環境:生物多様性保全

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生物多様性に関する考え方

私たちの社会生活や事業活動は、自然資本によって提供される様々な自然がもたらすもの(生態系サービス)によって成り立っています。そして持続可能な開発目標(SDGs)や国連生物多様性条約の長期ビジョンである自然共生社会の実現において、気候変動対策と資源循環対策と合わせて生物多様性保全も密接に関連すると認識されています。
当社環境ビジョン2050の「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け策定したグリーンプラン2021の生物多様性保全においては、持続可能な原材料調達を中心に事業取り組みである下記の3つの目標と社会貢献活動の両面で推進します。

グリーンプラン2021(継続課題):生物多様性保全

目標 SDGs
持続可能な原材料調達 木材・紙など、持続可能な調達を推進 12,13,15,17
事業所緑地(土地利用) 生物多様性に配慮した事業所緑地の活用 13,15,17
商品・サービス 生物多様性保全に貢献する商品やサービスの提供 11,12,15,17

3年毎に見直し計画するグリーンプランは、生物多様性条約の生物多様性行動計画(BAP)に相当します。

持続可能な原材料調達の取り組み

グリーンプラン2021からは、木材調達に限らず、生物多様性保全に配慮した原材料調達を目標とし、さらに昨今は、合法だけでなく、人権など社会的な配慮も重要となっているため、「持続可能な原材料調達」を目指すこととしました。
木材調達に関しては、生物多様性保全と持続可能な利用を目指した木材グリーン調達ガイドラインを、WWF(世界自然保護基金)ジャパンと協議し2010年に策定しました。このガイドラインに基づき、毎年木材調達のサプライヤーに実態調査を行っています。
また、「グリーン調達基準書」の中で生物多様性保全への配慮を記載し、サプライチェーン全体で取り組むこととしています。

伐採時の合法性が確認できない木材・木質材料(区分3)の排除

2020年度の木材調達実態調査結果は、以下のとおりです。

WWFジャパンと協議・策定した木材グリーン調達の考え方

WWFジャパンと協議・策定した木材グリーン調達の考え方。木材・木質材料の総調達量 約240km3。 ●区分1 優先調達に努める木材・木質材料・環境面で保護価値の高い森林を破壊していないことを第三者から認証されたもの・持続可能な森林経営を実施していることを第三者から証明されたもの・木質系再生資源 79.4%(前年度差)-2.8ポイント ●区分2 調達適合とする木材・木質材料・伐採時の合法性が確認されたもの・業界団体等により合法性認定が得られたもの 20.6%(前年度差)+2.8ポイント ●区分3 調達排除に努める木材・木質材料・伐採時の合法性が確認できないもの 0% 2014年度からゼロ継続

土地利用分野の取り組み

事業所緑地と近隣に点在する緑地や公園とのつながりによるエコロジカルネットワーク形成で、鳥やチョウ、トンボなどの生きものが周辺に点在する緑地や水辺の間を移動できるようになり、生息できる空間が広がることになります。事業所の緑地は、こういった地域の生物多様性保全に貢献できる大きな可能性を持っています。とくに都市部では野生生物が生息・生育できる自然環境がほとんど残されていないため、たとえ小さくても、その地域本来の植生や水辺などを備えていれば、様々な生きものにとって大切な場所となります。

定量評価手法に基づく外部認証の取得

アプライアンス社草津拠点は、生物多様性に配慮した事業場として2018年3月に一般社団法人いきもの共生事業推進協議会の「いきもの共生事業所認定(ABINC認証)」※1を取得しました。審査の中では、自然環境を適切に保全し多様な生きものに応じた緑地づくりを進めていること、特定外来種についても適宜管理が行われ、モニタリング設置で状況把握されていること、また、自治体や小学生など外部関連主体・地域の人とのコミュニケーションに緑地が積極的に活用されていること、などが評価されました。
2011年から継続しているモニタリング調査で840種の動植物が確認され、都市化が進む地域において重要なビオトープであり、地域のエコロジカルネットワークの形成にも貢献していることがわかりました。また、ドングリをテーマとした小学生向け環境学習の継続的な実施が「生物多様性の主流化に貢献する取り組み」として高く評価され、2020年1月に第2回ABINC賞 優秀賞を受賞しました。

