環境:使用済み製品リサイクルの グローバルでの取り組み

eco ideas

使用済み製品リサイクルのグローバルでの取り組み

資源の有効利用や環境汚染防止などを目的に、世界各国でリサイクルの法制度や仕組みの整備が行われています。日本では特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)や資源有効利用促進法が、EUではWEEE(廃電気電子機器)指令が、米国の多くの州や中国でもリサイクルに関する法令が制定・施行されています。パナソニックグループは非OECD諸国への有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約や各国の関連法令の順守はもとより、サードパーティーの活用も含めて国ごとのリサイクルインフラの実情に即した最も効率的な仕組みづくりに貢献しています。
2019年度の製品リサイクル実績は以下の通りです。近年は国外においては各国における事業領域の変革に伴う回収・リサイクル量の減少により、実績重量も横ばいまたは減少傾向にあります。

2019年度実績

日本

使用済み家電4品目を約17万7,570トン再商品化等処理

欧州

使用済み電気電子機器を約2万5,811トン回収

米国

使用済み電気電子機器を約450トン回収

日本における製品リサイクルの取り組み

2001年に4品目を対象とした家電リサイクル法の施行にともない、メーカーはA・B2つのグループに集約され使用済み家電4品目※1の回収及び再商品化等(リサイクル)を実施することになりました。当社はAグループに属し、既存インフラを活用した地域分散型処理システムを運営管理する(株)エコロジーネットを(株)東芝様と設立しリサイクルに取り組んでいます。この管理会社は、Aグループ(当社をはじめとする17社)のメーカーの委託を受けて、指定引取場所324カ所(A・Bグループ共有)と再商品化工場29カ所を管理運営しています。また当社はパナソニック エコテクノロジーセンター(株)(PETEC)、パナソニック エコテクノロジー関東(株)(PETECK)、中部エコテクノロジー(株)(CETEC)※2に出資し、リサイクルしやすい商品の設計のための情報交換を製品の製造事業部と行うとともに、効率的かつより多くの資源を回収・供給できるよう研究開発を進めており、2019年度は使用済み家電4品目を約17万7,570トンリサイクルしました。
法定リサイクル率※3は段階的に引き上げられてきていますが、パナソニックの各リサイクル工場は、製品の特性や使用原材料、リサイクル効率化の観点より適宜リサイクル設備や工程の見直しを行い、法定リサイクル率を上回るリサイクル実績を収めています。
PETECKでは、2019年夏よりエアコン処理ラインの分解工程の室外機反転・移載の一連の作業を自動化しました。認識装置で室外機の姿勢や大きさを認識し、多関節ロボットで掴んで持ち上げ、認識情報から標準的な解体工程とウインドウタイプなどの特殊品の解体工程に振り分け移載するというものです。これにより平均重量が33kgあり作業者に体力を要求し、かつ危険を伴う室外機の姿勢を天地逆にする反転作業から作業者を開放することが出来、エアコン処理を安全かつ効率的に行うことが可能になりました。
また、PETECでは、プラスチック選別装置を用いた高品位の単一プラスチック再資源化の取り組みを進めています。

PETECKの「エアコン室外機反転装置」

※1 エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目
※2 PETECは当社単独出資会社、PETECKとCETECは三菱マテリアル(株)様と当社の合弁会社
※3 法定リサイクル率=法令で定められたリサイクル率(有価資源重量÷使用済み家電総重量)
法定リサイクル率は2009年と2015年に引き上げられ、現在はエアコン80%以上、ブラウン管式テレビ55%以上、液晶・プラズマ式テレビ74%以上、冷蔵庫・冷凍庫70%以上、洗濯機・衣類乾燥機82%以上

欧州・CIS地域におけるリサイクルの取り組み

2019年、当社は欧州において、廃電気電子機器(WEEE)指令対象製品を約2万5,811トン※4回収しました。

サーキュラーエコノミー
欧州では、WEEE、包装材、および電池に対する拡大生産者責任(EPR)に関する新要件を含めたEU循環経済(サーキュラーエコノミー、CE)パッケージが2018年7月4日に施行されました。
このパッケージは、リサイクルやリユースの手法を拡大することで製品ライフサイクルを完全に循環させることを目的としたEUのアプローチであり、廃棄物のリサイクル目標を高く設定することやEPRの施策などが規定されています。
これらの新たな規定は、2020年3月に発行されたEU循環型経済アクション・プランによりさらに強化され、循環型経済への移行に拍車がかかっています。
パナソニックヨーロッパは、パナソニックグループでのサーキュラーエコノミーのグローバル推進リーダーとして、2020年4月よりサーキュラーエコノミープロジェクトにて、サーキュラーエコノミー型事業の先行事例の構築を目指します。

