水資源保全に対する考え方

地球上で利用可能な淡水は水資源全体の0.01%程度に過ぎません。今後の経済発展や人口増加による水使用量の増加を見据えると、水危機はグローバルリスクのひとつとしてあげられるものととらえています。
社会問題として水不足の深刻さが増す中、当社は、企業の社会的責任の遂行と経営リスク低減のため、商品・生産活動の両面から水資源保全に取り組んでおり、環境基本方針において、効率的な水の利用と汚染防止により、水資源の保全に努めることを定めています。当社が定める環境行動計画グリーンプラン2021では、生産活動における水使用量削減に継続して取り組んでおります。またリスク管理の観点から、2018年度までに当社のすべての製造拠点における水リスクアセスメントを完了させることを目指し活動を行い、水リスクアセスメント100%を達成しました。
具体的には、水に関する事業活動への影響を把握・軽減していくため、グローバルで製造拠点が位置するすべての地域において水リスクの大きさを評価しました。評価にあたっては、水量不足などの物理的なリスクだけでなく水に関する規制や地域の評判リスクなど、多様な側面からリスクを評価できる世界資源研究所(WRI)のAqueductや、世界自然保護基金(WWF)のWater Risk Filterといった評価ツールや各国政府などの公的データベースを活用しました。さらに、水リスクが高い可能性がある地域においては、現地の具体的な公的情報や、関連機関へのヒアリングなどを通した情報収集を行いました。そのような現地情報や水使用量などの拠点情報を詳細に分析し、事業活動への影響を、より具体的に特定していきました。このような水リスクアセスメントのプロセスを着実に進め、2017年度に当社のすべての製造拠点における水リスクアセスメントを完了しました。また、現時点においても当社の事業活動へ影響を与えるような水リスクは顕在化していません。今後、今回行った水リスクアセスメントをベースにして、生産活動での水使用量削減に継続して取り組んでいきます。
このような活動を推進するにあたり、当社では、水管理を含む環境経営の推進体制を構築し、PDCAのマネジメントサイクルを回して、環境経営のレベルアップを図っています。またリスクを継続的に低減させていくための環境リスク管理体制を組織し、(1)毎年度、環境リスクの洗い出しと全社リスクマネジメント推進、(2)環境リスク発現時の迅速な対応を進めています。今後もこのような活動を通して、継続的に環境リスクの管理を行っていきます。
さらに、2014年に日本の環境省主導で発足した官民連携啓発プロジェクトであるウォータープロジェクトに当社は参画しています。このプロジェクトは健全な水循環の維持または回復の推進などを目的としており、企業の水の取り組みの紹介、水の重要性や情報の発信を行っています。当社は日本政府や他社とも協働して、水資源保全に取り組んでいきます。

商品による水資源保全への取り組み

当社は、商品における水の使い方を徹底的に分析し、水流制御、循環利用などの機能を向上させ、水を最大限に活用することで、気遣いなくとも節水を可能にします。2011年度からグリーンプロダクツの判定基準に水の項目を充実し、節水商品の開発を加速しています。

食器洗い乾燥機(食洗機)

手洗いとの比較で5人相当の食器なら、約1/6の水で洗うことができます。
(手洗い 約75Lに対して約11L 2Lのペットボトル約32本分の節約)

また、エコナビ運転をすることにより、汚れの状態を検知し、洗浄の際の給水温度や乾燥の際の加熱温度を調整し消費電力を約5%、運転時間を約4分短縮し、節電ができます。

NP-TZ300

セントラル水浄化機器

「セントラル水浄化機器」は、井戸からくみ上げた井戸水の鉄分や濁りを除去した生活用水を提供します。販売地域のインドネシアでは、上水道の普及率が低く、井戸水が生活用水として使用されていますが、鉄分や濁りなどが含まれていることが多く、洗濯した衣類が鉄分の影響で変色したり、浴槽や便器が汚れるなどの課題があり、きれいな生活用水が望まれています。この「セントラル水浄化機器」は、井戸水に含まれる除去困難なイオン状の鉄分を、当社独自の高速酸化処理により除去。加えて濁りも取り除き、浄化した生活用水を建物内に供給します。また、ユーザーによるメンテナンスも簡単に行える構造とし、低コスト、低メンテナンス、省施工の水浄化システムとなっています。