<外部認証と表彰>

  • しが生物多様性取組認証制度3つ星マーク取得(2018年)※2
  • ABINC認証取得(2018年3月)、認証更新(2021年2月)
  • 第2回ABINC賞 優秀賞(2020年1月)

※1 ABINC認証は、企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)が開発した土地利用通信簿(環境アセスメントとしての生物多様性定量評価ツール)の実施といきもの共生事業所ガイドラインに基づき、事業場緑地の整備、管理を第三者の評価により認証する制度
※2 「しが生物多様性取組認証制度」は、事業者が行う生物多様性保全に関する取り組みを、1つ星~3つ星で知事が認証するもので、都道府県が生物多様性に関する幅広い取り組みを認証するものとして、全国でも初めての制度

ABINC認証
しが生物多様性
取組認証制度
3つ星マーク
アプライアンス社共存の森全景

行政や専門家などと連携、生きものの生息空間を守る

地域の希少な動植物は、環境省や自治体から絶滅危惧種に指定され、行政との連携、専門家の指導や協力を得ながら保全活動を行っています。大阪府・大阪府立大学・大阪府立環境農林水産総合研究所とおおさか生物多様性パートナー協定を締結した門真市ライフソリューションズ社のビオトープなどがあります。

ビオトープによる希少種の保護と環境教育への活用

2009年3月、ライフソリューションズ社 門真地区構内に、約1万1,000m2の緑地であるはんえいの広場を造成し、その一角に約300m2のビオトープを設立しました。門真地区が淀川と花博記念公園鶴見緑地(大阪市鶴見区)の間の立地であることを活かし、多様な生物が自然に生息できる場となるように、ビオトープの企画段階から公立大学法人大阪府立大学に専門的な助言や指導をいただきながら、生物のモニタリングを継続的に実施してきました。
2012年6月からは、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所水生生物センター(現 生物多様性センター)からの提案と指導に基づき、環境省および大阪府絶滅危惧種のカワバタモロコ(淡水魚の一種)とミズアオイ(湿地に自生する水生植物)をビオトープに導入しました。2013年11月には、大阪府、大阪府立大学、環境農林水産総合研究所と当社の間の、おおさか生物多様性パートナー協定の調印式とあわせて、新たに北河内生まれのミナミメダカ(環境省及び大阪府絶滅危惧種)をビオトープに100匹導入しました。2016年10月には、地域の小学生を招待して、いきものとエコの教室を開催しました。子どもたちがビオトープにすむ身近な生き物の生態や、絶滅危惧種の存在を知り、自然や環境について考えるきっかけを提供することができました。
また、同社の活動は2015年9月、他の模範となる豊かな環境づくりに向けた取り組みで顕著な功績のあった個人・団体又は事業者に贈られる、平成27年度おおさか環境賞(主催:大阪府)の奨励賞を受賞しました。併せて、大阪府立大学、大阪府立環境農林水産総合研究所との取り組みも、同協働賞を受賞しました。

ビオトープでの、いきもの観察会

オートモーティブ社※3松本工場は2015年9月JHEP認証※4のAランクを取得しました。現在は認証の更新はしていませんが、当時整備したススキ草地、立枯木の設置、外来種の排除によって、現在も鳥類及びチョウ類の繁殖増加が定着し、本事業場緑地の生物多様性の保全活動は継続推進しています。

※3 認証取得時点の社名はオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
※4 環境アセスメントで用いられる「ハビタット評価手法(HEP)」をもとに、(公財)日本生態系協会が開発した生物多様性定量評価手法

商品・サービス分野の取り組み

グリーンプロダクツの判定基準により、生物多様性の保全に配慮した素材を主要な部位に活用した商品、生物多様性の保全に寄与する機能を有する商品などを生物多様性貢献商品と定義しています。

照明機器による生物多様性保全への貢献

ライフソリューションズ社ライティング事業部では、環境および生物多様性に配慮した照明機器を開発・販売しています。

LED誘虫器(商品名:ムシキーパー)

