材料分析 Materials Analiysis

色々分析してみたけど、特性変化の要因がわからない
 … 元素同士の結合状態の可視化で解決します!

~ 第一原理計算を用いたTEM-EELSスペクトルSim技術のご紹介 ~

2022年3月4日

こんにちは。材料ソリューション部 微細構造分析課の橋本です。

微細構造分析課には表面構造分析の専門家、ナノ構造分析の専門家がおり、私はナノ構造分析の専門家として主にTEMを担当しております。TEMは空間分解能が0.1~0.2nmと非常に高く、物質の分子・原子レベルの微細構造を観察することができる装置です。

TEM(JEM-F200)

観察するだけではなく、エネルギー分散型X線分析(EDX)と組み合わせることで微細構造の組成分析も可能ですが、近年の技術進歩により化学結合状態の分析も可能となりました。それが電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy, EELS)という手法で、試料物質との相互作用によりエネルギーを失った非弾性散乱電子を分光することで、試料の化学結合状態を評価できる手法です。例えば電池材料においては、活物質と電解液の反応層の解析などに非常に有効です。

EELS検出器の模式図

このように、TEM-EELS分析は高い空間分解能で、微小領域の化学結合状態を評価できる強力な手法ですが、取り扱いに注意が必要な手法でもあります。なぜならば、EELSスペクトルは微小な構造の変化で、スペクトルが変化する性質を持つためです。つまり同じ組成の結晶材料でも、結晶構造が異なるとスペクトル形状が変化する可能性があり、評価・解析が難しいという特徴があります。

そこで我々は、第一原理計算を用いた実験スペクトルの解析技術の開発に取り組んでいます。第一原理計算というと内殻電子の軌道をあらわに計算しない擬ポテンシャル法がよく用いられていますが、EELS分析は内殻電子が励起した際のスペクトルを得ているため、我々は主に内殻軌道まで計算する全電子計算法を用いて技術開発に取り組んでおります。その一例として、下記に酸化マグネシウム(MgO)のMg-K端の計算スペクトルを記載しています。

MgOの計算スペクトル(Mg-K端)

このように、コンピューター内で作成した結晶構造を用いて電子状態計算を行いスペクトルを描画させることで、実験で得られたEELSスペクトルから原子配列・電子構造に関する情報を抽出しています。この計算手法はTEM-EELSだけではなく、シンクロトロン放射光を用いて測定されるX線吸収スペクトル(XAFS)のスペクトル解析にも用いることができます。

その他材料系でも計算を実施しておりますので、ご興味ある方は下記からお問い合わせいただければと思います。

お問い合わせの際は、以下のリンク先からお願いいたします。

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