実践教員特別対談

パナソニックTeachers’セミナースペシャル2018登壇教員
●東京学芸大学附属世田谷中学校 篠塚 昭司 先生
●西東京市立田無第四中学校 清水 祥彦 先生

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2020年オリンピック・パラリンピックイヤーに 実施したいオリンピック・パラリンピック教育の魅力!!

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2020年の一大イベントである「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」。社会的な注目度も高く子どもたちも生活の中で関連情報に触れる可能性が高いことも踏まえ、社会に触れる学びの機会として教育に生かす「オリンピック・パラリンピック教育」が東京都を中心に全国で推進されています。
(*東京都のオリンピック・パラリンピック教育について:東京都教育委員会
https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/
様々な形でオリンピック・パラリンピック教育が行われる中で、パナソニックはオリンピックとパラリンピックを「題材」として、国際社会や技術革新、共生社会や持続可能性などをテーマにした学びを実現する教材を提供しております。
今回は2名の先生方に教材を活用して実践いただいたオリンピック・パラリンピック教育の実践事例や授業アイディア、教材の活用価値などを教育現場の視点から話をしていただきました。

篠塚 昭司 先生と清水 祥彦 先生の写真

①オリンピック・パラリンピック教育とパナソニックプログラム活用の魅力と価値

#映像教材 #アクティブ・ラーニング #資質・能力 #教科等横断

授業で「オリンピックとパラリンピック」を題材として扱うメリットは?

篠塚 昭司 先生の対談様子の写真

【子どもに身近で、圧倒的に興味をひく題材】

2020年の日本でオリンピックとパラリンピックは間違いなく社会現象になるとても大きなイベントです。それは子どもたちが生きている”日常”で起こることです。授業でオリンピックとパラリンピックを扱うと、それを通じて得た学びや考えが、子どもたちの日常で活用できる可能性が高い。今後、テレビやメディアで大会の様子や競技、選手、国、その背景にある社会的な動きに関連する情報を得たり、または大会に直接関わったりする機会があるはずで、様々な形で子どもたちにとって、生きた学びになるとても魅力的な学習題材だと思います。

【オリンピックとパラリンピックのこと “を” 学ぶではなく、
オリンピックとパラリンピック ”で” 学ぶということ】

ただ、私が大事だと思うポイントはあくまでオリンピックとパラリンピックは題材だということです。もちろんオリンピック・パラリンピック大会自体も学習の題材になりますが、大会のことを学ぶだけでなく大会を通して見えてくる社会的・経済的・政治的・国際的な側面などに着目して学習を広げていくことが重要だと思います。特に自分ごとにしづらい社会課題に対して、世界的なスポーツの祭典という子どもの興味を引く題材で子どもたちを学びに引きつけることができる点が、オリンピックとパラリンピックを題材として扱う魅力の一つです。

パナソニックの「オリンピックとパラリンピックを題材とした 教育プログラム」の良さは?

【プロが撮影した迫力の映像や使いやすい教材】

プロが撮った映像があるということはとても良いですね。実際、映像を見せると、一気に子どもたちの注意が授業に向きます。また、スライドやワークシートなどの教材が教員で編集できるのも私にとっては良かったです。好きに編集したり教員の使いたい部分だけを取り出して、授業に合わせて使えるのはとても重要なポイントです。元々構想をしていた授業にフィットするように自分で合わせられますね。

清水 祥彦 先生の対談様子の写真
スライド教材の写真

    映像教材

スライド教材の写真

進行スライド

ワークシートの写真

ワークシート 

篠塚 昭司 先生の対談様子の写真

【資質・能力を育成するワークの参考に】

確かにアレンジできるのは良いですね。また、思考ツールが組み込まれたワークも良いと思います。各プログラムに特徴的なワーク手法が組み込まれているので、実際に授業を実施することで、教員にとってもワークや授業展開が参考になる可能性もあります。
特にこのプログラムでは、21世紀型能力という資質・能力を育成する授業設計なので、例えば「メタ認知」を育成するためのワーク手法などが明確に設定されています。教員がこういう力を育てたいという視点さえ明確に持っていれば、同じような能力を育てたいときに他の授業でもワークなどを活用できる可能性もあると思います。

【アレンジでより自分の授業に合う形に】

実際私はプログラム⑤のワークの基本設計を活用しながら、自分の授業でアレンジしてみました。 基本のワークは「新競技場の建設」について、賛成か反対か、自分の意見を賛成・反対を両極にとった軸のどのあたりに位置づくかをワークシートに記入して、議論しながら進めます。