誘虫器とは、店舗、倉庫やグラウンドのあかりに集まる虫を誘引し虫害を低減する機器のことです。これまでは、電撃殺虫器と呼ばれる紫外蛍光ランプにより虫を誘引し、電撃格子によって、殺虫するものでした。2021年6月に紫外・青色のLEDにて虫を誘引、保持することで、虫を殺すことなく虫害を低減するLED誘虫器(ムシキーパー)を販売しました。これにより虫を誘引し殺さずに自然へ戻すことができるため生態系の保護になります。また従来機器は全周囲照射で過剰に誘虫していましたが、LEDにより一方向の照射が可能となり、効果的に虫を誘引できることも生物多様性保全に貢献しています。なお、LED誘虫器は誘虫指数※5で評価し、従来機より誘虫性が高いことを確認しています。

LED誘虫器(紫外・青色の光で誘引保持)
一方向へ照射し、効果的に誘虫する

※5 誘虫指数は、理論上の指数であり、実際に光に集まる虫の数を表すものではありません。(誘虫指数:青木慎一他、「新誘虫性指数による誘虫性評価」照明学会第38回全国大会、2005、P284)

IDA認証取得のLED照明開発

同事業部の光害対策型のLED防犯灯と道路灯が、2020年2月に国内メーカーで初めて※6、国際ダークスカイ協会※7(以下、IDA)による「星空に優しい照明(Dark Sky Friendly Lighting)」の認証を取得しました。IDA認証には、「色温度を青色光が少ない電球色3000K(ケルビン)以下とする」という規定があり、星空だけでなく、夜間の野生生 物への影響も低減されます。

※6 国内メーカーにおけるIDA認証器具として(2020年2月20日現在 国際ダークスカイ協会 東京支部調べ)
※7 国際ダークスカイ協会(The International Dark-Sky Association)光害問題に対する取り組みで、世界的に先導的な役割を担う組織(参考)当社も策定に協力した環境省の「光害対策ガイドライン」(2021年3月発行)

IDA認証

ホタルに配慮した照明

IDA認証取得のLED照明に先駆け2016年に、ホタルに影響を与えにくい波長特性、光学特性を有した照明を開発し、自治体等へ設置しました。逗子市沼間地区でのホタルの定点観測結果では、前年68匹だった場所で145匹を確認したと報告されています※8

※8 ホタル生育環境を配慮した照明であり、ホタルの成育向上や飛翔数の増加を保証するものではありません

逗子市街路灯LED化事業は、ホタルにやさしい照明を設置

「基材」に建築廃材などをリサイクルした木質材料を100%使用した床材

ハウジングシステム事業部では、木材資源保全の観点から、天然素材の使用量削減に取り組んでいます。「フィットボード」は、基材の木質部分に建築廃材などをリサイクルした木質材料を100%(接着剤は除く)使用、地球環境に配慮した新素材です。

NGO・NPOとの協働や支援による生物多様性保全

MSC及びASC認証取得のサステナブル・シーフードの社員食堂への導入

当社は約20年にわたりWWFジャパンとの協業を通じて「海の豊かさを守る活動」※9を行っています。現在の主な活動は、2018年3月より本社から日本初でスタートしたMSC及びASC認証※10取得のサステナブル・シーフード※11(持続可能な水産物)の社員食堂での継続的な提供です。本年度は、新型コロナウィルス感染拡大による社員の出社数の減少に伴い、一時的な閉鎖やメニュー数の大幅削減等の影響受け、導入済拠点でも約半数で提供を中止せざるを得ないなど、この取り組みにとって困難な状況となりました。ただ、そのような状況の下においても、新たに10拠点への導入を実現し、累計導入拠点で50拠点を越え、52拠点となりました。他の企業へのサステナブル・シーフードの社員食堂への導入のサポートを継続的に取り組んでおり、連携先企業の社員食堂への導入も累計で30拠点を越え、当社との累計の導入拠点の合計は90拠点になりました。
社員食堂以外でも2020年11月より一般の方が利用できる展示場であるパナソニックセンター大阪 2Fカフェ「Re-Life ON THE TABLE」でもサステナブル・シーフードを使ったメニュー(アボカドシュリンプサンド)の提供を開始致しました。また、この取り組みが、3度にわたってテレビにて取り上げられました。
社員食堂や一般向け施設でのサステナブル・シーフード提供やメディア等を通じた発信により、消費者である社員や一般の方々の消費行動の変革を促進し、SDGs「14:海の豊かさを守ろう」への貢献と生物多様性の主流化を推進しています。