2020年2月に採択されたフランス循環型経済(CE)法はEU法令よりも先行しており、EU加盟各国の間で法規制に差をもたらす可能性を示唆しています。そのため、フランス国内で事業を行う当社各組織は同国サーキュラーエコノミー法関連の義務を果たすのに必要なあらゆる対応に向けた準備を開始しました。当社はまた、欧州の業界団体であるデジタルヨーロッパ(DIGITALEUROPE)を主導する役割のもと、欧州各国におけるサーキュラーエコノミーの進展を注視しつつ、業界がより循環型事業へ転換していくよう推進することを目指しています。

ロシアでは、生産者および輸入者は、製品や包装材からの廃棄物を、個別にまたは共同機構を通じて管理するか、環境対策料金(エコ料金)を支払うことと規定されています。WEEEの回収目標は2019年に5%から10%に引き上がりました。また、廃棄物回収量が少ないことへの対策として、各地方のスキームを調整しインフラに投資する連邦オペレーターが設立されました。そのため、当社を含む14社は共同機構「EPR E-WASTE RECYCLING」というWEEEスキームに加盟して、WEEEをより多く入手するために、2019年にはリサイクル業者や小売業者との契約数を増やしてきました。
当社は、業界団体であるRATEKを通じて、より良い法令の策定とロシアにおけるリサイクルインフラの向上に向け取り組んでいます。

※4 回収システムごとの回収重量×当該システムにおける当社重量ベース市場投入シェアにより算出

北米におけるリサイクル活動の推進

当社は、北米における廃電池や使用済み製品に対するリサイクルシステムの構築・運営を継続的に主導しています。2007年7月にミネソタ州で施行されたリサイクル法を契機に、同年9月には(株)東芝様およびシャープ(株)様と共同でアメリカリサイクルマネジメントLLC(MRM)を設立し、テレビ、パソコン、その他の電子機器製品のリサイクルを開始しました。

リサイクル業者数社と提携し、MRMは43企業から委託を受け、20州およびコロンビア特別区において回収プログラムを運営しています。
2007年の開始以来、MRMの総回収量は10億ポンド(約45万トン)を超えました。2016年には、米国における当社の事業戦略の変更にともない当社の回収義務はごくわずかとなっていますが、MRMはメーカーを代表し、今後も回収プログラムの運営を続けていきます。
廃電池については、1994年に他の電池メーカーと協働してCall2Recycleというプログラムを立ち上げ、全米およびカナダで二次電池のリサイクルプログラムを提供しています。Call2Recycleは300社以上の企業に回収プログラムと小売店回収ネットワークを提供しており、設立以来、米国内とカナダで61,500トン以上の一次電池と二次電池を回収しています。回収拠点へのアクセス性については、米国居住者の86%がCall2Recycleの回収拠点から約16キロ以内に住んでいます。回収拠点とは、電池を回収する人や組織を指し、小売業者や自治体などに設置される公開拠点と病院・軍事基地・企業・政府機関などの中に設置される非公開拠点があります。Call2Recycleは公開・非公開合わせて3万以上もの回収拠点を米国とカナダに有しています。

カナダにおける使用済み製品のリサイクルは、アルバータ州政府拡大生産者責任(EPR)法の下、2004年に開始されました。それ以来、10州と2準州でWEEEの法制化が完了しており、それぞれに独自の特徴と要求事項が盛り込まれています。パナソニック カナダはこれらプログラムの調和を図るために、非営利組織である電子製品リサイクル協会(EPRA)の管理のもと積極的な役割を担っています。同協会は、リサイクル運営の標準化を義務付けた上で、3,211カ所の回収拠点を通じて全国規模でのスケールメリットを追求しており、業界ではなく政府がプログラムを直接管轄するアルバータ州ならびに2準州を除く、すべての州のEPRプログラムの管理責任を負っています。2018年にはカナダ国内で合計110,770トンの使用済み製品が回収され、現在運営されている各州のEPRプログラムがWEEE対応に非常に有効であることが実証されています。

重量のかさむブラウン管テレビの回収台数は減少傾向にあり、また当社製品の軽量化も継続していることに加え、各プログラムが成熟したことにより、回収重量は年々減少しています。このことから、重量のみに基づく回収はプログラムの実績を表す有効な指標ではなくなるため、新しい測定項目や目標に合意する必要があります。
2017年には、プログラム実施が遅れていたニューブランズウィック州とユーコン準州でも使用済み製品のリサイクルプログラムが開始され、カナダ全域でWEEEプログラムが実施されることになりました。

中国における取り組み

中国では、中国外商投資企業協会(ECFIC)などを通じて、2012年5月に公布・同年7月に実施された廃棄電器電子製品回収処理管理条例の第2期目録(2015年2月公布)の対象製品定義の明確化や、基金単価の設定に関する情報収集・意見提出を進め、政府部門である環境保護部や財政部などからの早期開示に向けた活動を展開しています。
また2017年1月に政府より公布された「生産者責任延伸制度推進方案」の動向把握と対応検討を進めています。

