使用済み製品リサイクルのグローバルでの取り組み

資源有効利用や環境汚染防⽌などを目的に、世界各国でリサイクルの法制度、仕組みの整備が行われています。日本では特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)や資源有効利用促進法、EUではWEEE(廃電気電子機器)指令が、米国の多くの州でもリサイクル法が制定・施行され、中国でも法律が施行されました。当社は非OECD国への有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約の規定や各国の関連法規順守はもとより、サードパーティーの活用も含めて国ごとのリサイクルインフラの実情に即した最も効率的な仕組みづくりに貢献しています。2018年度の製品リサイクル実績は以下の通りです。近年はブラウン管テレビの回収・リサイクル量が減少して薄型テレビが増加するなど、製品が小型・軽量化していることや、各国における事業領域の変革に伴う回収・リサイクル量の減少により、実績重量も横ばいまたは減少傾向にあります。

2018年度実績

日本

使用済み家電4品目を約16万5,160トン再商品化等処理

欧州

使用済み電気電子機器を約2万4,761トン回収

米国

使用済み電気電子機器を約275トン回収

日本における製品リサイクルの取り組み

当社は、2001年に4品目を対象とした家電リサイクル法の施行にともない、既存インフラを活用した地域分散型処理システムを運営管理する(株)エコロジーネットを、(株)東芝様と設立しました。このリサイクル管理会社は、Aグループ(当社をはじめとする17社)に所属するメーカーの委託を受けて関連業務を一括代行し、指定引取場所333カ所(A・Bグループ共有)と再商品化拠点28カ所を管理運営しています。当社のリサイクル工場であるパナソニック エコテクノロジーセンター(株)(PETEC)、パナソニック エコテクノロジー関東(株)(PETECK)、中部エコテクノロジー(株)(CETEC)※1は使用済み家電4品目※2のリサイクルをより効率的に、かつ多くの資源の回収・供給ができるよう独自の研究を行い、工程改善に努めています。2018年度、当社は使用済み家電4品目を約16万5,160トン再商品化等処理しました。
2014年にリサイクル料金の透明化・低減とリサイクル率※3の向上に向けて家電リサイクル法の改正が検討され、2015年4月に法定リサイクル率※4が改正されました。パナソニックの各リサイクル工場は、製品の特性や使用原材料に応じたリサイクルの取り組みを通じ、生産性とリサイクル率向上に努め、資源循環のさらなる拡大を図っています。
PETECKでは、エアコン熱交換器の効率的な単一素材への分類を目指し、省スペースで低コストなコンパクト破砕選別システムの開発・実用化を行いました。コンパクト破砕選別システムは、エアコンの室内機・室外機の熱交換器をそのままの姿で同時に破砕することができ、破砕機の高速回転ブレードの遠心力により油分を除去します。比重選別と風力選別を用い、アルミ・銅・鉄を選別。銅は99%の高純度選別回収を実現しています。

PETECKの「エアコン熱交換器コンパクト破砕選別システム」

※1 PETECKとCETECは三菱マテリアル(株)様と当社の合弁会社
※2 エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目
※3 リサイクル率=有価資源重量÷使用済み家電総重量
※4 改正後の法定リサイクル率は、エアコン80%以上、ブラウン管式テレビ55%以上、液晶・プラズマ式テレビ74%以上、冷蔵庫・冷凍庫70%以上、洗濯機・衣類乾燥機82%以上

欧州・CIS地域におけるリサイクルの取り組み

2018年、当社は欧州において、廃電気電子機器(WEEE)指令対象製品を約2万4,761トン※5回収しました。

循環経済パッケージ(廃棄物関連指令の改定)
欧州では、WEEE、包装材、および電池に対する拡大生産者責任(EPR)に関する新要件を含めたEU循環経済パッケージが2018年7月4日に施行されました。
このパッケージは、リサイクルやリユースの手法を拡大することで製品ライフサイクルを完全に循環させることを目的としたEUのアプローチであり、廃棄物リサイクル目標を高く設定することやEPR施策などが規定されています。
当社は、業界団体であるデジタルヨーロッパ(DIGITALEUROPE)を通じて適切な新要件対応に取り組んでいます。

