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課題解決に向け、環境分野の連携を

Panasonic NPOサポート ファンド
環境分野 成果報告

課題解決に向け、環境分野の連携を

Panasonic NPOサポート ファンド
子ども分野 成果報告

2017年3月8日、東京都江東区有明のパナソニックセンター東京にて「Panasonic NPOサポート ファンド 環境分野」の成果報告会を開催しました。環境分野の助成先11団体が参加し、「組織診断」や「組織基盤強化」に取り組んだ成果を発表。選考委員による講評や、活発な質疑応答が行われ、終了後には交流会も設けられました。

ご挨拶

成果報告会の冒頭に、パナソニック株式会社 CSR・社会文化部の部長である福田里香が挨拶をしました。

写真:パナソニック株式会社 CSR・社会文化部 部長 福田里香

「パナソニックはモノづくりの企業として、持続可能な社会の実現に向けて事業を通じて地球環境に貢献していくとともに、地域において社員が実践する環境活動にも積極的に取り組んでいます。
そして、グローバルで取り組む課題として、2015年に掲げられた国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』の17項目を見ても、私たちが取り組むべき最大の課題は『貧困の解消』です。パナソニック創業者の松下幸之助もまた「貧困は罪悪であり、無くさなくてはならないもの」という理念を掲げ、社会生活の改善と向上を図ってまいりました。環境分野と貧困とは切っても切れない関係にあります。私どもも、本日、成果報告をして頂く皆さまの活動に教えていただきながら、取り組みを進めていきたいと考えております」

助成1年目の成果報告と講評

まず最初に、助成1年目の8団体のうち4団体が発表を行いました。

組織の課題共有にコミュニケーションは不可欠

公益社団法人 日本環境教育フォーラム
発表者:事務局長 瀬尾隆史 さん

「寄付金・会費収入を全体の10%から20%にするため、広報戦略策定を目標に組織基盤強化に取り組みました。私たちが設立したのは『地球環境』という言葉がもてはやされた90年代。現在はその言葉に頼って寄付を集めることが難しく、また行政からの受託で得ていた収入も、入札制度の導入で受託できないケースが増加していました。本助成を通じて得られたのは、広報戦略の重要性を職員全員が認識できたこと。年間計画表の作成によって今後やるべきことが整理され『大阪マラソン』や『寄付月間』へ公式に参加するなど新しい広報チャンネルに挑戦できたのは大きな成果でした。」

写真:公益社団法人 日本環境教育フォーラム 事務局長 瀬尾隆史 さん

支持層を再確認し、ビジネスモデルを変革

特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
発表者:事務局長・理事 田中滋 さん

「私たちは調査研究を軸に、政策提言と普及啓発事業を展開する『問題発見型』のNGOです。これまで屋台骨を支えていた教材DVDや市民講座『自由学校』の受講料を減らさざるを得ず、会員数・会費・寄付を増やす必要性に直面していました。そこで1年目に取り組んだのは『情報受益者に支えられる調査研究・政策提言』というモデルを『幅広い市民層に支えられた情報提供・普及啓発』へとチェンジすること。新たに構築したデータベースにより、支持層を再確認し、そのビジネスモデルの変質を理事会・事務局とで合意できたことは、大変有意義でした。」

写真:特定非営利活動法人 アジア太平洋資料センター(PARC) 事務局長・理事 田中滋 さん

理事会が経営会議の場になり、事業アイデアも創出

認定特定非営利活動法人 びわこ豊穣の郷
発表者:事務局長 中明子 さん

「琵琶湖・赤野井湾の水質改善や生態系を取り戻す活動をしています。この度は会員の高齢化を解消し、活動を次世代へ継承するための組織基盤を確立させたく、本助成に申し込みました。自団体の分析で洗い出されたのは、会議が平日昼の長時間に及び、若手が参加しにくいこと、ホームページも10年前のまま活動内容の情報発信が十分に出来ていないといった課題でした。理事会が経営会議になっていないこともコンサルタントに指摘されて気付いたことです。目標はまだ達成されていませんが、今後、中期計画を速やかに作成し、やりがいや楽しさの実感できる組織にしたいと思います。」