ワークシート「※参考:プログラム⑤ワークシート(一部)」の写真
清水 祥彦 先生の対談様子の写真

私はクラス全体で議論できるようにするために、各人の意見変容を把握しやすくする工夫をしました。簡単にいうと議論の前後で子どもたちの考えを付せんに書いてもらい、それを自分の出席番号が書かれたマグネットで貼ってもらったのです。議論前の上軸では賛成位置にいたのに、下側の議論後では反対位置になっている、などが出席番号を用いることですぐに把握して意見を拾えるようになりました。これに合わせてワークシートも少し変えて使ったのですが、このように自分でアレンジできるのはとても使いやすくて良いですね。

付せんと出席番号マグネットを使って 生徒の意見変容を一覧化するアレンジの写真

付せんと出席番号マグネットを使って
生徒の意見変容を一覧化するアレンジ

清水 祥彦 先生の対談様子の写真

【他教科でのワークの応用の可能性】

実際私はプログラム⑤のワークを実施した後、これは使える!と思って理科の授業で使ってみました。
「批判的思考力」に重点を置いた授業で、実験をもとにグループで考えた仮説について意見交換する際に、ワークシートを使って自分たちの仮説に対する「自信の度合い」と「意見交換で新たに得た視点」を書き込めるようにして、ディスカッションしてみました。基本となるワークシートがあれば、全てを一から作成するわけではないので、他の授業でも応用しやすいと感じます。

本プログラムを実施することによる教員自身にとってメリットはありますか?

篠塚 昭司 先生の対談様子の写真

【新任の先生などにとって、
授業の型やワーク設計の参考にもできる可能性】

このプログラムは一つの授業として形になって提供されているので、それをそのまま実施してもある程度豊かな学びが実現するプログラムになっていると思います。そう考えると、授業の経験を積んでいきたい新任者や若い先生にとっても、この授業を行うことで、授業設計やアクティブ・ラーニング的なワークの設計などの参考としても学びが得られるかもしれません。

その意味では学年一斉実施などを行って、授業の質向上を狙って活用することも考えられますが、重要なのはこの授業を通して何を育成するのか、という視点だと思います。いわゆるコンテンツではなく、コンピテンシーに意識があって初めていろいろな活用の幅が広がると思います。

NEW  ②東京2020大会以降のオリンピック・パラリンピック教育とレガシー

#SDGs #レガシー #持続可能性 #ESD #探究

東京2020大会後はどんな授業ができると思いますか?

清水 祥彦 先生の対談様子の写真

【大会後は「持続可能性」や「SDGs」で】

オリンピック・パラリンピックの前に、それに関連する授業は全国で盛り上がるでしょう。ですが、大会後にこそ、SDGsや持続可能性という観点での授業が設計しやすくなると思います。例えばプログラム⑤の「競技施設をどうするのか」という問いが、日本の社会に現実の課題として現れるわけです。実際に大会で使われた後、今後どう使うのがいいのか、これらを考えることで「レガシー」(大会を通して後世に遺すべきもの)を考えることにもつながります。

【ソフト面のレガシーを大切にしたい】

そうですね、私も清水先生と同意見です。あと、2020年の大会のレガシーを考える際には、施設などの「ハード」の部分と、価値観や考え方なども含めた「ソフト」の部分も扱うべきだと思っています。例えば海外の方がたくさん来た際に「おもてなし」として実施された取組、仕組みやマインドなどを今後の日本でどう活用していくか、そういう視点も大切にしたいです。
2020年以降の学習指導要領では「持続可能な未来のつくり手」という言葉も出ています。持続可能性などの概念は実感としての理解は中々難しいですが、今回の大会を題材に学べると、子どもたちの興味・関心や社会のリアルに即して、学びが深められると思います。

篠塚 昭司 先生の対談様子の写真

オリンピック・パラリンピック教育で持続可能性をテーマにした授業はどうやって行うのか?

