循環型モノづくりの進化

当社の事業は、家電製品や電子部品・電池などの部品から住宅、及び、B2Bソリューションなど、幅広い分野におよぶため、鉄(投入資源全体の28%)、プラスチック(10%)など、多種の資源を活用しています。循環型モノづくりにおいては、投入資源の削減をこれまで以上に進めるとともに、再生資源の活用拡大についても、資源の種類ごとに、その特性にあわせた循環の仕組みづくりに取り組んでいます。
さらに当社は、グループ全体の資源別投入量を把握することで、再生資源活用への課題を明確化しています。例えば再生樹脂の場合、活用する部材に求められる特性への対応、供給量の安定的確保、製造側での使いこなす工夫、リサイクル技術開発などの課題に取り組むことで、2020年度は約15.2ktの再生樹脂を製品に活用、2019年度からの累計は28.6ktになりました。このように、グリーンプラン2021の目標達成に向け、着実に再生樹脂の製品への活用を実施していきます。さらに、環境負荷のより小さい植物由来樹脂等の材料の開発や製品への適用を進めていきます。
また、工場廃棄物リサイクル率※1においては、従来から日本や諸外国では、それぞれリサイクル基盤の差に応じた目標設定をしてきましたが、ゼロエミッション活動が重要であるとの認識に立ち、2010年度以降の目標設定をグローバルで統一し、全グループにおける廃棄物リサイクルの高位平準化を図っています。工場廃棄物リサイクル率は、2020年度99%以上の目標に対して、2020年度実績は98.7%となり、目標を達成することができませんでした。今後は目標達成に向け、課題分析を進め、対策を実施していきます。

※1 工場廃棄物リサイクル率=再資源化量÷(再資源化量+最終処分量)

2020年度投入資源の内訳(種類別)

2020年度の投入資源の内訳は、鉄28%、プラスチック10%、建材10%、木材6%、鉄以外の金属6%、紙・ダンボール5%、その他35%

再生樹脂利用実績の推移(2014年度からの累計)

再生樹脂利用実績の推移(2014年度からの累計)は、2014年度1.6万トン、2015年度3.47万トン、2016年度5.06万トン、2017年度6.49万トン、2018年度7.94万トン、2019年度9.28万トン、2020年度10.8万トン。

投入資源の削減

投入資源を最小化するためには、製品質量を削減することが大切です。当社は製品環境アセスメントを通じて、軽量化・減容化、部品点数の削減など、製品の企画設計段階から省資源化を進めてきました。また商品ライフサイクルで投入資源の削減を進めるという視点から、部品リユース、長期使用性向上、電池の取り外し容易化、回収・再資源化時に必要な表示などの取り組みも同時に行っています。

照明器具リニューアル専用器具 クイックアップ

既設照明器具の本体を活かし安定器をリニューアルすることができます。給電部品が反射板に搭載された構造なので、給電部品間の結線作業を必要とせず短工期でのリニューアルが可能です。埋込型、システム天井型の蛍光灯照明器具からLEDへのリニューアルに対応でき、廃棄物抑制、廃材処理費用の低減を実現できます。

照明器具リニューアル専用器具 クイックアップ

リサイクルしやすい設計の事例

リサイクルをより効率的に行うために、業界のガイドラインに沿って、分解・分別が容易になる設計に取り組んでいます。たとえば、製品がより分解しやすくなるよう、溶接やカシメ構造など分解しにくい固定方法をなるべく廃止したり、ねじの使用本数を削減するなどしています。また、より分別がしやすくなるよう樹脂部品の材質表示なども行っています。

樹脂部品の材質表示

循環資源の活用

当社では「商品から商品へ」をコンセプトに、使い終わった商品から取り出した資源を活用する取り組みの拡大を進めています。樹脂では、使用済み家電製品(冷蔵庫・エアコン・洗濯機・テレビ)から取り出した樹脂の自社製品への再利用を進めています。また鉄でも、使用済み家電製品から取り出した鉄スクラップの自社製品への再利用を2013年より始めています。

