第1部:動く組織・チームづくりは事業開発で解決する

<事例1>目的と場の仕様のずれに気づくことができた

ひとり親や発達障害、貧困、不登校の子どもたちへの学習支援を中心に活動しています。私たちの地域の学び舎『プラット』では学習の支援と食事の提供をおこなっていますが、本当に支援を必要とする人に届いていない、参加者数が伸びない、活動の収入基盤が安定していないなどの課題を抱えていました。そこで「自分を高く評価してほしい」というニーズを持つ中学生をペルソナに設定し、インタビューやMVPを実施したところ、目的と学習支援の場の仕様が合っていないことがわかったのです。多様な背景を認めてもらえる場所、現在の頑張りに合わせてサポートしてくれる塾を商品価値とし、学習支援に食事提供を加え、さらに月2回開催を毎週開催の商品にして展開しています。

ダイバーシティ工房 池田春奈さんの写真

ダイバーシティ工房
池田春奈さん

<事例2> 団体のよさ・意義、スタッフの顔が見えるものに

桜ライン311 矢作彩子さんの写真

桜ライン311
矢作彩子さん

岩手県陸前高田市内約170kmにわたる津波到達ラインに10mおきに桜を植樹し、津波が起きた際の避難を可能にする活動をしています。年々寄付額や寄付件数、植樹会の新規参加者が減少しており、スタッフの作業負担も増加していました。本プログラムでは、ドナーピラミッドの頂点にいる植樹会参加者で、かつ寄付もしてくれる人をペルソナに設定し、インタビューを実施。スタッフの顔が見える関係を重視し、広報ツールだけでは伝わらない団体のよさ・意義が見えるものにしていこうと考えました。そこで実施したのが、従来の植樹会に交流会を合体させる取り組みです。今後は交流会参加者の10%が寄付をしてくれることを成果指標としていきます。

<事例3> 気軽に参加できるプログラムの構築が奏功

みらいサポート石巻 藤間千尋さんの写真

みらいサポート石巻
藤間千尋さん

災害発生時に市民一人ひとりが自分の命を守ることのできる社会の実現に向けて活動しています。震災の実態を伝える車中案内や語り部などのプログラムのほか、震災伝承の無料の資料館『南浜つなぐ館』を運営にも携わっています。しかし2013年以降、プログラムへの参加者が減少傾向にあり、顧客目線での見直しが必要でした。また2020年度で終了予定の復興予算に頼らない資金体制作りも課題でした。そこで、忙しく仕事をする東京在住の人をペルソナとし、限られた時間で効率よく情報が得られる予約不要のプログラムを実施したのです。気軽に参加できることが功を奏し、当日の声かけで参加してくれる人もいて、一定の成果を確認できました。アンケートを実施しましたが、ペルソナを再設定するなど参加者の声から新たな気づきを得ることができるようになりました。

第1部の最後に、株式会社サイボウズより、NPO団体の活動をサポートするデジタルマーケティングサービスやクラウドサービスが紹介され、第1部・第2部の合間には、今回登壇したNPO団体がブースを開設。パンフレットや活動資料を配布したり、参加者との名刺交換が行われました。

登壇団体によるブースの様子2
登壇団体によるブースの様子3
登壇団体によるブースの様子4

第2部:思い込みに縛られない新規事業を生み出す

<事例1> マンスリーサポーター制度で新規の寄付者を開拓

私たちは途上国、中でもフィリピンの若者に対し、教育・進学・就労などのキャリア支援をおこなっているソーシャルベンチャーです。安定した資金源の調達が課題となっていたため、20代~30代の人たちを寄付者と想定して顧客インタビューを実施、具体的には23歳、社会人2年目の女性をペルソナとしました。国際協力に関わりたいがそれがうまく実現できていない、新たな国際協力団体との出会いを求めている人を対象にしたわけです。若い世代でも大学時代に国際協力活動に従事していた人たちはそこに自身のアイデンティティがあり、それを取り戻したいと考えている人が多いとの仮説でした。そこでマンスリーサポーター制度という月2,500円から寄付していただく制度をスタートさせました。41人に案内を送り、22人の人が新規の寄付者となってくれました。

PALETTE 倉辻悠平さんの写真

PALETTE
倉辻悠平さん

<事例2> 新たに「水辺の安全教室サポーター」をつくり、地元企業にアプローチ

神奈川県ライフセービング連盟 和田朋也さんの写真

神奈川県ライフセービング連盟
和田朋也さん

ライフセービングの実践を通じて、水辺の事故防止とそのための知識と技術の向上、安全思想の普及などを目的として活動しています。そのために子どもたちへの『水辺の安全教室』というものを開催しており、その運営資金を自主財源や助成金以外に新たに企業協賛でまかなえないかと考えました。そこで『水辺の安全教室サポーター』という商品をつくり、子ども、教育、安心・安全などのキーワードに親和性を感じる地元企業に協賛を募りました。また子ども向けの教材として、下敷きを製作しました。「離岸流」を絵で説明するタイプと3Dで説明するタイプ、どちらが良いか子どもたちにアンケートを実施したところ、絵タイプを選んだ子どもが多かったのですが、その理由は深く検証できていないため、今後の課題の一つと考えています。

<事例3>栄養士を目指す女子高生と社会との接点作りに成功

私たちは群馬県内に約5万5,000人いる高校生に対して、自分の将来に向けて自分でアクションできる機会を創ることを目指しています。学校の授業を通じて『未来の教室』『ライフデザイン講座』という、子どもや若者が自分の未来をクリエイトできるプログラムを提供しているのですが、その資金源が確保できておらず、新たな支援者や資金源の確保が課題でした。そこで平日は活動が難しい社会人が多いことをふまえ、学校外・祝日や土日開催の場を作ることにしたのです。ワーキングマザーである50代女性を支援者に、どんな高校生にこの取り組みを活用してもらえるか再度検討し、将来をクリエイトしたい女子高生にペルソナを設定しました。結果、栄養士になりたい女子高生と栄養士との接点と作ることでき、今後はテーマに特化した企画も実行していきたいと考えています。

Design Net-works Association 沼田翔二朗さんの写真

Design Net-works Association
沼田翔二朗さん