水資源保全に対する考え方

地球上で利用可能な淡水は水資源全体の0.01%程度に過ぎません。また、ダボス会議を運営する世界経済フォーラムは、毎年発表するグローバルリスク報告書において、今後の経済発展や人口増加による水使用量の増加を見据え、世界で最も影響力が大きいグローバルリスクのひとつとして水危機を継続的にあげています。
社会問題として水不足の深刻さが増す中、当社は、企業の社会的責任の遂行と経営リスク低減のため、商品・生産活動の両面から水資源保全に取り組んでおり、環境基本方針において、効率的な水の利用と汚染防止により、水資源の保全に努めることを定めています。2018年度に向けた環境行動計画グリーンプラン2018では、商品の取り組みとして、節水商品・水循環に貢献する商品の拡大を目指しています。一方、生産活動では、事業活動全体を通じた水資源の保全のため、水使用量削減と循環利用拡大を図っています。またリスク管理の観点から、2018年度までに当社の全ての製造拠点における水リスクアセスメントを完了させることを目指しています。
水に関する事業活動への影響を把握・軽減していくため、具体的な対応として、グローバルで製造拠点が位置するすべての地域において水リスクの大きさを評価しました。評価にあたっては、水量不足などの物理的なリスクだけでなく水に関する規制や地域の評判リスクなど、多様な側面からリスクを評価できる世界資源研究所(WRI)のAqueductや、世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filterといった評価ツールや各国政府などの公的データベースを活用しています。さらに、水リスクが高い可能性がある地域においては、現地の具体的な公的情報や、関連機関へのヒアリングなどを通した情報収集を進めています。そのような現地情報や水使用量などの拠点情報を詳細に分析し、事業活動への影響を、より具体的に特定していきます。このような2018年度に向けた水リスクアセスメントのプロセスを、現在は約50%の進捗で推進しています。現時点では当社の事業活動へ影響を与えるような水リスクは顕在化していませんが、引き続き評価を進めるとともに、今後、水リスク影響が大きいと判断した地域においては、重点的に水使用量削減や循環利用拡大を推進し、経営リスクの低減を図るとともに、水資源保全に取り組んでいきます。
このような活動を推進するにあたり、当社では環境担当役員(2017年8月現在、専務執行役員 宮部義幸)の責任のもと、水管理を含む環境経営の推進体制を構築し、PDCAのマネジメントサイクルを回して、環境経営のレベルアップを図っています。またリスクを継続的に低減させていくための環境リスク管理体制を組織し、(1)毎年度、環境リスクの洗い出しと全社リスクマネジメント推進、(2)環境リスク発現時の迅速な対応を進めています。今後もこのような活動を通して、継続的に環境リスクの管理を行っていきます。
さらに、2014年に日本の環境省主導で発足した官民連携啓発プロジェクトであるウォータープロジェクトに当社は参画しています。このプロジェクトは健全な水循環の維持または回復の推進などを目的としており、企業の水の取り組みの紹介、水の重要性や情報の発信を行っています。当社は日本政府や他社とも協働して、水資源保全に取り組んでいきます。

商品による水資源保全への取り組み

当社は、商品における水の使い方を徹底的に分析し、水流制御、循環利用などの機能を向上させ、水を最大限に活用することで、気遣いなくとも節水を可能にします。2011年度からグリーンプロダクツの判定基準に水の項目を充実し、節水する商品の開発を加速しています。

レンジフード

レンジフードは油汚れがつきやすく、1回の洗浄で約28リットルの水を使用します。エコナビ搭載洗浄機能付きフラット形レンジフードDWシリーズは、給湯トレイにお湯を入れて本体にセットし、「洗浄」ボタンを押すだけで、ファンフィルターで集めた油汚れを自動洗浄します。月1回程度の洗浄で、10年間ファンフィルターを取り外さずに掃除が可能。従来の取り外し洗浄時に比べ、97%節水できます※3。同商品は、平成26年度 省エネ大賞 経済産業大臣賞受賞の商品です。2016年10月に発売したDEシリーズも、羽に付く油をはじく独自の塗装により油がこびりつきにくいだけでなく、運転終了前にファンを高速回転して羽根についた油汚れを遠心力で飛ばす“油トルネード機能”により、羽根の洗浄を3年に1度程度※4に減らすことができます。

※3 使用水量は自社基準による。
※4 (一財)ベターリビング優良住宅部品評価基準換気ユニット(台所用ファン)のフィルターの油捕集効率(レンジフードファン)試験での比較

