ウォーターエイドジャパンのセミナー開催レポート

「もしもトイレがなかったら」アフリカの命に関わる問題を考える

アフリカ諸国で活動するNPO/NGOの広報基盤を助成するプログラム「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」。
2016年、2017年と助成を受け、今年度3年目の助成を受ける特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンが、11月19日「世界トイレの日」に関内フューチャーセンター(横浜市)で、セミナー「もしもトイレがなかったら」を開催しました。

23億人がトイレを使えないという現実を知る

写真:ウォーターエイドの活動写真。設置された水道と子どもたち

ウォーターエイドジャパンは、1981年にイギリスで設立されたWaterAidの日本法人。WaterAidのビジョン「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」を実現するため、2013年2月に設立されました。トイレや給水設備の設置プロジェクトは、現地で能力や技術が確実に育つように現地のパートナーと住民が中心となって行い、日本法人は、支援金を募ること、政府など意思決定機関への働きかけ、および広報が活動の柱となっています。

ウォーターエイドジャパンによれば、現在、世界の全人口の約3分の1にあたる23億人が衛生的なトイレがない環境で生活しているそうです。排せつ時にプライバシーも人としての尊厳もなく、また不衛生な環境から病気が蔓延し、1日800人の子が命を落とすという深刻な状況です。最新の報告書によると、適切なトイレを利用できない人口の割合が多い国の上位10か国は、すべてサハラ以南アフリカで、1位のエチオピアでは93%もの人々がトイレを利用できない環境で生活しています。また、インドでは、3億5500万人以上の女性や女の子が適切なトイレを利用できず、茂みや人目につかない場所に用を足しているため、日々途中で暴行される危険にも晒されているそうです。

15秒間のCMでトイレの大切さを訴えるには?

今回のセミナー「もしもトイレがなかったら」は「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」の助成の一環で行われたもの。スライドや動画による解説だけでなく、3〜4名のグループに分かれ、トイレがないとどのような問題が起きるのか、クイズやディスカッション形式で参加型のワークショップが行われました。「トイレがなかったら困ることは?」という問いには、「臭いがある」「病気が広がる」「落ち着けるスペースがない」といった意見が積極的に出され、参加者が互いに気付きを得て、トイレの重要性に対する理解を深めました。

セミナー「もしもトイレがなかったら」の看板写真

しかし、この問題の難しい点は、お金を出してトイレを作れば終わりではないことです。もともとトイレがなかった地域では、家のトイレの場合にはトイレを作ったとしても、トイレを使う習慣が根付かず、次第にトイレが使われなくなるケースが少なくないそうです。
また、公衆トイレの場合には、維持管理のしくみがきちんと構築されなかった結果、管理が行き届かず、次第に不衛生になる使われなくなるケースが少なくないそうです。そこで、トイレの大切さを訴えるにはどうすればいいか、グループで15秒間のラジオCMをつくるという試みもあり、各グループ工夫を凝らしていました。

写真:セミナー「もしもトイレがなかったら」ワークショップの様子1

サポートファンドの助成によって、スピーカーの育成に成功

同団体のコミュニケーション担当・立花香澄さんは、パナソニックの助成を生かし、こうしたセミナーで講師を務めるボランティア組織「スピーカークラブ」をもっと大きくしていきたいと語ります。スピーカーは、同団体の開催する「スピーカー講習会」を受けることで認定されます。

「水とトイレの問題は『途上国は大変だ。日本は恵まれていてよかった』で済むものではありません。もし震災などによりトイレが使えなくなれば私たちも生活に困ります。トイレがないということがどれだけ深刻であり紙一重の状況か、“自分ごと”として考えられるようにするため、このようなワークショップ形式で授業を行うようになりました。

しかし、本来の支援事業に加えて、こうした広報活動に注力するには3人の職員だけでは難しい。また事務所が東京にあるため、首都圏以外の地域まで広めることもままなりません。昨年度は助成金をいただいたことで、全国5都市でスピーカー講習会を開催することができました」

ウォーターエイドジャパン 立花香澄さんの写真

ウォーターエイドジャパン
立花香澄さん

認定されたスピーカーはこれまでに約160人。その中には静岡県・三島北高校の生徒たちも含まれており、2017年10月には高校生スピーカーたちが主体となって、一般参加の大人を対象に水問題について考える授業を行いました。現在は、スピーカーの中からいくつかの条件に合う人を「コアスピーカー」として認定し、セミナーの企画から当日の運営まですべて行うことができるように育成に励んでいます。現在、コアスピーカーは全国に6人。助成3年目となる来年度は、コアスピーカーによるセミナーを年4回行うことが目標です。

写真:セミナー「もしもトイレがなかったら」ワークショップの様子2

「各地でコアスピーカーが独自に活動し、そこでさらに『スピーカーになりたい』という人がつながっていき、支援活動が大きく広がっていくことを願っています。また、もっと学校との連携も深めて学生たちの参加者を増やすことも課題のひとつです」

23億人が衛生的な環境で暮らせるように、ウォーターエイドジャパンの活動はこれからも続きます。
パナソニックは、これからもNPO/NGOの組織基盤強化支援を通じて、市民活動の持続発展、社会課題の解決促進、社会変革に貢献してまいります。

写真:セミナー「もしもトイレがなかったら」ワークショップの様子3