◆今回、解説する役割カードはこれ!

「教材+α情報」では、「私の行き方発見プログラム」の4つのテーマのキャリア教育プログラム教材を、より有効に活用いただくための情報を提供してまいります。その一つとして、プログラム①「会社の役割発見」で使用する30種類の「役割カード」の中から、「生徒達がイメージしにくい」との声が寄せられた「役割カード」について、出前授業の社員講師等へのインタビューを交えながら、分かりやすく紹介していきます。今回は「生産技術」と「社会貢献」の2つを取り上げています。

「生産技術」ってどんな仕事?
生産者技術カード

モノをつくるためのシステムを作る仕事

「生産技術」は、18種類ある「役割カード1(モノづくりに直接関わる役割)」の一つです。外部からは見えにくい職種ですが、一般には、「製品を効率よく安定して作り出すための生産システムを考えて作る仕事」を指します。パナソニックにおける生産技術の具体的な仕事内容について、インダストリアルソリューションズ社の金津工場(福井県)に勤務する生産技術部の小林良祐さんにお話を伺いました。

■「生産技術」について中学生に説明する場合、どのような言い方が適切でしょうか?

---端的に言うと「モノをつくるためのシステムを作る仕事」です。製品を製造するための設備を設計・導入し、その後のメンテナンスや改善も行います。システムには、工場の運営に必要な電気などに関する設備や、時には工場の建屋なども含まれます。

■現在担当している仕事について教えてください。

--私が所属しているインダストリアルソリューションズ社は、一般の消費者向けではなく、企業がシステムや製品を作る際に必要となる内部に組み込む機器を製造しています。その中で私が担当しているのは、赤外線センサーの生産ラインです。赤外線センサーは、様々な社会課題の解決に役立っています。例えば、近年、建築部門での抜本的な省エネルギー対策として、ビル全体のエネルギー消費量を大幅に削減し自然エネルギー等の活用を図る「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の普及が進んでいます。そこでは、センサーを活用したエアコンや照明機器等の省エネルギー化が重要となります。また、介護の分野でも、お年寄りの状態をセンサーを使って離れたところからも把握できるようなシステムが開発されています。一番身近なものでは、部屋に人が入ると自動で照明がつくような使われ方があります。

導入設備設計の様子

導入後の設備調整作業

■生産技術の仕事で特に求められる能力やスキルは何ですか?

---一言でいうと「設計力」ですね。図面を描く技術はもちろんですが、常に品質・コスト・デリバリーという観点から、それぞれに見合った設備や技術の開発を行っていく必要があります。その際、どの設備をどのように配置するのかといった“センス”も重要です。こうした仕事をする上でベースになるのが中学や高校の数学や理科などの基礎知識です。中学生の頃から現在のような進路を明確に意識していたわけではありませんが、理科や数学の勉強が好きだったことが、今の仕事にもつながっていると思います。

■生産技術の仕事をする上で、最も大事にしていることは何ですか?

---自分たちが導入した設備は、形となって残るものです。やりがいがあると同時に、それだけ責任がある仕事だと思っています。また、この仕事は一人ではできません。常に様々な年代や経験の異なる人たちとチームを組んで行います。それだけに、相互のコミュニケーションや相手への思いやりを常に心がけることが大事です。そのことで、仕事も楽しくなります。

「社会貢献」ってどんな仕事?
社会貢献カード

企業等が社会の一員として取り組む
“社会へのお役立ち活動”

「社会貢献」は、12種類ある「役割カード2(会社全体をサポートする役割)」の一つです。企業の社会貢献について単一の定義はありませんが、日本経済団体連合会では「自発的に取り組み、直接の対価を求めることなく、資源や専門性を投入し、その解決に貢献すること」と捉えています(「CSR時代の社会貢献活動(中間報告)2007年12月」。対象とする分野も、教育、文化芸術、健康、スポーツ、災害被災地支援など多岐にわたっています。近年では、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)への取り組みが重視されるようになり、社会貢献活動もCSRの一環として、それぞれの企業の経営理念や事業内容等に応じて推進される傾向が強まっています。
こうした背景のもとに行われているパナソニックとしての社会貢献活動の具体的な内容について、CSR・社会文化部で「私の行き方発見プログラム」を担当している奥田晴久さんと宮前裕子さんにお話を伺いました。

■パナソニックの社会貢献活動のベースにある考え方を教えてください。

---企業は利益を最大化するためだけに存在しているのではなく、社会の一員として、利益や企業がもつ様々な資源を社会に還元することが求められています。「事業を通じた活動」とともに、「企業市民活動」を通じて社会課題の解決や、よりよいくらしの創造や世界の人々の幸せ、社会の発展に貢献することを目指しています。最近では、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」が産業界でも共通言語となっており、当社でも力を入れています。

■パナソニックの主な社会貢献活動にはどのようなものがありますか?

---社員一人一人が取り組む「企業市民活動」も重要な柱です。それと共に「人財育成」「機会創出」「相互理解」のアプローチでCSR・社会文化部が取り組む活動として、次のようなものがあります。例えば、新興国・途上国の社会課題解決への取り組みとして、無電化地域に当社のソーラーランタンの灯りを届ける「みんなで“AKARI”アクション」。また、日本の小学校、中学校、高校を対象とした「学び支援」としては、オリンピックやパラリンピックに関する学び支援活動や、映像制作活動を通してSDGsなどの社会課題への関心を高め創造性やコミュニケーション能力等の育成を図るプログラム「キット・ウィットネス・ニュース(KWN)」。そして「私の行き方発見プログラム」などがあります。その他にも、社会課題に取り組むNPO等への支援など、さまざまな活動を行っています。

■ご自身が担当した社会貢献活動で、特に印象に残っていることは何ですか?

---「ソーラーランタン10万台プロジェクト」を担当し、インドやバングラデシュなど4か国を訪問しました。そこで、私たちが提供したソーラーランタンの灯りで勉強している子供達を実際に見た時には、胸が熱くなりました。(奥田さん)

ソーラーランタンを手渡す奥田さん
(インドネシア・西ティモール)

---出前授業を行った学校で、担当の先生から「教師でも親でもない企業の方と接すること自体が生徒達にとってはとても新鮮で、緊張感も出てきます」と言われた言葉が、今でも印象に残っています。(宮前さん)

環境イベントで生徒達を前に
レクチャーする宮前さん

■社会貢献活動を行う上で、最も大事にしていることは何ですか?

---ともすると「自分達は良いことをしている」と思いがちですが、独りよがりにならない、自分達の価値観を押しつけないことを常に意識しながら、仕事に取り組んでいます。(奥田さん)
---私も「相手の立場に立って思いを馳せること」を心がけています。私たちの活動が、未来を担う生徒の皆さんの成長に少しでもお役に立てればと願っています。(宮前さん)

パナソニックの社会貢献活動については、こちらをご覧ください。