WEEEの対象拡大化(オープンスコープ)
2018年8月15日より、WEEE指令の適用範囲が基本的に全種類の電気電子機器を対象とするよう拡大されました。
電気電子機器は従来10のWEEEカテゴリに分類されていましたが、これが6カテゴリに改変されたことを受け2018年にはすべての電気電子機器が再分類されました。
各国のWEEEスキームのほとんどが生産者に対し新たな価格表とともに適合宣言用の新カテゴリとサブカテゴリーを提示しました。
これに対し、パナソニック ヨーロッパは一大取り組みとして欧州リサイクル情報データベースを全面的に更新し、新たに適用される各国カテゴリを反映しました。これにより、市場に出荷される電気電子機器について、新要件に基づいて適合宣言できるようになりました。

ロシア国内では廃棄物法令が何度か改正されており、直近では2018年7月、8月、および10月に改正、施行されました。これらの改正によって、適合宣言の様式と手続きが新しく設定されました。今後、生産者および輸入者は、製品や包装材からの廃棄物を、個別にまたは共同機構を通じて管理するか、環境対策料金(エコ料金)を支払う必要があると規定されています。当社を含む14社が共同機構「EPR E-WASTE RECYCLING」に加盟しています。
当社は、業界団体であるRATEKを通じて、適切な法規制のさらなる進展とロシアにおけるリサイクルインフラの向上に向け取り組んでいます。

※5 回収システムごとの回収重量×当該システムにおける当社重量ベース市場投入シェアにより算出

北米におけるリサイクル活動の推進

当社は、北米における廃電池や使用済み製品に対するリサイクルシステムの構築・運営を継続的に主導しています。2007年7月にミネソタ州で施行されたリサイクル法を契機に、同年9月には(株)東芝様およびシャープ(株)様と共同でアメリカリサイクルマネジメントLLC(MRM)を設立し、テレビ、パソコン、その他の電子機器製品のリサイクルを開始しました。

リサイクル業者数社と提携し、MRMは43企業から委託を受け、20州およびコロンビア特別区において回収プログラムを運営しています。
2007年の開始以来、MRMの総回収量は10億ポンド(約46万トン)に達しました。2016年には、米国における当社の事業戦略の変更にともない当社の回収義務はごくわずかとなっていますが、MRMはメーカーを代表し、今後も回収プログラムの運営を続けていきます。
廃電池については、1994年に他の電池メーカーと協働してCall2Recycleというプログラムを立ち上げ、全米およびカナダで二次電池のリサイクルプログラムを提供しています。Call2Recycleは300社以上の企業に回収プログラムと小売店回収ネットワークを提供しており、設立以来、米国内とカナダで約52,278トンの一次電池と二次電池を回収しています。回収拠点へのアクセス性については、米国居住者の86%がCall2Recycleの回収拠点から約16キロ以内に住んでいます。

カナダにおける使用済み製品のリサイクルは、アルバータ州政府拡大生産者責任(EPR)法の下、2004年に開始されました。それ以来、10州と2準州でWEEEの法制化が完了しており、それぞれに独自の特徴と要求事項が盛り込まれています。パナソニック カナダはこれらプログラムの調和を図るために、非営利組織である電子製品リサイクル協会(EPRA)の管理にて積極的な役割を担っています。同協会は、リサイクル運営の標準化を義務付けた上で、3,400カ所の回収拠点を通じて全国規模でのスケールメリットを追求しており、業界ではなく政府がプログラムを直接管轄するアルバータ州ならびに2準州を除く、すべての州のEPRプログラムの管理責任を負っています。2018年にはカナダ国内で合計115,890トンの使用済み製品が回収され、現在運営されている各州のEPRプログラムがWEEE対応に非常に有効であることが実証されています。

重量のかさむブラウン管テレビの廃棄が進んで回収台数が減少傾向にあり、また当社製品の軽量化も継続しています。このことから、重量のみに基づく回収はプログラムの実績を表す有効な指標ではなくなるため、新しい測定項目や目標に合意する必要があります。
2017年には、プログラム実施が遅れていたニューブランズウィック州とユーコン準州でも使用済み製品のリサイクルプログラムが開始され、カナダ全域でWEEEプログラムが実施されることになりました。