累計導入50拠点を突破
一般向け施設パナソニックセンター大阪2Fカフェ「Re-Life ON THE TABLE」では、サステナブル・シーフードの主要認証であるASC認証を取得したエビを使ったアボカドシュリンプサンドを提供中

サステナブル・シーフード導入の拠点数ほか

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
サステナブル・シーフード導入拠点数 2 12 42 52
給食会社認証取得数(当社提案・連携先のみ) 1 6 11 13
導入他社数(当社連携先のみ) 0 2 4 4
導入他社拠点数(当社連携先のみ) 0 5 27 38

<外部表彰>

  • 第1回ジャパン・サステナブルシーフード・アワード:イニシアチブ部門チャンピオン(2019年11月)

※9 有明海干潟保全支援(2001-2006年)、黄海エコリージョン支援(2007-2015年)、南三陸の環境配慮型の養殖業復興支援(2014 ~現在)等
※10 MSC認証は海洋管理協議会が持続可能で適切に管理された漁業を認証するもので、ASC認証は水産養殖管理協議会が環境と社会への負荷を最小限にする責任ある養殖業を認証するもの。
※11 MSC認証、ASC認証による持続可能な水産物の生産に加え、CoC認証※12で管理されたシーフード
※12 CoC:Chain of Custody の略。加工・流通・販売過程における管理やトレーサビリティ確保についての認証

NGO・NPOを通じたグローバルでの生物多様性保全活動推進

市民ネットワークとの連携で里山・河川の保全活動を継続

当社では国内の会社・労働組合と定年退職者会が、パナソニックエコリレー ジャパン(PERJ)として一体となり、さまざまな環境保全活動を行っています。
PERJが活動を展開している「枚方市・穂谷里山保全活動」「丹波篠山市・ユニトピアささやま里山再生活動」「門真市・エコネットワーク活動」「大阪市淀川・城北ワンド※13保全活動」は、2010年10月PERJスタート時から今日まで、関係団体※14と連携して活動継続してきました。その間、地元企業や近隣大学、市民団体などと連携し、環境活動を行う次世代の育成に貢献している点が評価され、下記のように多くの表彰をいただきました。これらの活動は全て、「生物多様性保全」を目的とした取り組みでありますが、特に河川での清掃活動は、直接、海に流れるゴミ(海洋プラスチックごみ)の抑制になることから、今後も継続していきたいと考えています。

<外部表彰>

  • 枚方市環境表彰(2018年2月)
  • 生物多様性アクション大賞入賞(2018年12月)
  • 門真市環境表彰(2019年2月)
  • 大阪市環境表彰(2020年2月)
河川ごみの様子(淀川) 淀川での活動の様子

※13 ワンドとは川の本流と繋がっているが、河川構造物などに囲まれて池のようになっている地形のこと。魚類などの水生生物に安定した棲み処を与えるとともに、様々な植生が繁殖する場ともなっている。
※14 NPO、市民団体、大学、行政、自治体、研究所、企業、地元農家など、多くのステークホルダーと連携

生物多様性に関連するイニシアチブ等への参画

当社は、下記の生物多様性のイニシアチブや業界団体等へ参画することで、生物多様性条約のポスト2020や欧州グリーンディールの生物多様性戦略2030など世界の生物多様性に関する動向や日本国内の方針の的確な把握をし、当社事業へのフィードバックを行い機会とリスクを検討しています。また、生物多様性条約のCOPを通じて、グローバルに日本企業の活動をアピールしています。

<参加>

  • 経団連自然保護協議会:当社も参画している生物多様性イニシアチブ発表(2020年6月)
  • 企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)
  • 産業と環境の会 生物多様性保全対策委員会
  • 電機・電子4団体※15 生物多様性WG

また、海洋プラスチックごみ問題解決のイノベーションを加速するためのクリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)へ事業部門が参画しています。

※15 (一社)日本電機工業会(JEMA)、(一社)電子情報技術産業協会(JEITA)、(一社)情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、(一社)ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の4団体