篠塚 昭司 先生の対談様子の写真

※ESD:Education for Sustainable Development
※SDGs:Sustainable Development Goals

【ESDとオリンピック・パラリンピックを
題材にした教育の親和性は高い】

持続可能性と聞くと、学校現場ではESDやSDGsが思い浮かぶと思います。*ESDは持続可能な開発のための教育のことで、*SDGsは国連サミットで採択された持続可能な開発のための国際社会の共通目標です。
私はESDの視点から考えて授業を行ったことがあります。いわゆる総合的な学習の時間で「私たちの東京オリンピック・パラリンピック」と題した探究的な課題解決型のカリキュラムを編成し、最終的には調べて考えた課題の解決策を、よりよい大会にするために「中学生からの提案」としてまとめて、関係各所へ提案しました。

生徒が考えた誰にでも伝わるピクトグラムの改善案を掲示している写真

生徒が考えた誰にでも伝わるピクトグラムの改善案

関係者への提案の場面の写真

関係者への提案の場面

ESDの視点としては、ESDの学習指導で重視する7つの能力・態度、またESDを構成する6つの構成概念があり、それらの資質・能力が発揮される場面、また学習を通して構成概念に関連する概念的知識を獲得していくカリキュラム構成も意識しました。
オリンピック・パラリンピックを学習題材にしたときに、無理のない形でESDで扱いたい概念に触れることができます。オリンピック・パラリンピックという題材とESD、またSDGsなどに代表される持続可能性に関連したテーマの学習は、親和性がとても高いと思います。

ESDの視点に立った学習指導で重視する能力・態度(例) ①批判的に考えるカ ②未来像を予測則して計画を立てるカ ③多面的、総合的に考えるカ ④コミュニケーションを行うカ ⑤他者と協力する態度 ⑥つながりを尊重する態度 ⑦進んで参加する態度
持続可能な社会づくりの構成概念(例)  Ⅰ 多様性 Ⅱ 相互性 Ⅲ 有限性 Ⅳ 公平性 Ⅴ 連携性 Ⅵ 責任性

※参照:国立教育政策研究所 「ESDの学習指導過程を構想し展開するために必要な枠組み」

持続可能性やレガシーに着目した際に 来年度、どういう授業を実施したいと思われますか?

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【SDGsに関連した授業】

もうすでに実施した部分もあるのですが、SDGsに関連させて授業を行うことも可能だと思っています。
まず、SDGsは子どもに馴染みがないので、SDGsについて知り、理解を深めるという段階が必要です。私の場合、各17のゴールに関連するニュースなどを身近な新聞やネット記事などから探してきて、各人がスピーチをし、意見交換をしていきます。 SDGsは大きな概念なので、自分で選ぶことで少しでも「自分ごと」として捉えられるようにしたいと思っています。

私は生徒の批判的思考力を育成させるために、同じゴールを選んだにも関わらず、取り上げた記事や意見が違う仲間同士でのディスカッションを行わせました。そこで出た不明な点や新たに生まれた問いから、次のリサーチ、その後の探究につなげていきました。
上記のような学習の流れでは、選んだSDGsの目標(ゴール)に関連する「オリンピック・パラリンピック大会」の現状や課題を調べるのもよいと思います。学習題材として、幅広い内容を含んでおり、またニュースを始め、いろいろな取組や情報も豊富にあります。

【オリパラに関する体験・経験を生かした授業】

私もSDGsに関連する授業はプログラム⑤を実施した後に発展的に行いました。テーマとしてホットでもあり、親和性も高いですよね。
来年度の授業については、やはりレガシーの考え方や持続可能性は扱いたいです。2020年、子どもたちは間違いなくテレビやネットのニュースなどで大会やそれに関連する情報を見るでしょうし、東京都では、中学生が直接大会を見る機会を設けています。そういった機会を貴重な体験学習として前後で学習を組みたいですね。

清水 祥彦 先生の対談様子の写真

例えば、プログラム⑤にあるように、施設の使い方を大会前に議論した後、実際に見る機会を設けて、大会後はどう活用するかを地元の方へのインタビューなども踏まえて、考えることはやってみたいですね。正直、題材はオリンピック・パラリンピック大会でなくてもいいのですが、子どもたちが社会のリアルな動きを感じて、社会課題を知って考える機会として、教科に限らず生きた学びになる絶好の機会だと思っていますので、うまく活用したいです。

インタビュー協力教員

芸大学附属 世田谷東京学中学校 篠塚 昭司 先生

東京学芸大学附属
世田谷中学校
篠塚 昭司 先生

西東京市立 田無第四中学校 清水 祥彦 先生

西東京市立
田無第四中学校
清水 祥彦 先生

両名の先生はパナソニック「オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム」を活用し、優れた授業をされた実践事例を、パナソニックが開催しているオリンピックとパラリンピックを題材にした教育系イベント パナソニック「Teachers’セミナースペシャル2018」で登壇・発表していただきました。