様子

大企業とベンチャー企業。企業規模も文化は大きく異なるが、どの企業も一貫して考えることは「自社で活躍する人材が欲しい」ということ。しかしながら、数多くの企業から学生に見つけてもらうこと、また、多くの学生から自社にマッチする人材を見つけることはそう容易いことではない。

そこで今回は、株式会社サイバーエージェントの人事を担当する小澤さん、パナソニックの人事担当である杉山の2名に、それぞれが人事担当として考える採用のポイントについて語ってもらった。

【小澤政生(おざわ・まさお)】 ー株式会社サイバーエージェント 採用育成本部 新卒採用責任者

2010年に株式会社サイバーエージェントに入社。関西で技術職採用の立ち上げを経て関東含め計7年間採用に携わる。毎年、新卒では約200名の採用を担当。これまで15,000人を超える学生と会った経歴を持つ。

※現在は2018年10月に株式会社TechBowlを創業して新たなチャレンジ中。

【杉山秀樹(すぎやま・ひでき)】 ーパナソニック株式会社 採用マーケティング室

新卒で大手メーカーに入社するも1年足らずでベンチャーに転職。以来、ベンチャーでマーケティング、経営企画、広報、IR、HRに携わる。2016年12月、パナソニック株式会社に入社。採用マーケティングを担う。

学生と企業、向いている方向が同じことが採用の基準です

ーーまず、それぞれ自社で求めている学生の採用基準を教えてください。

杉山:「一番理想的なのは、会社と学生の向いている方向が同じことです。パナソニックでは、ブランドスローガンとして“A Better Life,A Better World”を掲げているので、ここにまずは共感していてほしいなと。企業と学生の向いている方向がばらつくと、仕事の楽しさややりがいの半減に繋がってしまいますから。

個人のもつ姿勢では、当社では“素直な心”という言葉があるのですが、その心を持っているかというのは大切にしています。

物事をゼロベースで考えられたり、他人からのフィードバックを受け入れられたり、学び続けられる姿勢を持っていれば、成長し、活躍し続けられると思いますので。」

小澤:「僕たちも基本的には同じです。サイバーエージェントでは“21世紀を代表する会社を創る”を企業のビジョンとして掲げています。

実際、僕たちは年間で5〜10という子会社を立ち上げ、これまでには計200を超える新規事業を立ち上げてきました。過去、現在、未来とそれぞれの地点で注力していることが異なる会社、それがサイバーエージェントなんです。

だからこそ、素直に事業と向き合える人材が大切だと思っています。あとは、最終的に社員が『一緒に働きたい』と感じた人材を採用することも多いですね。」

杉山:「パナソニックにも当てはまりますね。パナソニックも10年前を振り返ればいわゆるガラケー、携帯電話を生産していましたし、市場のシェアもとっていました。

でも、10年経った今、まわりを見渡せばガラケーの姿は消え、スマートフォンが主流になり、当社の事業も大きく方向性を変えなければなりませんでした。たった10年そこそこで、ガラケーのような大きな市場だって置かれている状況が激変するんです。

ベンチャー企業ほどのスピード感を出すのは難しいですが、大企業だからといって、ずっと同じことを続けているわけではありません。そもそも変化しなければ100年も会社が存続できているはずがない。

今見えている事業やサービスの姿かたちはどんどん変わっていく。だから、今やりたいことで企業を探すのではなくもっと本質的な企業の価値を見極めてほしいと思っています。」

対談の様子

迷ってしまうなら選択肢の提示を。誘導こそ、企業の務め

ーー 就職活動を行う場合、学生が現在の事業を重視するケースは多いですよね。先々や本質を見据えるためにはどうしたらいいでしょうか?

杉山:「自分が何をやりたいのか、いったん決めてしまうことですね。学生のときって、いきなり外ばかりを見ようとしてしまって、『選択肢が多すぎる』『やりたいことがわからない』とループにハマるような気がするんです。

たとえば、急にポンとスーパーマーケットで1万円を手渡されて『好きなものを買ってきていいよ』と言われたら、迷ってしまうじゃないですか。でも『バーベキューに行くから好きなもの買ってきて』と言われたら、きっとバーベキューに必要なものを選択できますよね。

売り手市場と言われている中で近しい状況がおこっていると思います。自分の意志があってもなくても、それとは関係なく色々な選択肢が、さも選べそうな感じで並べられていく。