東南アジア・大洋州における各国政府との連携

ベトナム
ベトナムでは、2016年7月にリサイクル法が導入されて以降、生産者や輸入者はベトナム国内で販売した製品に対する回収スキームの構築が義務付けられています。パナソニック セールス ベトナムは、ハノイ、ホーチミン、ハイフォン、タインホア、ヴィン、ダナン、カントーの7カ所に回収拠点を開設してきました。2019年には、8トンの使用済み製品を回収し、適切に処理されるよう認可を受けたリサイクル業者に引き渡しました。

オーストラリア
オーストラリアでは、2011年にテレビ、パソコンの国家リサイクルスキームが策定されました。
パナソニック オーストラリアはこの国家スキームの下、政府公認の共同規制協定であるEPSAに加入し、法的責任を果たしています。
2019年1月から2019年12月までにリサイクルした使用済み製品は1,188トンでした。しかしながら、パナソニックオーストラリアは、同国内のテレビ市場から撤退することを2020年3月に発表し、これにより、スキームで求められる当社回収責務量は以降大幅に減少していくことになります。

パナソニック オーストラリアは、電池リサイクルを対象としたスチュワードシッププログラムの構築において同国電池スチュワードシップ委員会と積極的な役割を担いました。このプログラムは政府に承認され次第、2020年中に実施開始となります。

東南アジア諸国
グローバルでの使用済み製品リサイクルの法的責任の規定化の流れに従い、マレーシアやタイ、シンガポールでも法策定に向けた動きが加速しています。当社でも規制当局や業界団体を通じて協議を進めています。その一環として、マレーシアの環境局と日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)による使用済み製品の管理メカニズム開発プロジェクトや、タイでの現地業界団体を通じた協議活動に参画しています。

こうした政府や業界団体との連携を通して、当社は各国において持続可能な使用済み製品の管理政策の確立に向けて貢献していきます。

インドにおけるリサイクルの取り組み

インドでは、2017年10月1日から環境森林気候変動省(MoEFCC)により、新たなE-wasteリサイクル法が施行されており、E-waste(管理)ルール2016で定義された製品寿命(EoL)に基づく拡大生産者責任(EPR)目標が規定されています。本法令に対応するため、当社ではパナソニック インドがすでに構築している「I Recycle」プログラムを通じて、使用済み製品の回収・リサイクルを実施していきます。また当社は、インドのリサイクル活動の現状分析や課題解決に向けた中長期案を推進する、電機電子業界団体CEAMAに参画しています。
当社はCEAMAとともに、リサイクル管理のためのEPR目標およびEoL定義に関する様々な対話をインド政府と重ねています。
また、より効率的で安定的なリサイクルシステム構築に向け、インド商工会議所連合会(FICCI)やインド工業連盟(CII)とも積極的に連携し、よりよい管理システムとなるよう業界の見解をインド政府へ提言しています。

近頃、インド政府はあらゆる種類の電池の効率的なリサイクルを管理するための「電池リサイクル規則案」を提示しました。当社は様々なステークホルダーや業界団体とともにその内容の確認を行っており、規則が確定し官報に掲載される前に政府に適切な意見を提言できるよう準備しています。

中南米におけるリサイクルの取り組み

中南米各国においても環境法令の強化が進む中、リサイクル法制化の検討・導入が進められています。
ブラジルでは2019年10月に家電業界分野別協定が締結され、2020年2月に家庭用電気電子機器の回収・リサイクル制度を規定した政令が公布されました。当社は長年の間、業界団体(ELETROS/ABINEE)を通じ政府と協議を進め、各主要都市における回収キャンペーンにも積極的に参画し、政令の策定に貢献してきました。2020年から始まるリバースロジスティクスシステム(使用済み製品を回収するためのシステム)構築にも、廃家電管理団体(ABREE)の主要メンバーとして、効率的な使用済み製品の回収・処理を目指し以前から準備を進めています。
ペルーでは2016年に施行されたリサイクル法の下、非営利組織である廃棄物管理協会(ASPAGER)の主要メンバーとして参画し使用済み製品の回収プログラムを継続しているのに加え、地域の小学校などへのリサイクルの意識向上へ向けた活動も定期的に実施しています。コロンビアにおいては、2018年に家電リサイクルの枠組み法が制定され、細則の制定を前に2014年より産業団体(ANDI)の実施する使用済製品の回収プログラム(Red Verde/Lumina)に参画しています。
また、メキシコでは政府に承認されたリサイクル管理計画に基づき回収プログラムを展開しています。
チリでも法制定が検討されており、政府とも協議を重ね回収プログラム構築準備を進めています。
アルゼンチンでは、汎中南米電池業界(ALPIBA)に加盟し、実効性のある乾電池の法案策定に向けて政府との連続した協議を続けています。