オンライン授業レポート セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校
~生徒が自宅から参加のオンライン授業~

GIGAスクール構想の目標のひとつに「緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備」が挙げられています。感染症の蔓延や自然災害等による臨時休校等の緊急時においても、生徒が学習を続けられるよう学校および家庭でオンライン環境を整えることが大変重要であるとされています。
今月の「パワーアップ情報ファイル」では、早くから家庭でのオンライン学習を導入されてきた三重県・セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校で実施したオンライン授業の様子をご紹介いたします。

オンライン授業のポイント

【ポイント1】生徒自らが、事前接続テストに参加
【ポイント2】1人1台端末活用ならではのグーチョキパー・クイズ
【ポイント3】接続ツールの機能を活かしたインタラクティブな授業

セントヨゼフ女子学園高等学校・中学校は、国際理解やボランティア、SDGsの実践などの教育に力を入れているユネスコスクールです。キャリア教育においても、積極的に外部人材を活用しながら熱心に取り組まれています。
今回の「私の行き方発見プログラム」のオンライン授業は、中学2年生(68名)を対象に実施されました。当初は、生徒が学校へ登校し、密を避けるため、3クラスを4教室に分け、生徒一人ひとりが各自端末を活用して授業を実施される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、生徒が自宅から参加する形式のオンライン授業に切り替え、実施されました。

今年度のオンライン授業は、これまで生徒が学校の体育館や教室から参加する形式で実施されており、生徒が自宅から参加する形式は今回が初めてでした。ここでは、実際に行われたオンライン授業の中で、特にポイントとなる内容についてご紹介いたします。

【オンライン授業の実施概要】

  • 日時:2021年9月21日(火)10:00~10:50(50分間)
  • 受講生:中学2年生 68名(3クラス)
  • 受講場所:生徒が自宅から参加
  • 接続ツール:Web会議システム(Zoom)

【ポイント1】生徒自らが、事前接続テストに参加

オンライン授業は、事前に接続状態を確認しています。通常では学校で接続テストをお願いしていますが、今回は生徒がそれぞれ自宅から参加するため、生徒のみなさんの協力のもと、接続テストを実施いたしました。
生徒のみなさんには、あらかじめ接続URLを通知し、決められた時間にそれぞれ自宅から接続テストに参加していただきました。普段からオンラインで授業されていることもあり、接続や機能の確認においても問題なく、大変スムーズに確認することができました。
その他、接続テストでは、授業内容の紹介、講演中の注意事項、質問や発表の際の方法等について、全員で共有しました。

手を挙げる機能の練習をしている生徒のギャラリービュー

事前の接続テストで 「手を挙げる」機能の練習をする生徒のみなさん

【ポイント2】1人1台端末活用ならではのグーチョキパー・クイズ

授業のはじめにアイスブレイクとしてパナソニックに関するクイズ等を取り入れています。
クイズは3択形式で、選択肢は「グー」「チョキ」「パー」で答えられるようになっており、生徒のみなさんには、正解と思ったものを選んで、一斉に「グー」「チョキ」「パー」のどれかを挙げていただきます。
今回はオンライン上で生徒のみなさん一人ひとりに画面の前でグーチョキパーを挙げていただき、講師は画面をスクロールしながら、一人ひとりの回答を確認し、クイズを進めることができました。
このように1人1台端末で接続する形式では、講師は生徒一人ひとりの反応を見ながら授業を進めることができ、より双方向性のあるやり取りが可能になります。また、生徒自身も他の生徒の様子を確認することができ、一体感を感じながら授業に参加できているようでした。

グーチョキパークイズのスライドとクイズに回答する生徒の映像

「グーチョキパー・クイズ」に答える生徒のみなさん

【ポイント3】接続ツールの機能をいかしたインタラクティブな授業

授業後半に生徒と講師がインタラクティブなやりとりを行う「Q&Aタイム」と「ワークタイム」を設けています。 「Q&Aタイム」では、講師に質問のある生徒が、接続ツールの「手を挙げる」機能を活用して意思表示し、先生が指名する方法で進めました。その他チャットに質問を書き込む生徒もいました。このようにチャット機能を活用すると、短時間で複数の質問を受け付けることができ、多くの生徒に主体的に授業に参加していただくことが可能になります。

続く「ワークタイム」では、事前に配付したワークシートを使用して、「15年後のなりたい自分」について自分の考えを書き込む個人ワークに取り組み、その後、立候補した生徒による発表が行われました。

ワークタイムに取り組む生徒の映像

熱心にワークに取り組む生徒のみなさん

生徒からは「15年後のなりたい自分について」、それぞれ「英語の先生」「助産師」「整形外科医」などの発表がありました。発表を聞いた生徒のみなさんは「拍手」や「イイね!」等のアイコンの機能を使い、発表者へのリアクションを示していました。

学校から生徒の様子を見守る先生

先生方は学校から参加され、生徒の様子を見守りました

今回受講された中学2年生は、入学が新型コロナ第一波による全国一斉休校と重なり、入学式をはじめ、多くの学校行事が以前と同じようには経験できなかった世代と言われています。そのため、先生方から消極的な生徒が多いと憂慮する声も聞かれましたが、実際は、みなさんがカメラをオンにし、「グーチョキパー・クイズ」や「Q&Aタイム」、「ワークタイム」等にも積極的に取り組み、様々な機能を使って意思表示を示されていました。また、生徒のみなさん全員がスムーズに時間通りに接続するなど、ICT機器を使いこなしている様子もわかりました。そのため、大変臨場感のあるオンライン授業になりました。

「私の行き方発見プログラム」のオンライン授業は、生徒が自宅から接続する形式でも、接続ツールの機能等を活用し、対面形式と遜色のないインタラクティブな授業として実施することが可能です。また、事前学習の教材は、ICT機器での活用にも対応しているため、自宅学習でも利用いただけますので、感染症の蔓延や自然災害の影響による臨時休校時等、生徒が登校できないような場合でも、パソコンがあれば、「場所を選ばないオンライン授業」として活用いただけます。

その他、「私の行き方発見プログラム」のオンライン授業について、ご紹介しています。

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