HALT/HASS試験とは

  • HALT(Highly Accelerated limit Test)は、製品に強いストレスをかけ壊れるまで試験することで、数日程度で製品の弱点を明らかにし、弱点を改善することで、結果的に信頼性の向上ができる定性的な加速試験方法です。
  • HASS(Highly Accelerated Stress Screen)は、製品の製造・検査工程の品質維持、管理を行うための試験で、試験条件は、HALTで得られた結果を基に決定します。
HALT試験流れ 設計段階での製品に強いストレスを加える→動作・破壊限界を見極める過程で弱点を明らかにする→弱点を修復する→信頼性試験の時間短縮が開発期間の短縮に繋がる

試験の基本

決められた試験での合否判定ではなく、どのくらい仕様に対する余裕があるかを見極める。 温度+振動のストレスを加える装置のため、湿度、腐食ガス等は評価できない。

不都合の短期再現、未然防止

<不具合の短期再現、未然防止>

不都合の短期再現(設計→製造→出荷→NG:不都合発生→TALT:短期再現又はHST:再現→解析→不都合修正) 不都合の未然防止(設計→HALT:弱点顕著化又はHST:再現)→解析→設計修正→製造→出荷→不都合のリスク低減

HALT装置

高速温度変化&6軸ランダム振動を同時に印加できる高加速試験装置(米国QualMark社製 Typhoon2.5)

  1. 温度:-100~200℃(60℃/分以上)
    冷却:液体窒素をガス化して噴射
    加熱:40Kwニクロム型ヒータ

  2. 6軸ランダム振動:
    最大50Grms(10~5000Hz)
    加振:エアシリンダ(8機)のハンマーで振動盤を叩き、インパルス状衝撃を連続発生
HALT本体(構内は窒素置換)

対象の弱点を顕在化し開発期間の短縮に貢献

5つのステップストレス試験や複合振動試験などで、製品の弱点 を見つけ出し、改良・対策の後、再試験で良い結果が得られれば、 製品の仕様に反映し、従来型の信頼性試験での確認を行います。 長時間の信頼性試験を再度行うリスクが低減でき、コスト及び 開発期間の短縮に貢献します。
また、不具合の内容によっては、従来型の信頼性試験では再現が難しいトラブルも、HALTで短時間で再現できる場合もあります。

振動盤(762mm角)加振動エアーシリング8機

試験方法

<ステップストレス試験>

ストレス(温度、振動)をステップ状に変化させて加え、その都度、機能確認によりOK又はNGをチェックします。

ステップストレス試験 標準的な5つの試験ステップ1.低温ステップ→2.高温ステップ→3休息温度変化ステップ→4.6軸ランダム振動ステップ→複合ストレスステップ ■調査項目・LOL:低温動作限界 ・LDL:低温破壊限界 ¥UOL:高温動作限界 ・UDL:高温破壊限界 ・VOL:振動動作限界 ・VDL・振動破壊限界 ■機能モニタ 試験試料により、連続モニター又は負荷変更後に機器の機能チェックを実施 ■試験モード 試験内容によち、特定のステップ試験を連続で行う場合もあります ステップストレス試験 標準的な5つの試験ステップ1.低温ステップ→2.高温ステップ→3休息温度変化ステップ→4.6軸ランダム振動ステップ→複合ストレスステップ ■調査項目・LOL:低温動作限界 ・LDL:低温破壊限界 ¥UOL:高温動作限界 ・UDL:高温破壊限界 ・VOL:振動動作限界 ・VDL・振動破壊限界 ■機能モニタ 試験試料により、連続モニター又は負荷変更後に機器の機能チェックを実施 ■試験モード 試験内容によち、特定のステップ試験を連続で行う場合もあります

<複合振動連続試験>

連続で50Grmsのランダム振動の強いストレスを加えることで、はんだやカシメなどの接続部の不具合を短時間で顕在化します。

複合振動試験 ・温度:LOL⇔UOL 各10ふん 5サイクル ・加速度:50Grms

【事例1: コネクタの接触不良】

製品中に使用されていたコネクタの接触不良が原因の不具合が発生したので、使用されていたNon-ZIFタイプと変更予定のZIFタイプをHALTにて比較した事例です。

  • 試験試料:FFC(Flexible Flat Cable) ハウジング10極
試験試料 Non-ZIF(ロック無)及びZIF(ロック有)の各オープン・クローズ・内観・構造図
  • HALTへの取付け
HALTへの取付け 電圧加工による接触不良検出(抵抗・コネクタ接触抵抗・リード線抵抗) HALTへの取付け 電圧加工による接触不良検出(抵抗・コネクタ接触抵抗・リード線抵抗)
  • 試験条件
試験条件 HALT条件 複合ステップストレスの温度変化(-40℃~80℃)、6軸ランダム振動(20Grms一定)、サイクル(5回)※HALT1  複合連続ストレスの温度変化(-60℃~100℃)、6軸ランダム振動(20→5→20Grms)、サイクル(回)※HALT2 ※1サイクル(20分):高温(5分)→移行時間(5分)→低温(5分)→移行時間(5分)

