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Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ』2011年報告会&2012年の贈呈式(2012年1月25日)

 2012年1月25日、パナソニックセンター東京において『Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ』の2011年報告会と2012年の贈呈式が催されました。これはパナソニックがグローバルで展開している企業市民活動の一環で、2010年より、アフリカ諸国を支援する目的で、アフリカで活動するNPO/NGOの広報基盤強化を支援するプログラムです。この日、会場には2011年度にこのプログラムの助成を受け、活動された3団体より、活動内容の報告があり、また2012年度に助成を受ける5団体への贈呈式が行われました。
 この報告会を通じ、見えてきたのはアフリカ地域に深く根付く課題と、未来への希望でした。

■「現地で直に感じ取ること。これが重要です」

贈呈式にあたり、冒頭、コーポレートコミュニケーション本部長の大澤役員よりご挨拶がありました。
大澤役員は昨年、当社が無電化地域であるタンザニア奥地のムボラ村に最新のソーラーパネルや蓄電池、冷蔵庫を搭載した『ライフイノベーションコンテナ』を贈り、その贈呈式に参加するためにタンザニアを訪れました。その村では、遠方からやってきた大澤さん一行を、心温まるおもてなしで迎えてくれたことに深く感銘を受けたそうです。
「それを支えていたのがNPOの方々でした。NPOの活動は現地で地元の方々と生活を共にし、様々なことを我がことのように関わっておられ、アフリカの地でなくてはならない存在になっています。やはり現地にとどまり、肌で感じ、直に情報を得ること、知ることは非常に重要なこと。その並々ならぬ努力に、感銘を受けました。私たちもこのNPOの皆様をなんとか支えていきたいと、決意も新たにいたしました」

コーポレートコミュニケーション本部 大澤役員によるご挨拶

■「NPOは、遊び半分で臨むくらいが良い。その方が、思い切ったことができるから」

続いて、2011年助成団体の活動報告が行われました。
助成団体は特定非営利活動法人 アフリカ地域開発市民の会(CanDo)、特定非営利活動法人 ラテ・ルネッサンス、特定非営利活動法人 道普請人の3団体です。

トップに立たれたのがCanDo理事・佐久間典子さんでした。CanDoは主にケニアでの活動を行っています。今回の助成は、活動内容をまとめたレポート『ケニアの人々 その抱える課題と参加型開発の役割』を、電子書籍として配信するという物でした。
「主な目的は、ケニアの歴史的な背景や民族問題などをもっと多くの方に理解していただきたいという点です。電子書籍はPC版、スマートフォン版の電子ブックを発行することで、幅広い地域に行き渡り、中にはツイッターでつぶやいていただいた方もいらっしゃいました」との情報の広がりの効果には成果アリ! と、デジタルメディアの利点を強調されていました。

CanDo 佐久間典子さん

テラ・ルネッサンス
栗田佳典さん

続いて壇上に上がったのが、テラ・ルネッサンス 広報部長・栗田佳典さんです。同団体では、18歳未満の子ども兵や地雷、生活にはびこる小型武器など、アフリカが抱える課題の解決に向けて地道な活動を展開しています。
「子ども兵はスーダンで10万人以上、ウガンダで6万6000人以上など、ルワンダでも多数存在します。私たちはそこから逃げてきた子ども達を保護し、手に職を持たせ、自立できるよう支えています。なかなか知られないこのような実態を世界中の多くの方に知っていただきたいと、ホームページの充実やSNSの活用など広報基盤の強化を図ることに役立てました」

「私たちの団体は道普請人と書いて、みちぶしんびと、と読みます。その意味は“道を普請する人の集まり”。そう、そのまんまです! 私にとってNPOは遊び、趣味です。遊びだと考えるからこそ、失敗を恐れず、思い切ったことができるのです」
そう話をするのは道普請人の理事長・木村 亮さん。
「私たちの活動は“自分たちの道は自分たちで直せる”という意識を広めることです。アフリカにはぬかるんだために、トラックが通れず、物資も届かないところはたくさんあります。多くの場合、道を直すことは不可能と考えてなにも手を尽くさない。しかしどのような道でも、土嚢を使えば直すことができるのです。自分たちの手で道を直せることがわかれば、もっと便利な生活を望むはずです。そのような考え方が、人々の暮らしをよくすることへ繋がる。道を直すこと。それは、将来の発展へ向けた大きなステップなのです」
と、終始力強く、しかも愛情溢れた言葉で綴られていました。

道普請人 木村亮さん

■「将来の国際貢献を担う若い世代にも知ってもらいたい」

続いて、2012年に助成を受ける団体への贈呈式が行われました。団体は特定非営利活動法人 ADRA Japan、公益財団法人 ケア・インターナショナル ジャパン、NPO法人 ロシナンテスと、昨年に引き続き、特定非営利活動法人 テラ・ルネッサンス、特定非営利活動法人 道普請人の計5団体。

ADRA Japanは、南スーダンとジンバブエでコレラ対策、難民支援という非常に難しい課題の解決に立ち向かっている団体です。今回の助成は、南スーダンやジンバブエで、各地の特徴や自慢の出来事を現地の方々に映像や写真を撮ってもらい、現地で抱えている課題を自ら認識してもらうことなどが目的のひとつです。
「活動を通じ、国際社会に貢献できる知恵と技術の備わった人材の育成と、日本社会に国際支援への啓発を促していきたい」とADRA Japan 理事長の山地正さんは発表されました。

ADRA Japan 山地正さん

また、スマートフォン向けアプリの開発に活用したいと話すのはケア・インターナショナル ジャパンのマーケティング部長・高木美代子さん。同団体は、貧困の根源の解決に向け、災害時の人道支援を行ってきました。今回のアプリケーションは、アフリカの女性達が歩く距離を体感できる歩数計や、SNSも積極的に活用できるものを目指しています。
「アプリを通じ、特に若者層にアフリカの現状。課題、そして我々の活動を知ってもらいたい。目標は年間1万ダウンロードです」

ケア・インターナショナル ジャパン
高木美代子さん

ロシナンテスは、元スーダン日本大使館の医務官として勤めていた川原尚行さんが理事長を務める団体。医務官という地位をなげうって、貧困に悩むスーダン社会に身を置きながら現地の人たちを対象に無償で医療活動を行い、日本政府を動かし、学校の建築も行ってきました。
「私たちの活動を日本の今の小中学生達に知らしめたい。彼らが将来、国際貢献に携わってくれたらいい」と事務局長の海原六郎さんは期待を込め、お話されました。

ロシナンテス 海原六郎さん

■各団体のレポート後、社会文化グループ戦略推進室室長・横川亘から今年助成される5団体に対する期待の言葉を添え、閉幕しました。

現代社会はネットをはじめとするあらゆるメディアの進化により、各国の距離感がグンと短縮され、様々な情報がやりとりされるようになりました。しかし、世界にはまだまだ知られていない、そして深く大きな課題も多く残されていることを、今回の報告会で知らされました。今私たちにできることはアフリカの現状を正確に知り伝えること。そして少しずつでも前に進むための行動を起こすことかも知れません。