資源循環 商品をつくる 商品をつかう 資源にもどす

再生樹脂の使用拡大

当社では、回収された廃家電から、鉄や銅、アルミなどの金属だけでなく樹脂も有効に活用すべく、当社の家電リサイクル工場であるパナソニックエコテクノロジーセンター(株)(PETEC)とアプライアンス社加東樹脂循環工場が連携して、樹脂循環の取り組みを推進しています。

樹脂循環取り組みの流れ

樹脂循環取り組みの流れ:PETECが使用済み家電製品から高純度のプラスチックを取り出した後、加東樹脂循環工場で洗浄、強度・寿命回復を実施し異物除去後、強度・寿命を回復させたプラスチックを当社工場でエアコンのフィルター枠、冷蔵庫のカバーダクトなど再生樹脂を活用した部材として商品に活用

PETECでは、廃家電のシュレッダーダストから、用途や物性の異なる主要3種類の樹脂、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)を、当社独自の近赤外線識別技術などを用いて純度99%以上の高精度で選別します。
PETECで選別・回収された単一の再生樹脂は、近隣に立地しているアプライアンス社加東樹脂循環工場へ持ち込まれ、さらなる高純度化と物性回復が行われます。加東樹脂循環工場は、家電などを生産・販売するアプライアンス社における再生樹脂の活用促進のための製造・開発実証拠点であり、性能を高める技術の開発など、再生樹脂の利用拡大に貢献しています。一般的に樹脂は強度や寿命が経時劣化するため、再生して様々な製品の部位・部材へ適用させるためには、物性を回復させる必要があります。製品に要求される物性は樹脂により異なりますので、当社独自の酸化防止剤の添加や、再生樹脂と新しい樹脂材料の調合など、リサイクルPP・PSそれぞれの特性を見極め、樹脂部品に適した処方の使いこなし技術を確立しています。

加えて、当社グループの関連部門と関係会社が密に連携した全国規模の循環型サプライチェーンを構築し、再生樹脂に関する課題解決の取り組みを推進してきました。これらの取り組みが評価され、「令和3年度 資源循環技術・システム表彰」で経済産業大臣賞を受賞しました。

3種の樹脂を同時に選別できる近赤外線樹脂選別機

新規循環資源の開発・展開

セルロースファイバーは、間伐材や木材の切れ端などの天然資源が原料の素材で、環境負荷が小さい資源として注目されています。2018年度に、植物由来のセルロースファイバーを添加した成形材料を開発しました。この環境に配慮した新素材であるセルロースファイバー成形材料は、現在、コードレスのスティック型掃除機の構造部品に採用され、特に重要な特長である軽量化に貢献しています。さらに、2019年度にはセルロースファイバーを55%以上樹脂に混ぜ込む加工技術により、褐色化しやすいセルロースファイバーを白色材料として生成することにも成功しました。本技術を用いて、アサヒビール(株)様と共同でリユースカップ「森のタンブラー」を開発しました。本カップは木質由来の天然資源を55%以上活用しているという技術的な先進性と、その新規性が高く評価され、環境省が主催する令和2年度「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しました。
さらに、2020年度にはセルロースファイバーのさらなる高濃度化の開発を進め、セルロースファイバーを70%の高濃度で樹脂に混ぜ込む加工技術と、それを製品化する成形加工技術を開発しました。本技術により70%の高濃度でも、素材の持つ自然感を活かす意匠を表現することにも成功しました。(日刊工業新聞社が主催する令和3年度 第50回 日本産業技術大賞「文部科学大臣賞」受賞)
また、木質床材分野においては、通常では廃棄されてしまう建築廃材などを再資源化し活用した木質材料を100%(接着剤は除く)使用し、環境に配慮した当社独自の新素材である床材用基材を実現しました。加工技術を駆使し、高密度に仕上げた結果、一般の合板等に比べても硬度に優れ、表面の傷やへこみがつきにくい特徴を持つ、優れた性能を実現しました。また、使用している木質材料は針葉樹が主体で、一部混入する広葉樹も古材のため、虫(ヒラタキクイムシ)の養分となるデンプン質が少なく、虫害を受けにくい性質に仕上がっています。また、独自の技術によって、耐水性能の付加にも成功しました。本商品は、天然素材の使用量削減につながり、生物多様性保全にも貢献しています。
今後、本技術を新たな製品開発に展開していきます。さらに、新たな新規循環資源の開発にも注力していきます。

