「私たちは見捨てられていない」
あかりが洪水被災者の心を照らしています

国際移住機関 シエラレオネ事務所
プロジェクトコーディネーター 赤尾 邦和さん

国際移住機関 シエラレオネ事務所 プロジェクトコーディネーター 赤尾 邦和さん © IOM Sierra Leone

国際移住機関は、世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う唯一の国連機関です。そのなかでディアスポラと呼ばれる移民を活用した国造りプロジェクトをはじめとした日本政府が出資しているプロジェクトの管理運営などを担当しています。

シエラレオネは西アフリカの大西洋側に面し、電化率は13%と隣国のリベリアと並んで、アフリカでも最も低い国のひとつです。1年の半分が雨季で、降水量は世界有数。しかも治水状況が良くないので、2015年と2017年には大きな洪水及び土砂崩れに見舞われました。今も多くの方が仮設住宅で生活しています。

ソーラーランタンを寄贈していただくのは、10万台プロジェクトに続いて二度目です。最初は昨年、2015年の洪水に遭った方々がくらす仮設住宅のある地域に届けました。保健センターにも設置し、夜の診療やお産の際に役立っています。初めてソーラーランタンが届いたとき、みんな踊り出すほど喜びました。喜んだ理由のひとつはもちろん、あかりが届いて便利で安心になったこと。夜になると蛇が出るので、ライトがないと夜に出歩くのは危険が伴うのです。そしてもうひとつ大切なのは、自分たちが見放されてないと実感できたことだと思います。2015年から3年以上の仮設住宅くらしで不安な気持ちが募っていたところに、国外から支援がある、フォローしてくれる人たちがいるという事実は、彼ら彼女らの心を温かく照らしたと思います。

そして、夜の見回りに使われ、仮設住宅の治安維持にも役立っています。さらに、あかりが行き渡ることで夜に仕事や勉強、そして携帯電話の充電にも役立っています。

これらのソーラーランタンは、パナソニック社員の皆様から福利厚生に利用できるカフェテリアポイントの寄付でいただけることになりました。ご支援くださるのはどんな形でもありがたいことですが、今回贈られるのは、社員さん一人ひとりのご厚意が詰まったソーラーランタンです。日本にはあまりなじみのないシエラレオネという国に関心を持っていただいたこと、応援していただいたことを大切にして、シエラレオネの生活向上に活かしていきたいです。

今回寄贈していただくソーラーランタンは、2017年の洪水に遭われた方々の仮設住宅での使用を予定しています。

さらにシエラレオネは国民の40%が若者で、しかもその3分の2が無職という状況です。また、仕事を求めて国外に出ても、うまくいかなかったりお金を取られたりして国内に戻るケースがあります。仕事が見つからないのは、その人にとっても世界にとっても不幸なことです。若者たちが国内で仕事を見つけ、あるいは起業していくために、職業訓練や斡旋所のあかりとしても活用していきたいと思っています。

寄付してくださったみなさんに、シエラレオネを支援してよかったと感じてもらえるよう、可能な限り状況を発信していきます。

(プロフィール)
赤尾 邦和(あかおくにかず)
国際移住機関(IOM)シエラレオネ事務所 プロジェクトコーディネーター
一般企業で働いたのち、東京大学公共政策大学院に進学。東京本部、スーダン事務所でのJICA(国際協力機構)の活動を経てIOMに加入。シエラレオネでポストエボラ事業、ディアスポラ活用した国造り事業、洪水被災者の生活向上や職業訓練や仕事の斡旋、起業などの仕組みづくりに取り組んでいる。

(取材日:2019年3月7日)