写真:認定特定非営利活動法人 びわこ豊穣の郷 事務局長 中明子 さん

共通認識を持って、次年度計画を立てることができた

特定非営利活動法人 芦生自然学校
発表者:総務部長 青田真樹 さん

「日本最大の原生林を持つ芦生ならではの自然学校を目指しています。私たちは地域から環境保全活動の中間支援組織としての役割に十分応えるべく、組織基盤強化に取り組むことにしました。組織診断には理事長含む理事と事務局が参加。全員参加型の対話形式で、みんなが組織についてどう思っているのか、思いを発してもらうことにしました。白熱した話し合いを通じて、組織の課題が可視化され、共通認識・共通言語が持つことが出来たのは大きいですね。内部だけで行わず、期間を決めて外部のコンサルタントを入れること、1人ひとり丁寧に対話することが組織診断のポイントです。」

写真:特定非営利活動法人 芦生自然学校 総務部長 青田真樹 さん

講評

各団体の発表後には質疑応答があり、選考委員の方々から講評をいただきました。

写真:ホールアース研究所 代表理事 山崎宏 さん

抱える課題をお互いに意見交換しよう

ホールアース研究所
代表理事 山崎宏 さん

膨大な数の顧客データを整理して見直す作業、そして課題を洗い出してのモデルチェンジなど、私の組織も以前にこの組織診断を受けたことがあるため、共感することの多い成果報告でした。会員や組織が高齢化していることも多くの団体の抱える共通問題ではないでしょうか。環境系の団体は組織の抱える問題が似通っているため、こうした場での意見交換が大切。ぜひ課題をやりきって、今後もその成果を公表・発信し続けてほしいです。

写真:武蔵大学 社会学科 教授 粉川一郎 さん

理解者・支援者との関係強化が大切

武蔵大学 社会学科
教授 粉川一郎 さん

NPOはいかに老舗の団体であっても、大企業のように多くの一般の方が知っているわけではありません。組織基盤を強化するうえでは、知名度を上げるというよりも、自分たちのことを理解してくれる支援者といかに関係を強化していくかが大切だと思います。顧客データを分析して働きかけている団体もありましたが、その成果をぜひ聞きたく思います。また、新しい人材を獲得している団体には、その人材の活用についても発信して頂ければと思います。

写真:あいちコミュニティ財団/コミュニティ・ユース・バンク momo 代表理事 木村真樹 さん

成功・失敗の理由について具体的な説明を

あいちコミュニティ財団/コミュニティ・ユース・バンク momo
代表理事 木村真樹 さん

組織基盤強化が今ほど求められる時代はなく、今回チャレンジして下さった皆さんには感謝しています。ただ、「成果報告」の「成果」とは何かといえば「変化」です。組織がどう変わったのか。なぜ失敗したのか、なぜ成功したのか。もっと具体的な変化の部分の発表にボリュームを割いてほしかった。このプログラムは、失敗・成功への具体的な言及があるほど、それが知見として集積されるのだと思います。

続いて助成1年目の8団体のうち、後半4団体の発表がありました。

第3者の目を入れることで、組織に大きな変化が

特定非営利活動法人 兵庫県有機農業研究会HOAS
発表者:事務局長 北垣内笑美 さん

「地域の環境保全のための有機農業の啓発や技術普及、食生活改善の提案などをミッションに活動しています。2014年のISO17065によって有機農業の推進や啓発活動に制約ができ、認証部・研究部が分散。再編を余儀なくされたため、組織基盤強化に取り組みました。コンサルタントを含めた毎月の会議と春夏の合宿を実施して以来、組織は激変。理事会の開催回数も出席者も増え、県の農業者研修会などで配布するリーフレットも作成。講習会の受講者が増え、予算も増加しました。第3者の目を入れることでピンチをチャンスに変えられることを実感しました。」

写真:特定非営利活動法人 兵庫県有機農業研究会HOAS 事務局長 北垣内笑美 さん

組織をしっかり見つめ直すことができる助成

特定非営利活動法人 棚田LOVER's
発表者:理事長 永菅裕一 さん

「美しい棚田を保全するために5名の仲間で始め、2010年にNPOとなりました。スタッフの不足や収入を確保できる事業が少ないこと、さらには団体が継続・自立していくための中長期的計画も課題でした。組織診断ではミッションの改革からスタート。これまでの『棚田保全』というミッションに『生物・食・農の大切さを伝える』という文言を加えることで賛同者を増やし『いやしと食の縁日』『わら納豆作り体験』など都会と農村をつなぐイベントを開催することができました。」