リユースカップ「森のタンブラー」
70%濃度セルロースファイバー成形材料

再生鉄の循環スキーム構築

当社は東京製鐵(株)様と共同で、使用済み家電製品から発生する鉄スクラップをリサイクルし、再び当社グループの製品材料の鋼板として使用する再生鉄の資源循環取引スキームを、2013年7月から開始しました。使用済み鉄スクラップを支給し鋼板として買い戻すスキームは、国内電機業界初の取り組みとなります。

電炉鋼板の自己循環スキームイメージ

電炉鋼板の自己循環スキームイメージ。PETEC(パナソニック エコテクノロジーセンター)が使用済み家電製品を分解/選別して鉄スクラップを東京製鐵様へ供給し、鋼板をパナソニック事業部が調達し、お客様に商品として販売

具体的には、PETECおよびパナソニック エコテクノロジー関東(株)(PETECK)で回収された家電製品由来の鉄スクラップを、東京製鐵様に納入し、電炉鋼板※2に加工後、再び当社がそれを調達し製品に活用します。2010年から東京製鐵様と検討を始め、再生鉄の品質を製品に使用できるレベルまで上げたり、加工性を向上させたりするための技術開発を行い、電炉鋼板特性に合った使い方を抽出し、さらに用途ごとに要求される特性(形状や強度、溶接性など)をチューニングして、2011年より電炉鋼板の薄板を製品へ導入してきました。そのような実績を経て2013年、当社資本の家電リサイクル会社から納品された鉄スクラップを電炉鋼板に使用するスキームが実現しました。
当初、当社からの鉄スクラップの提供は月50t程度でしたが、2020年度は1年間で2.6kt以上を東京製鐵様に納品し、住宅用天井材や洗濯機など当社製品に利用しています。

自己循環スキームのフロー

PETECで回収された家電製品由来の高品位鉄スクラップを、東京製鐵様に納入、電炉鋼板に加工後、再び当社がそれを調達し製品に活用する(写真はパナホームの軽量天井材)

電炉鋼板の使用拡大は、日本の貴重な資源の一つである鉄スクラップの活用拡大につながります。さらに鉄スクラップを原料として鋼板をつくる場合、最初から鋼板を製造する方法に比べてCO2排出量が大幅に少なくなります。またこのスキームでは、当社の家電リサイクル会社から出荷する鉄スクラップ価格および東京製鐵様から調達する電炉鋼材の購入価格は、両者で協議した支給スクラップの変動ルールに基づいて取り決めることから、調達価格の安定化も実現します。さらなる資源の有効活用、CO2削減と調達価格の安定化を目指し、今後も本スキームの拡大を図っていきます。

