オリンピックとパラリンピックを題材にした教育を考える
Terchers’セミナースペシャル

2018年2月19日(月)、グランキューブ大阪(大阪府立国際会議場)において、オリンピックとパラリンピックを題材にした教育を考える「Teachers’セミナースペシャル」を開催いたしました。
2015年から継続している「オリンピック・パラリンピックを題材とした教育を考えるセミナー」ですが、今年で3回目です。
今回は、首都圏のみならず全国への展開促進を踏まえて、初めて大阪で開催いたしました。
今年は、ANAホールディングス株式会社様に共催いただき、教員の方々を中心に、企業・NPO・有識者を含む86名の方に参加いただきました。

「Teachers’セミナースペシャル」映像(ダイジェスト版)

パナソニック株式会社ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部 部長 福田里香による挨拶とセミナーの主旨説明を皮切りに、新学習指導要領の柱である「社会に開かれた教育課程」の実現に向けた、オリンピックとパラリンピックを題材にした教育の在り方について、第1部、第2部、第3部にわたり、参加者参画型で実施いたしました。
多くのみなさまにご協力いただき、参加いただいた先生方の、「オリンピック・パラリンピック教育の概要や魅力を知りたい」「実施経験や指導案・指導計画がないから、紹介が楽しみ」という期待に応える、充実したセミナーになりました。

開会のあいさつ

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部 部長 福田 里香

私たちは、このオリンピック・パラリンピック教育に対して企業が取り組む意義を、次のように考えています。

  • 次世代の人材育成は、社会全体でやっていくものである。
  • 社会で求められる力「やりぬく力」「行動力」「想像力」「コミュニケーション力」などは、教育の早い段階から身につけた方がよい。
  • オリンピック・パラリンピックという社会にとっても大きなことを題材にした教育こそ、われわれ社会人・企業人の出番ではないのか。

これらは、いずれも新学習指導要領の考え方、「社会に開かれた教育課程」と重なるものと考えます。
学びは一生続くものです。授業で「社会に触れる」こと、「今の勉強が将来につながる」という実感をもたせることはとても重要なことです。
オリンピック・パラリンピックという子供たちに身近な題材を使った教育が、
今日をきっかけに、全国へ、子供たちの未来に向けて広がっていくことを期待しております。

写真:パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部 部長 福田 里香

第1部基調講演 次期学習指導要領につながるオリピック・パラリンピック教育

スポーツ庁 次長 今里 讓 氏

第1部は、いよいよ開催が迫る2020東京オリンピック・パラリンピックと機を同じくして施行される「新学習指導要領」との親和性について、文部科学省 スポーツ庁 次長 今里 譲 氏に講演いただきました。
新学習指導要領の理念「社会に開かれた教育課程」の実現には、「社会的な事象・共通の話題となるオリンピック・パラリンピックを題材にすることは、まさにぴったりだ」というお話でした。
ちょうど、平昌で開催中のオリンピック冬季競技大会のテレビ報道や、それを学校で話題にしている子供たちの様子と重ねながら、「オリンピック・パラリンピック教育は、さまざまなテーマと関連させながら進めていくことができる」と、可能性を広げて考えるようお話いただきました。
参加した先生方からは、「新学習指導要領やアクティブ・ラーニングだけでなく、人権教育など、今、求められている教育全てに関連するのだとわかった。」という感想をいただきました。

写真:スポーツ庁 次長 今里 讓 氏

第2部プログラム紹介 オリンピック・パラリンピック教育に活用できる資質・能力育成型の教材やプログラム情報を紹介

第2部は、新学習指導要領で求められる資質・能力の育成と関連したオリンピック・パラリンピック教育に活用できる教材やプログラムの紹介です。

今里氏からも解説いただきましたが、オリンピック・パラリンピック教育は、次のようなものがあります。

  • オリンピック・パラリンピックそのものについての学び
  • オリンピック・パラリンピックを通じた学び

また、そこから学校の既存の教育活動と関連させることでさらに充実させる、

  • オリンピック・パラリンピックが大切にしている考え方に通じる学び

という考え方を加え、これらに基づいて、次の3つのプログラムを紹介いたしました。

プログラム紹介 ①

パラリンピックの精神を学ぶ、体験や活動を通してパラリンピックの精神を身に付ける

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会 日本パラリンピック委員会
I'mPOSSIBLEを使用したパラリンピック授業の実践例

「オリンピック・パラリンピックそのものについての学び」に位置づけられるプログラムです。
パラリンピックの歴史や競技についての座学と、実技で構成されており、パラリンピックの価値を通じた共生社会への導入を学ぶことができるプログラムについて、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会安岡由恵氏より紹介させていただきました。

写真:公益財団法人 日本障がい者スポーツ協会 日本パラリンピック委員会 安岡 由恵 氏
プログラム紹介 ②

オリンピック・パラリンピックと関連付けて学ぶ

パナソニック株式会社
パナソニックが取り組むオリンピック・パラリンピック教育への支援
~東京2020大会に向けて~

「オリンピック・パラリンピックを通じた学び」に位置づけられるプログラムです。
オリンピック・パラリンピックを題材とすることで、多文化理解や共生社会、持続可能な社会など、さまざまな今日的社会課題をテーマとして取り上げることが可能です。それらのテーマを学びながら、今、求められる資質・能力「21世紀型能力」を育成するプログラムについて、パナソニック株式会社 宮前裕子より紹介させていただきました。