エコナビ搭載 フラット形レンジフード DWシリーズ

熱電方式冷却ローラー

商業用印刷機では、水冷式の冷却ローラーを使用して加熱乾燥した用紙を冷却することが一般的です。しかしながら、冷却用の配管スペースが必要となり冷却システムが大型になり、水の定期交換や清掃も不可欠でした。2016年7月に量産を開始した熱電方式冷却ローラーは、内面に配置した熱電変換デバイスに電流を流すことによってローラー表面を冷却します。水冷式で必要な配線や冷却チラーが不要となることで、冷却システムがコンパクトになり設置場所の自由度が向上するとともに、冷媒である水の消費をなくすことができます。

熱電方式冷却ローラー

生産活動における水資源保全への取り組み

当社は生産工程排水、空調系統排水などを回収し、水を再利用することで、新規補給水および排水放流量を削減し、生産活動の取水・排水による水資源への負荷を削減しています。世界には水不足に脅かされる地域が数多く存在しており、当社は重点取り組み地域を絞り、活動を進めています。2016年度の工場水使用量は、2,732万m3となり、前年度比で5.4%削減しました。また、工場水使用量生産高原単位※3は、構造改革の影響や再利用の推進などにより、前年度比で原単位が良化しました。2016年度の水の循環利用量※4は705万m3であり、水使用量に対する循環水量の割合は25.8%となりました。2014年度・2015年度・2016年度の排水量は、それぞれ2,421万m3、2,246万m3、2,184万m3です。

※3 工場水使用量生産高原単位=工場水使用量÷生産高
※4 同じ目的のために単に循環させている水(クーリングタワーの冷却水等)は除外して算定

生産活動における水使用量と原単位。工場水使用量生産高原単位※1(2009年度比)は、2009年度4,900万㎥(100%)、2010年度6,000万㎥(95%)、2011年度5,300万㎥(94%)、2012年度4,500万㎥(93%)、2013年度4,300万㎥(96%)、2014年度3,200万㎥(78%)、2015年度2,900万㎥(74%)、2016年度2,700万㎥(67%)

注:2009年度は当時の三洋電機・パナソニック液晶ディスプレイを含まず

2016年度水使用の内訳(地域別)

日本「使用量1,650万m3(上水道・工業用水 575万m3/地下水 1,075万m3/河川・湖水 0万m3)、排水量1,440万m3(下水 195万m3/公共用水域 1,244万m3)」、中国・北東アジア「使用量511万m3(上水道・工業用水 504万m3/地下水 7万m3/河川・湖水 0万m3)、排水量334万m3(下水 235万m3/公共用水域 99万m3)」、東南アジア・大洋州「使用量482万m3(上水道・工業用水 425万m3/地下水 53万m3/河川・湖水 4万m3)、排水量355万m3(下水 167万m3/公共用水域 188万m3)」、北米・中南米「使用量39万m3(上水道・工業用水 27万m3/地下水 12万m3/河川・湖水 0万m3)、排水量23万m3(下水 22万m3/公共用水域 0万m3)」、欧州・CIS「使用量21万m3(上水道・工業用水 10万m3/地下水 11万m3/河川・湖水 0万m3)、排水量19万m3(下水 10万m3/公共用水域 10万m3)」、インド・南アジア・中東阿「使用量30万m3(上水道・工業用水 3万m3/地下水 25万m3/河川・湖水 2万m3)、排水量13万m3(下水 11万m3/公共用水域 2万m3)」、使用量合計2,732万m3(上水道・工業用水合計 1,543万m3/地下水合計 1,183万m3/河川・湖水合計 6万m3)、排水量合計2,184万m3(下水合計 641万m3/公共用水域合計 1,543万m3)

社内カンパニーであるオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社では、2016年度の水使用量の目標1,604万m3に対し、実績は1,561万m3となりました。
また、水の循環利用も積極的に行っています。パナソニックインドグループのテクノパークでは、水資源の持続可能な循環を目指して、工場で使用する水が100%循環するシステムを設計しています。工場で使用する水は地下水を使用し、使用後は排水処理を行った後、下水や河川への放流などを行わずに、トイレ洗浄水への再利用や芝生への散水に利用し再び地下水として循環させています。また、敷地面積に対して必要な地下水量を計算し、算出された量以上に水を使わないことにより、地下水の保全に貢献しています。

パナソニックインド テクノパークの水循環システム。工場で使用する水は地下水を使用し、使用後は排水処理を行った後、下水や河川への放流などを行わずに、トイレ洗浄水への再利用や芝生への散水に利用し、再び地下水として循環