【事例2 : はんだ接続部評価の加速検討】

ヒートショック試験(以下、HSTと記す)に対するHALTのはんだクラックの加速性を調査した事例です。

  • 試験条件
試験条件 方式:(HALT(複合ストレス):温度変化:-40⇔85℃/振動:50Grms/サイクル:高温:10分 温度変化:-50⇔105℃/振動:50Grms/サイクル:低温:10分 温度変化:-60℃⇔125℃/振動/50Grms 再栗:移行時間:各5分 ヒートショック(気相式)温度変化:-40⇔85℃/サイクル:各30ふん)
  • 試験試料(基板)
  1. 部品:7.92mmピッチ4ピンコネクタ雄
  2. 鉛フリーはんだ:2種類
    ・Sn3.0Ag0.5Cu(以下、3Agと記す)
    ・Sn0.7CuNi(以下、Ag無と記す)
  3. 基板:ガラスエポキシ,紙フェノール 2種類
    ・面積比R(ランド,ホール寸法の組み合せ)を12種類
基板 試験脚気 基板 試験脚気
  • はんだ量と耐クラック性、及びHSTとHALTの加速性考え方
はんだ量と耐クラック性、及びH、HSTとHALTの加速性の考え方
  • 試験:試験実施状況
試験実施状況(振動盤への固定・モニター装置・棚へ吊り固定・モニター装置) 試験実施状況(振動盤への固定・モニター装置・棚へ吊り固定・モニター装置)
  • HALTとHSTのはんだクラック例
HALTとHSTのはんだクラック例 HALTとHSTのはんだクラック例
  • 試験結果:HSTとHALTの比較
HSTとHALTの比較
  • 結果まとめ
結果まとめ 共通試験条件 (温度変化(℃):TALT条件/-60℃⇔120℃各10分 HAT条件/-40℃⇔85℃ 各30分 加速度(Grms )HALT条件/50 HST条件/-) クラックが発生する時間(HALT条件(時間)/5 HST条件(時間相当)/500 対HST加速性/100) 
  1. 本試験条件に於いてはHSTとHALTとの強い加速性が認められた。
    ⇒時間換算で約100倍
  2. HALTの加速性には振動ストレスが効果的に寄与している。
    ⇒繰り返し振動応力がはんだクラック生成に大きく影響している。

【事例3: 車載用USBコネクタの堅牢性評価】

USBコネクタの電気的接続部が、温度変化や振動の影響を大きく受ける自動車や屋外機器で使用される場合、その影響で微摺動磨耗による接触抵抗が上昇し、導通不良に至る可能性をHALTによって評価し、各種試料の堅牢性を比較した事例です。

<微摺動摩耗による接触不良とHALT>

微摺動摩耗による接触不良は、一般に温度ストレス環境下でも振動環境下でも発生し、両者を組み合せたHALTでは、短時間で発生しやすい。
微摺動摩耗による接触不良は、 HALTの6軸ランダム振動により機器内の接合の方向性を問わず、発生しやすい。

  • 試験試料:USBコネクタ(車載用含む4種)
試験試料 (100円均一品・情報機器用・互換品・純正品)
  • 試験結果:USBコネクタの種類によっては、微摺動磨耗による接触抵抗の変化を確認
振動ステップ試験時の接触抵抗変化例
試験後コネクタの接触面と元素分析

今回評価したUSBコネクタの接触抵抗安定性の順位付け

<接触抵抗安定性>

純正品 > 情報機器用 > 互換性 > 100円均一品

この接触抵抗安定性は、「Au(又はPd)めっきの厚み」や「コネクタの接触圧」が影響していると推定されます。

コネクタソケット表面の元素含有率比較
コネクタ引抜き力と最大抵抗値の関係(50Grms)

USBコネクタ以外にも車載用途の機構部品や機械的なストレスの影響を受け易い機器を対象として、HALTは脆弱部の優劣を短期間で検出できます。既存製品や他社製品とのベンチマーク評価にも活用可能です。

イメージ

【事例4: ねじ締結部の信頼性評価】

自動搬送装置に使用している『ねじの緩み』を評価した事例です。

<ねじの緩みの主な原因>

外部からの振動や衝撃で、下記①~➂により軸力が低下することで、ねじの緩みが発生
します。

① ねじやボルトが戻り方向に回転し、トルク緩みが発生
② ねじやボルトの頭部座面に隙間が発生
③ 被締結物同士の接触面に隙間が発生

ねじ緩みの主な原因イメージ図

HALT振動は、振動試験で加振されるX,Y,Z軸方向の直線運動に加え、回転運動により、ねじ締結部の限界点抽出を効果的に評価できます。

HALTによるねじ緩み(動画)

<振動試験とHALTの加振状態比較>

試験方法

振動試験

HALT

加振状態

直線運動のみ

直線運動回転運動

イメージ図

振動試験時、ねじ締結部に加わる振動ストレスのイメージ図
HALT時、ねじ締結部に加わる振動ストレスのイメージ図

試験結果
(約1日)

緩み再現しない

緩み発生

HALTを用いたねじ締結部の信頼性評価(before/after) before
before
HALTを用いたねじ締結部の信頼性評価(before/after) after
after

このようにHALTを用いることで、ねじの緩みを短時間で顕在化します。

設備紹介

試験機

装置仕様

HALT(Highly Accelerated Life Test)

HALT(Highly Accelerated Limit Test)

  • 加振方式:6DOFランダム、最大加振:50Grms(10~5kHz)
  • テーブル寸法:762×762mm
  • 設定温度範囲:-100~200℃
  • 温度可変勾配:60℃/分
  • 冷却:液体窒素噴射
  • 加熱:強力ニクロム型ヒーター

プロダクト解析センターではHALTの受託試験も承っています。お気軽にご相談ください。

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