写真:パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部 宮前 裕子
プログラム紹介 ③

体験や活動を通してオリンピック・パラリンピックの精神を身に付ける

ANAホールディングス株式会社
ANA Blue Academy ミライつく~る

「オリンピック・パラリンピックが大切にしている考え方に通じる学び」に位置づけることができるプログラムです。
オリンピック・パラリンピック教育を推進している学校では、従来より取り組まれているキャリア教育や人権教育、進路学習などの関連させて学びを深める、いわゆるカリキュラム・マネジメントをすすめているところもあります。
オリンピック・パラリンピックで重要な「ユニバーサルな対応」や「おもてなし」、「チームスピリット」や「努力と挑戦」などと、働く人が大切にしていることを伝えるキャリア教育と関連させることで、より学びを深めるプログラムについて、ANAホールディングス株式会社 二階堂由夏氏より紹介させていただきました。

写真:ANAホールディングス株式会社 コーポレートブランド・CSR推進部 社会貢献担当 二階堂 由夏 氏

明日からの授業にすぐにでも活用できる具体的なプログラムの紹介に、先生方からは、「自分には専門的な知識がないので、授業ができないと思っていた。こういうプログラムがあるとわかったので、ぜひやってみたい。」という感想をいただくことができました。
また、「企業提供のプログラムについて、教員の働き方改革と関連づけて話を聞いていました。うまく活用すれば、教員の負担軽減とともに、(その時間を)他の学校課題への注力にもつながる。これから有効に活用していきたい。」という感想もいただきました。

第3部情報交換会 オリンピックとパラリンピックを題材にした学習活動の事例紹介と情報交換会

第3部は、2つの教育委員会と、2つの学校の実践発表をもとにした、グループでのディスカッションです。
まずは、「自分がオリンピック・パラリンピック教育を推進していくために”得たい情報”」をワークシートに書き出しました。
「当事者意識を高める(ボランティアに参加させる)にはどうしたらよいか」「都市部との温度差を埋めるには、どうしたらいいか」…等々。
準備ができたら、事例紹介と情報交換会のスタートです!
2つの教育委員会からは、全体で推進していく際の工夫や大切にしていること、新学習指導要領との関連性などから事例を紹介していただきました。
2つの学校からは、教科の学習の中で、オリンピック・パラリンピックを扱うことでより充実させた授業の実際を紹介していただきました。

写真:グループディスカッションの様子1

情報交換会では、
「学校の特長、地域の特性に合わせて考えることが大切。長野のように理念を今でも引き継いでいるのはすごくよいと思う。」 「年間計画に位置づけたい。教科との連携は難しいと思っていたが、事例の話を聞いて実践が可能だと思う。新しい活動というよりも、今までの教育活動、教科の目標を達成するために「オリンピック・パラリンピック」というエッセンスを活用すればいい。」 「継続が大切だから、ハードルを上げすぎず、例えば今あるマラソン大会と努力の大切さをつなげるなどして、工夫してやっていくのがいいのではないか。」
など、議論が白熱。

参加した先生方からは、
「いろいろな校種や教育委員会など、さまざまな視点からの情報交換は、新たな課題意識を得ることにもつながりました。今日の学びを、明日からの授業につなげていきたいです。」
「新しく何かをするのではなくて、今取り組んでいる活動とつなげてやっていけばいいとわかった。自分でもやっていけそうだ」という感想をいただきました。

写真:グループディスカッションの様子2
写真:グループディスカッションの様子3

まとめ

写真:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 企画財務局 企画課長(文化・教育担当課長) 小林 美保様

公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
企画財務局 企画課長(文化・教育担当課長)小林 美保 氏

先生方の活発な議論、たいへん感銘を受けました。
東京2020大会を通じて、様々な方、オールジャパンにとって、意義のある大会にしたいと考えております。
第1部の基調講演の通り、「社会に開かれた教育課程」として、企業の強みを生かした教育支援は、非常に大切なことだと考えています。
東京2020大会では、今の子供たちが大会運営に関ることもあるかもしれません。大会を身近に感じてもらうことが必要です。
そこで、学校でオリンピック・パラリンピック教育に取り組みたい先生方に向け、
「自信と勇気」「多様性の理解」「主体的・積極的に社会に参画できる人材育成」というビジョンを掲げて、東京2020教育プログラムの整備を進めています。
オリンピック・パラリンピック教育に取り組む学校を、東京2020オリンピック・パラリンピック教育実施校(ようい、ドン!スクール)として認証しています。
認証学校数は、現在4680校。大会に向けて47都道府県に広げ、さらなる機運醸成をしていきたいと考えています。
また、子供たちがオリンピック・パラリンピックに参画する取組、例えば、全国の小学生によるマスコット投票など、子供たちが直接関ったり、つくりあげたりする機会の創出を計画しています。
今後の展開としましては、スポンサー企業様の連携を強め、英語、多様性の理解、おもてなしなど、オリンピックとパラリンピックをテーマにした教育の充実を推進していきたいと考えています。
また、オリンピック・パラリンピック教育に役立つ情報が欲しい方々へは、東京2020教育プログラムのサイト(3月リニューアル予定)を運営しておりますので、ご活用ください。

多くのみなさまにご協力いただいた今年度のTeachers’セミナースペシャル。
「【BEYOND2020】オリンピック・パラリンピック教育を通じた「社会に開かれた教育課程」の実現」と題して、新学習指導要領の実施と合わせて、実際の教育現場でどのように実践されてゆくのかをみなさまとともに考えることができました。
2020、そしてこれからの未来に向けて、これからもみなさまと考えてまいります。