自分の意思を持っていないと、無限に迷ってしまう。だから、外の情報をとりに行く前に、まず自分のやりたいことを固める時間を取るのが良いと思います。」

小澤:「なるほど、おもしろいですね。その例にのるならば、僕らはバーベキューに行きつつ、山に行くのか、海にも行くのか、という選択肢を提示するように心がけています。基準を設ければ、どちらかって選びやすくなると思うので。

たとえば、サイバーエージェントのインターンシップは、夏はゲーム、冬は広告といった具合で一人の学生が複数受けることもできるんです。たくさん選択肢があって迷ってしまうなら、選択肢を提示して選んでもらうようにすること。

何もない中で選ぶよりも、その方が学生はアクションを起こしやすくなる。その導線を引くのは企業の役割だと思っています。」

杉山:「たしかに、導いてあげるのはすごく大切だと思います。パナソニックでも、できる限り就職活動前の早い段階から学生と会う機会を設けて就職について考えてもらう場をつくっています。

自社への採用目的ではなく、会社で働く意味ややりがいを早くから考えてもらいたいと考えています」

対談の様子

「文系(理系)だからこの会社って、なんなんですかね?」

ーー就職活動の際、人気ランキングや認知度で企業を選んでしまう学生はまだまだ多いと思います。そういった場合、どのようにして企業選びを進めたらいいのでしょうか?

小澤:「僕、ずっと疑問を抱いているんですけれど、『文系だから〇〇(企業名)が良い』とか『理系だから〇〇(企業名)は無理だ』とか、あれってなぜ起きるのでしょうか。

学部で学んできたことを活かすことは大切かもしれないですが、就職はそこに限定しなくても良いのにと思ってしまいます。新しいチャレンジをしても良いし、自分の道は自分で決めたら良いと思う。周囲と比べるのではなく、下手でもいいからやりたいことを見つけて突き進む覚悟を持っていてほしいです。」

杉山:「大学生にとってみれば文系・理系に引っ張られるのは、ある意味仕方がないことでもありますよね。これまでの進路選択で都度文系と理系の選択を迫られてきたのですから、ついそういう意識を持ってしまう。

本来は、社会側がもっと伝える努力をしても良いのではないかと思います。単純にインターンをしよう、とかそういう話ではなくって、社会を知る、働くということに興味を持ってもらうような活動です。

パナソニックは、企業の認知度が高いからこそイメージが先行してしまって伝えたいことを伝えられないもどかしさがあるんです。

学生も企業も、もっとフラットに出会う機会をつくっていく必要がありそうですね。パナソニックで行っている、学生の“未来”を総合的にサポートするキャリア形成支援イベント『Academia』もその取組の一つです。」

小澤:「伝える努力は絶対に必要ですね。学生は大学から得る情報も多いので、もっと企業と大学とが連携を図っていくべきだと思います。大学にある企業データが数年前のままということもあるので、もったいないと感じています。」

対談の様子

もっと寛容な就職を生み出すために、社会の風向きに変化を

杉山:「小澤さんに伺いたいのですが、どうやって学生との交流機会を設けているのでしょうか?」

小澤:「大学の食堂にお邪魔して、内定者の周囲にいる知り合いを紹介してもらうことから始めますね。僕は、学生と出会って普通に大学の話を聞かせてもらうんですよ。構内の食堂で学生と日頃の学生生活の話だけして帰る、ということをしています。

自分から大学に飛び込むことで学生との距離感を近くにおきたいと思っています。」

杉山:「学生のときって、社会人に会うハードルがすごく高いじゃないですか。失礼なことをしたらいけないとか、怒らせてしまうかもしれない、とか。僕らはなにも考えずに会いにきてほしいと思っているのに(笑)

学生のちょっとした勇気と、小澤さんのように対等に学生と話す姿勢のように、学生も社会人ももっとお互いに寄り添っていくべきなんでしょうね。」

小澤:「あとは、杉山さんのように大企業→ベンチャー企業→大企業みたいなキャリア選択があることも、ほとんど知られていないような気がするんですよね。

大企業に入社したら、一生その会社にいないといけないと思い込んでしまう。そういった、少ない情報から想像によってつくられる企業や就職活動のイメージも無くしていきたいです。」

杉山:「就職って、もっと柔軟で良いですよね。入社したり、退職したり、転職したり、はたまた学生に戻ってみたり。いろいろな人生に寛容であるべきだと思います。

だから僕らは、ただ入社する人材を決めるための採用活動ではなく社会を変えるための採用活動に変えていきたいです。大企業だからこそできる大きなうねりを、採用の観点から生み出して日本全体の風潮を変えていこうとしています。」

*所属・内容等は取材当時のものです。