写真:特定非営利活動法人 棚田LOVER's 理事長 永菅裕一 さん

事業内容を整理し、収益基盤を確立できた

一般社団法人 水辺のユニオン
発表者:代表理事 岡野智博 さん

「代表理事中心の活動体質が慢性化してしまい、各理事の能力を活かした組織運営ができていませんでした。組織診断を通じて5名の理事と代表理事による合同協議やヒアリングを行ったところ、事業が広範囲に渡りすぎており、得意分野でない事業は参加意欲も散漫になっていることが判明。集中と選択で事業を整理し、高梁川流域の自然栽培の食とモノづくりのプロモーションイベントであった「高梁川マルシェ」を中心に法人の活動・事業を集中しました。話し合いを通じて、倉敷市内の歴史的な建造物の一角にコンセプトショップを開設する計画を契機に、法人の組織基盤強化の基礎となるミッションが明確化できました。助成を通じて、仲間と状況を話し合う組織文化の醸成が大切だと実感しました。」

写真:一般社団法人 水辺のユニオン 代表理事 岡野智博 さん

1人ひとりの声を聞くことの大切さを実感

NPO法人 北海道ツーリズム協会
発表者:理事長 武田耕次 さん

「私たちは会員全員が事業主という団体で、これまで農村活性化や観光資源開発、地域の雇用機会創造などをミッションに19の事業を立ち上げました。事業が軌道に乗る反面、会議が形骸化しており、協会としての役割は終わったとさえ思っていましたが、本助成を通じて会員へのヒアリングを行うと『こういうことをやりたい』という意見が噴出。そこで一から話し合い、改めて組織の柱としたのがグリーンツーリズム事業です。会員が組織に何を求めているのか、1人ひとりの声を聞き、リーダー自身もまた変わることで、組織に新たな展望も見えてきます。」

写真:NPO法人 北海道ツーリズム協会 理事長 武田耕次 さん

講評

後半の団体発表後には質疑応答があり、選考委員の方々から講評をいただきました。

写真:パナソニック 品質・環境本部 主務 本池祥子さん

本助成は組織課題を考える大きなきっかけ

パナソニック 品質・環境本部
主務 本池祥子さん

それぞれ、活動を分かりやすく言語化したり、活動をゼロベースから見直す取り組みを行ったり、全体として本サポートファンドが、組織を考える大きなきっかけになっていることが感じられる成果報告でした。助成先をかなり絞って選考しているのですが、そういう意味では、もっと多くの団体にこうした機会があると良いのにと感じながらこの1年の取り組みを聞かせてもらいました。

写真:武蔵大学 社会学科 教授 粉川一郎 さん

話し合いが組織基盤を強化する第一歩

4団体さんとも会員やステークホルダーとの方々との話し合いをきちんと行い、それが組織基盤を強化する大きな一歩になっている様子が伺われました。成果に関しては、組織の役割・分担がどう変わったのか、あるいは理事長の負担がどのように減ったのかなど、実感以上に図式化、数値化するなどして伝える必要があるかと思います。

写真:あいちコミュニティ財団/コミュニティ・ユース・バンク momo 代表理事 木村真樹 さん

変化を具体的に示せるよう、目標の数値化を

組織におけるミッション=使命は、何のため、誰のために命を使うのか、言わば組織の命に当たります。そのミッションと今回の組織基盤強化がどうつながっているかを明らかにする意味でも、『目標』は非常に大切です。助成を経てどう変わったのか、数値で示すことができると、その変化をシャープに伝えられると思います。

継続助成団体の成果報告と講評

続いて助成2年目の2団体と3年目の1団体より発表がありました。

手段の前に魂を見つめ直し、原点に帰ることの大切さ

認定特定非営利活動法人 しずおか環境教育研究会
発表者:事務局長 山本由加 さん

「2011年に助成を受け、理念はできたものの、これまで委託事業が中心だったため、事業構築力や人材育成力がなく、2014年に再度、本助成を受けました。経営意識を養うための1年目の研修に加え、2年目はマーケティングの実践、ミッションの再構築などに取り組み、1年目に成功した『里山BASE』も対象年齢の拡充を図ることができました。『いいことをしているのに分かってくれない、手伝ってくれない』というのはNPOの病。2年間を振り返ると、手段以上に魂を見つめ直すことの大切さを実感しています。今後ホームページを再構築し、人材育成も図っていきます。」