※2 鉄スクラップを電気炉で溶解・精錬してつくられる鋼板のこと

ゼロエミッション 工場廃棄物リサイクル率の向上

工場から発生する廃棄物・有価物は、たとえ有価で売却できたとしても資源の有効活用の観点から発生そのものを削減すべきという考えのもと、発生量(廃棄物と有価売却できるものの両方を含んだ量)を把握し、(1)再資源化量(有価売却、無償譲渡、逆有償譲渡に関係なく再資源化できた量)、(2)減量化量(焼却や脱⽔により減量化した量)、(3)最終処分量(埋め立て処分せざるを得ないものの量)に分類しています。当社は生産工程において、材料歩留まりを向上して廃棄物・有価物の発生量を抑えるとともに、再資源化量を増やすことで最終処分量を限りなくゼロに近づける工場廃棄物ゼロエミッション※3の実現をグローバルで目指してきました。
とくに工場を多く抱える中国や他のアジア地域においてこのような取り組みを強化してきました。
しかし、中国に端を発した廃プラスチック輸入規制に伴い、廃プラスチックの再資源化量が減少し、埋め立て処分が増加したことにより、2020年度の工場廃棄物リサイクル率実績は98.7%となり、グリーンプラン2021の目標の99%を下回る結果となりました。継続して廃プラスチックの再資源化への取り組みを推進し、工場廃棄物リサイクル率の維持向上を図っていきます。
また廃棄物の発生量を削減する取り組みとして、製品面では開発設計の見直しによる省資源化を推進しています。生産面では、当社独自のマテリアルフロー分析手法を用いた資源ロス削減活動を展開しています。製品にならない材料や、必要以上に使用される消耗品などをロスと考えて、工程別にモノの流れ・ロス金額を見える化し、設計や製造など関連部門全体と密接に連携して課題の解決に取り組んでいます。今後は当社で開発した、資源ロスを見える化してロス削減のヒントを自動で提示する機能である資源ロスナビも活用して、さらなる資源ロス削減を進めていきます。
廃棄物・有価物の最終処分量を削減する取り組みとして、熱硬化性樹脂など、とくにリサイクルしにくい材料の廃棄量を抑えるとともに、工程ごとの廃棄物分別を徹底することで再資源化の拡大などを実施しています。
さらに工場廃棄物リサイクル率は日本より海外が低いため、海外地域内あるいは地域間の情報共有により取り組みの高位平準化を図ってきました。具体的には、現地工場と日本のグループ会社間で廃棄物リサイクル課題の共有を加速するとともに、長年取り組んできたCO2削減活動のアプローチを踏襲し、BAチャート※4を各地域で作成するなど、グループの優秀事例共有によるノウハウの横展開を推進しています。

※3 当社定義:工場廃棄物リサイクル率99%以上
リサイクル率=再資源化量÷(再資源化量+最終処分量)
※4 廃棄物削減やリサイクル率向上事例についての実施前(Before)と実施後(After)の比較をチャート形式の資料にまとめたもの

廃棄物・有価物の発生量と工場廃棄物リサイクル率

廃棄物・有価物の発生量(工場廃棄物リサイクル率)は、2016年度363kt(99.0%)、2017年度372kt(99.1%)、2018年度374kt(99.1%)、2019年度344kt(98.9%)、2020年度303kt(98.7%)。

廃棄物・有価物発生量の内訳(地域別)

2020年度廃棄物・有価物の発生量は303kt。うち日本41%、東南アジア大洋州23%、中国・北東アジア22%、北米・中南米8%、欧州・CIS4%、インド・南アジア・中東阿2%

廃棄物最終処分量の内訳(地域別)

2020年度廃棄物最終処分量は3.4kt。うち東南アジア・大洋州44%、中国・北東アジア11%、北米・中南米31%、日本10%、欧州・CIS2%、インド・南アジア・中東阿2%

2020年度廃棄物・有価物発生量の内訳(種類別)

(単位:kt)

種類

発生量

再資源化量

最終処分量

金属くず

129

127

0.6

紙くず

34

33

0.06

廃プラスチック類

37

34

1

廃酸

22

14

0.2

汚泥

10

9

0.3

木くず

24

20

0.03

ガラス・陶磁器くず

3

3

0.1

廃油

20

19

0.05

廃アルカリ

9

7

0.003

その他※5

13

11

0.8

合計

303

279

3.4

※5 燃えがら、繊維くず、動物性残さ、ゴムくず、がれき類、ばいじん、処分するために処理したもの、鉱さい、感染性廃棄物、PCB、廃石綿