オンライン授業での教材活用

関西学院千里国際高等部
日本アクティブラーニング学会会長
米田 謙三 先生

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「オリンピックとパラリンピックを題材とした教育プログラム」

オンライン授業実践教員へのインタビュー

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世の中では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、緊急事態宣言が出される中、学校は休校措置や登校制限が行われ、子どもたちの学習環境が大きく変化しています。学校・地域間でICT環境の充実度に差はありますが、この情勢を機に多くの先生方から、児童・生徒への学習機会の確保のためオンライン授業実施を一度はご検討された、視野にいれて考えた、とお声をいただきました。
パナソニックではいち早くオンライン授業を実施されている関西学院千里国際高等部の米田謙三先生にお話を伺い、今までのオンライン授業の実践で見えてきたことや課題、可能性について、現場視点でお話を伺いました。

今後、学校でICT環境の整備が進んでいくときに、
どのようなオンライン授業が求められるか考えを教えてください。

米田 謙三 先生の写真

【オンライン授業ができる環境にあっても
実際の授業は試行錯誤の連続】

今回、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、学校では休校措置に対して休校分の学習機会を確保しなくてはならなかったり、年間活動計画が立てられなかったり、先の見えない状況の中で、教員は奔走しています。  
我々の学校では幸いにもオンライン授業が実施できる環境にあったので、4月13日(月)からオンライン授業を実施することになりました。他の先生方も手探りの中でいろいろな方法を試して、ノウハウを共有しながら毎日の授業を行っています。

【オンライン授業でパナソニックのプログラムを選んだ理由】

オンライン授業が実施可能な環境の有無に関わらず、今、学校の先生方はそれぞれの環境下で、今の状況にどう対応するか必死に模索している最中です。例えば我々のようなオンライン授業が実施可能な環境にある学校では、オンライン授業はどうやったらできるのか、何を教えるのか、どういう教材を使うのか、そこから考えなくてはなりません。  
そんな中、私が今回パナソニックさんの教育プログラムを活用したのは、授業に必要な教材は全てデータで教材が提供されているからすぐに使えると思ったからです。もともとこのプログラムは以前から対面の授業で活用させてもらっていて、授業設計もアクティブ・ラーニングを意識したものだし、映像教材も迫力と臨場感がすごいので、オンライン授業でも活用できるなと思いました。また、オリンピックとパラリンピックという題材も今、社会的に話題にもなっていたり、この学習題材が生徒の日常生活でも見聞きするリアルなものなので、現代社会で活用しています。

スライド教材の写真

オンライン授業を実施する上での課題や工夫はありますか?

【オンライン授業の向き不向き】

まず、前提としてオンライン授業は万能ではなく、オンラインだからこその向き不向きがあります。あとで話しもしますが、例えばオンライン授業では生徒の反応がわかりづらかったり、ワークの実施可否や精度もソフトウェアやアプリに大きく依存したりします。  
オフラインの対面授業で培ったノウハウを活かしながら、それを拡張させてよりよい授業にするためにも、教員はオンライン授業の特性やワークなどに有効なツールを把握しておく必要がありますね。

【オンラインでは生徒の様子が見えづらい分、把握できる工夫が必要】

オンライン授業と対面の授業との肌感覚の違いは、オンライン授業では生徒の状況を把握しづらいということです。例えば、私のクラスでは通信容量や授業進行の関係で生徒たちはビデオオンオフとマイクオンオフを使い分けせざるを得ないのですが、そうなると教員の説明や呼びかけに対する生徒の反応は見えづらいので、生徒の反応・状況を把握しながら授業をするには工夫が必要です。

オンライン授業上で教員から見た生徒の様子

こういうときに、私はチャットツールを使って教員が主導になっているときでも質問・疑問を投げられるようにしていたり、共有での書き込み機能があるツールを使い、生徒が即時に質問や意見を書き込んでクラス全体で共有できるようにしています。また、それで偶発的にですが生徒同士で解決しあったりもしていますね。

実はそういったツールを提示さえすれば子どもたちの方が順応は早いので、教員側では 

  • どのツールを使うかの選択
  • どんなときにどういうルールで使うかの設計と周知

をしっかりと考えておく必要があります。これらはもちろん対面の授業準備でも大切で先生方はみなさんも実施してきたことだと思いますが、オンライン授業での大きな違いは、教員も生徒もそれに慣れていないということです。教員全体として蓄積がない分、結局は一教員レベルで思考錯誤を繰り返して改善を重ね、教員全体として情報共有しながらノウハウと経験を貯めていく必要があると思います。

テキストマイニングツールを使って生徒の意見を集約

【生徒の集中力を考慮して授業設計を考えワークやコンテンツを活用する】

オンライン授業を自宅で受ける子どもたちの状況を考えると数時間ずっと自宅のPC画面の前で座っていることになるので、集中するのがとても大変だと思います。オンライン授業に新鮮さを感じる頃はまだよいですが、慣れてくると集中力は低下していきます。  
だからこそ、授業設計で動画、画像などの素材の提示、個人ワーク、グループワークの設計と配置などは考えていて、授業の流れにメリハリがつくようにしています。

動画を視聴させている場面

今後、学校でICT環境の整備が進んでいくときに、
どのようなオンライン授業が求められるか考えを教えてください。

【オンライン授業の醍醐味は
同期性・双方向性、遠隔地の接続】

今は休校措置への対応としてオンライン授業が一部の学校で検討・実施されていますが、今後、多くの学校でも文部科学省の*「GIGAスクール構想」にあるように、確実にICT環境整備は進んでいくと思います。そのときに、オンラインでつながることで、本来、物理的には行けない遠隔地にいる人(地方に住む人、海外に住む人)などとつながり、また同時・双方向で交流することができます。そういった体験が教室の中でもできることで、学校がより生きた学びの場「社会に開かれた教育課程」にも近づくと思います。

*出典:文部科学省「GIGAスクール構想の実現について」 

米田先生には、プログラム①「大会の意義とそれを支える人々」を使って実際にオンライン授業を実施いただきました。その授業の様子については、来月、5月にレポートをお届けします。お楽しみに!

インタビュー協力教員

関西学院千里国際高等部 日本アクティブラーニング学会会長 米田 謙三 先生

関西学院千里国際高等部
日本アクティブラーニング学会会長
米田 謙三 先生

オンラインの授業もオフラインの授業も本質は同じだと思っていますが、オンライン授業だからこそできる、同じ対象に対して同時編集できる「同期性」や遠隔地でも交流できる「双方向性」を生かして、よりよいオンライン授業の形を試行錯誤していきたいです。