写真:認定特定非営利活動法人 しずおか環境教育研究会 事務局長 山本由加 さん

報告の場でしかなかった理事会を「討議する場」へ

認定特定非営利活動法人 自然再生センター
発表者:専務理事/事務局長 小倉加代子 さん

「中海・宍道湖とその流域の自然再生をミッションに活動しています。応募当時の課題は理事の人数が19名と多く、報告のみの理事会になっていたこと。調査研究に会員や地域住民、企業を巻き込めていないことも問題でした。新しい理事体制、組織図を見直す過程で、助成1年目から激しく対立しましたが、理事会を報告する場から討議する場へ改革。意欲のある理事だけが残り、寄付金の額も増えました。2年目の取り組みは広報・PR力の強化。情報が入手しやすいホームページを構築した結果、訪問数は倍増し、取材の申込みやイベントへの参加者数も増えました。」

写真:認定特定非営利活動法人 自然再生センター 専務理事/事務局長 小倉加代子 さん

アドボカシー型で資金を得る仕組みを構築

認定特定非営利活動法人 環境市民
発表者:チーフ・コーディネーター 石崎雄一郎 さん

「環境市民は事業型ではなく、アドボカシー型のNGO。企業は事業の中で社会貢献を果たすわけですが、同じく私たちもミッション・ビジョンに則した形で資金を得ていくことが大切だと考え、本助成を受けました。1年目はファンドレイジングのための体制構築に力を入れ、2年目は外部アドバイザーを招いてさまざまな事業へトライ。誤解しやすい環境表示を防ぐための『グリーンウォッシュ』事業の委託先に選ばれました。本助成のおかげで営業・普及のノウハウを得ることもできましたので、今後、この啓発活動の事業化を進め、さらにはその担い手を広げていければと思います。」

写真:認定特定非営利活動法人 環境市民 チーフ・コーディネーター 石崎雄一郎 さん

講評

選考委員の粉川・木村の両氏から講評をいただきました。

写真:武蔵大学 社会学科 教授 粉川一郎 さん

組織基盤強化の取り組みを記録に残してほしい

しずおか環境教育研究会さんはHPもすでにリニューアルされたようで、理念・ミッションを持ったNPOであることや、顧客のニーズに応えて情報発信していることが見て取れます。自然再生センターさんには、ぜひドラマのような対立の事例を記録として残して頂きたいですね。老舗の環境市民さんには、基盤強化への取り組みがどのように成果に寄与したのかロジックモデルにも言及してほしかったと思います。

写真:あいちコミュニティ財団/コミュニティ・ユース・バンク momo 代表理事 木村真樹 さん

組織基盤強化は助成終了後も継続するもの

昨日、子ども分野で講評された山岡先生がかつて『組織基盤強化は、見たくないことを見る、聞きたくないことを聞く、言いたくないことを言うことだ』と的を射たことをおっしゃっていました。強化のために重要なのは、組織課題が何であるかの明確化、基盤強化に関わるステークホルダーとの共通認識を育むこと、そして第三者による伴走支援です。組織基盤強化は助成が終わった後も日常的に行うものですので、また、その知見を持ち寄る機会が得られればと思っています。

応援メッセージ

NPOが強くなるためには、連携が不可欠

特定非営利活動法人 地球と未来の環境基金
理事長 古瀬繁範 さん

この成果報告の場は、まるで大学院。活きた成功事例・失敗事例の発表は、この場だけで終わらせるにはもったいないくらいです。ぜひ、この後もお互い連絡を取って、恊働事業までつなげて頂きたいと思います。NPOは大きい団体でも企業の規模で言えば中小企業です。2015年に発足したグリーン連合が環境省との窓口となり意見交換を行うことができているように、私たちが強くなるために、連携は欠かせません。米国の政治を見ると分断の時代が危惧されますが、福祉や貧困の問題とも関わりのある総合的な分野が環境分野です。縦割りではなく、横のつながりを大切にしながら発展して頂きたいと思います。

写真:特定非営利活動法人 地球と未来の環境基金 理事長 古瀬繁範 さん

修了書の贈呈

3年目の助成を終えた認定特定非営利活動法人 環境市民さんに、パナソニック株式会社 CSR・社会文化部 部長の福田より、修了証が贈呈されました。

写真:修了書の贈呈
写真:報告会の様子
写真:報告会の様子
写真:報告会の様子