
妨害電力で使用する吸収クランプと金属壁との距離について
2011年8月25日
EMC 橋坂です。
今回は,妨害電力測定で使用する吸収クランプと金属壁との距離について実験してみました。
なぜ,そのような実験を行ったかといいますと国内の電気用品安全法では,金属壁から「40m以上離す」と要求がありますが,国際規格では金属壁から「80cm以上離す」と要求があります。
規格によって金属壁からの距離が異なりますが, 何cm離すと金属壁の影響が少ない状態で測定できるのでしょうか?
もしかすると,どちらも変わらないのでしょうか?
気になりましたので,実験を行ってみました。
<実験方法>
1)下図の通り,セットアップを行う
2)トラッキングジェネレータには同軸ケーブルのシールド部を剥いたケーブルを接続し,CDNを介してグラウンドに接地する
3)トラッキングジェネレータより信号を送信する
4)金属壁を設置し,スペアナに接続された吸収クランプを移動させながら最大値を計測する

<実験結果>
金属壁がない状態の結果を基準とし,金属壁の位置40cm(青)のときの差と80cm(赤)のときの差を示したものが下記の結果となります。

金属壁が40cmの位置にある場合の基準との差は±5dB程度,
金属壁が80cmの位置にある場合の基準との差は±1dB以内という
結果になりました。
<まとめ>
実験結果より,金属壁から80cm以上離すことで,金属壁の影響が少ない状態で測定が実施できることがわかりました。
測定の再現性を考慮すると,電気用品安全法の場合でも,金属壁からは80cm以上離した状態で測定することをお勧めします。
妨害電力測定の際には,金属壁からの距離も気にしながらセットアップを行っていただければと思います。
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