リチウムイオン二次電池の耐類焼試験とは

リチウムイオン二次電池(LiB)は、高容量かつ軽量でもあることから、車載用バッテリーや蓄電システムのみならず、モバイルバッテリーをはじめとした、様々な身近な製品にも多く普及しています。しかし、これらは、電解液に有機溶剤が用いられていることもあり、予期せぬ発煙・発火事故が後を絶ちません。

この時、LiBを1本のみ使用している製品であれば、被害は最小限に抑えられますが、複数本使用している製品であれば、初めの1本がトリガとなって隣接した電池が次々と発煙・発火(類焼)し、被害が拡大する可能性があります。そこで、この耐類焼試験は、トリガとなる1本目の電池(トリガセル)を強制的に発火させることで、隣接した電池(隣接セル)の類焼の有無を評価するための製品(組電池・システム)の安全性試験です。

例)LiBを3本使用した製品の耐類焼試験の概要

釘刺試験

LiBの耐類焼試験に用いられる試験方法の中でも、最も一般的な手法であり、トリガセルに任意の釘を刺すことで、LiB内部を強制的に短絡させ、発火に至らせることが可能です。

試験機

装置仕様

釘刺試験
  • ステージ:W800×D800×H650 mm
  • 釘刺速度:0.5~10.0 mm/s
  • 最大荷重:20 kN
  • 最大ストローク:600 mm

※ 燃焼試験室内に装置を設置しているため、解放系での試験が可能です。
※ 1サンプルあたりのLiB最大積載量は単電池10本程度。(要相談)

過充電試験・充放電試験

釘刺試験においてトリガセルが発火に至らなかった場合には、トリガセルを過充電状態とすることにより発火に至らせることが可能です。 その他、LiBの耐類焼試験前の充電や充放電カーブの取得にも用いることが可能です。

試験機

装置仕様

過充電試験・充放電試験
  • 出力:10 ch
  • 充電電流範囲:0.0~5.0 A   放電電流範囲:0.0~5.0 A
  • 充電電圧範囲:0.0~5.0 V   放電電圧範囲:-0.5~5.0 V
  • 充電モード:CC / CC-CV      放電モード:CC / CP

※ 0~80 V、50 A の電源を用いた過充電試験も可能です。
※ 現在、充放電サイクル試験は対応しておりません。

加熱試験

LiBの類焼は、トリガセルからの熱で隣接セル内部の温度が上昇し、LiB内の化学反応が異常に起こる(熱暴走する)ことで発煙・発火に至ります。そこで、 この隣接セルを防爆仕様の恒温槽を用いて安全にLiBを加熱することで、熱暴走から発煙・発火に至るまでの挙動を把握し、LiBを安全に使いこなすための製品設計へとフィードバックが可能です。

試験機

装置仕様

加熱試験
  • 内寸:W600×H600×D600 mm
  • 温度範囲:室温+10~300 ℃

※ 現在、単電池(単セル)でのみ試験を対応しております。
 (パック・製品での試験は不可)