中国における取り組み

中国では、中国外商投資企業協会(ECFIC)などを通じて、2012年5月に公布・同年7月に実施された廃棄電器電子製品回収処理管理条例の第2期目録(2015年2月公布)の対象製品定義の明確化や、基金単価の設定に関する情報収集・意見提出を進め、政府部門である環境保護部や財政部などからの早期開示に向けた活動を展開しています。
また2017年1月に政府より公布された「生産者責任延伸制度推進方案」の動向把握と対応検討を進めています。

東南アジア・大洋州における各国政府との連携

ベトナム
ベトナムでは、2016年7月にリサイクル法が導入されて以降、生産者や輸入者はベトナム国内で販売した製品に対する回収スキームの構築が義務付けられています。パナソニック セールス ベトナムは、ハノイ、ホーチミン、ハイフォン、タインホア、ゲアン、ダナン、カントーの7カ所に回収拠点を開設しています。2018年には、32トンの使用済み製品を回収し、適切に処理されるよう認可を受けたリサイクル業者に引き渡しました。

オーストラリア
オーストラリアでは、2011年にテレビ、パソコンの国家リサイクルスキームが策定されました。
パナソニック オーストラリアはこの国家スキームの下、政府公認の共同規制協定であるMRI PSOに加入し、法的責任を果たしています。
2018年7月から2019年6月までにリサイクルした使用済み製品は1,161トンになりました。

東南アジア諸国
グローバルでの使用済み製品リサイクルの法的責任の規定化の流れに従い、マレーシアやタイ、シンガポールでも法策定に向けた動きが 加速しています。当社でも規制当局や業界団体を通じて協議を進めています。その一環として、マレーシアの環境局と日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)による使用済み製品の管理メカニズム開発プロジェクトや、タイでの現地業界団体を通じた協議活動に参画しています。

こうした政府や業界団体との連携を踏まえながら、当社は各国において持続可能な使用済み製品の管理政策の確立に向けて貢献していきます。

インドにおけるリサイクルの取り組み

インドでは、2017年10月1日から環境森林気候変動省(MoEFCC)により、新たなE-wasteリサイクル法が施行されており、E-waste(管理)ルール2016で定義された製品寿命(EoL)に基づく拡大生産者責任(EPR)目標が規定されています。本法令に対応するため、当社ではパナソニック インドがすでに構築している「I Recycle」プログラムを通じて、使用済み製品の回収・リサイクルを実施していきます。また当社は、インドのリサイクル活動の現状分析や課題解決に向けた中長期案を推進する、電機電子業界団体CEAMAに参画しています。
当社はCEAMAとともに、リサイクル管理のためのEPR目標およびEoL定義に関する様々な対話をインド政府と重ねています。
また、より効率的で安定的なリサイクルシステム構築に向け、インド商工会議所連合会(FICCI)やインド工業連盟(CII)とも積極的に連携し、よりよい管理システムとなるよう業界の見解をインド政府へ提言しています。

中南米におけるリサイクルの取り組み

中南米各国においても環境法令の強化が進む中、リサイクル法制化の検討・導入が進められています。
ブラジルではリサイクルシステム構築に向け、当社は業界団体を通じ政府と協議を進めており、各主要都市における回収キャンペーンにも積極的に参画しています。
ペルーでは2016年に施行されたリサイクル法の下、非営利組織である廃棄物管理協会(ASPAGER- Asociación Peruana de Actores para la Gestión de Residuos)の主要メンバーとして参画し、使用済み製品の回収プログラムを実施しており、またメキシコでは政府に承認されたリサイクル管理計画に基づき回収プログラムを展開しています。
チリでも法制定が加速しており、政府とも協議を重ね回収プログラム構築準備を進めています。
アルゼンチンでは、ALPIBA(汎中南米電池業界)に加盟し、実効性のある乾電池の法案策定に向けて政府との連続した協議を続けています。