セントラル水浄化機器

レンジフード

レンジフードは油汚れがつきやすく、1回の洗浄で約28リットルの水を使用します。エコナビ搭載洗浄機能付きフラット形レンジフードDWシリーズは、給湯トレイにお湯を入れて本体にセットし、「洗浄」ボタンを押すだけで、ファンフィルターで集めた油汚れを自動洗浄します。月1回程度の洗浄で、10年間ファンフィルターを取り外さずに掃除が可能。従来の取り外し洗浄時に比べ、97%節水できます※1。同商品は、平成26年度 省エネ大賞 経済産業大臣賞受賞の商品です。2016年10月に発売したDEシリーズも、羽に付く油をはじく独自の塗装により油がこびりつきにくいだけでなく、運転終了前にファンを高速回転して羽根についた油汚れを遠心力で飛ばす“油トルネード機能”により、羽根の洗浄を3年に1度程度※2に減らすことができます。

※1 使用水量は自社基準による。
※2 (一財)ベターリビング優良住宅部品評価基準換気ユニット(台所用ファン)のフィルターの油捕集効率(レンジフードファン)試験での比較

エコナビ搭載 フラット形レンジフード DWシリーズ

トイレ

全自動おそうじトイレ「アラウーノ」は、独自の節水技術「ターントラップ方式」で効率的に水を使うことにより、従来のトイレと比較して、使用水量を年間で約1/3※3に削減できます。また、汚れが付きにくい有機ガラス系新素材を使用していることに加え、トビハネ汚れを抑える「トリプル汚れガード」によって掃除の回数が少なくて済むため、お手入れにおいても節水です。
2018年度はトップカバーやアームレストのカラーバリエーションを増やし、さらにインテリア性を強化。トイレ空間のコーディネイトに配慮される店舗やホテルへの展開を強化することで、住宅以外でも節水の機会を拡大しています。

※3 1990年頃の当社サイホンゼット式トイレ(CH43)との比較

全自動おそうじトイレ「アラウーノ」
全自動おそうじトイレ「アラウーノ L150」

生産活動における水資源保全への取り組み

当社は生産工程排水、空調系統排水などを回収し、水を再利用することで、新規補給水および排水放流量を削減し、生産活動の取水・排水による水資源への負荷を削減しています。世界には水不足に脅かされる地域が数多く存在しており、当社は重点取り組み地域を絞り、活動を進めています。2020年度の工場水使用量は、19.19million m3となり、前年度比で16.9%削減しました。また、工場水使用量生産高原単位※1は、事業再編の影響により前年度比で原単位は良化しました。2020年度の水の循環利用量※2は3.38million m3であり、水使用量に対する循環水量の割合は17.6%となりました。2018年度・2019年度・2020年度の排水量は、それぞれ19.25million m3、18.02million m3、14.81million m3です。

※4 工場水使用量生産高原単位=工場水使用量÷生産高
※5 同じ目的のために単に循環させている水(クーリングタワーの冷却水など)は除外して算定

生産活動における水使用量と原単位

生産活動における水使用量と原単位。工場水使用量生産高原単位※1(2009年度比)は、2009年度49million ㎥(100%)、2016年度27million㎥(67.3%)、2017年度26million㎥(60.2%)、2018年度25million㎥(59.6%)、2019年度23million㎥(60.9%)、2020年度19million㎥(55.1%)

注:2009年度は当時の三洋電機・パナソニック液晶ディスプレイを含まず

2020年度 水使用の内訳(地域別)

(単位:10k)日本「使用量1,140(上水道・工業用水 434/地下水 706/河川・湖水 0)、排水量957(下水 162/公共用水域 796)」、中国・北東アジア「使用量424(上水道・工業用水 422/地下水 1/河川・湖水 0)、排水量280(下水 207/公共用水域 73)」、東南アジア・大洋州「使用量285(上水道・工業用水 241/地下水 44/河川・湖水 0)、排水量207(下水 163/公共用水域 44)」、北米・中南米「使用量37(上水道・工業用水 22/地下水 15/河川・湖水 0)、排水量14(下水 9/公共用水域 5)」、欧州・CIS「使用量15(上水道・工業用水 9/地下水 6/河川・湖水 0)、排水量14(下水 9/公共用水域 5)」、インド・南アジア・中東阿「使用量18(上水道・工業用水 2/地下水 16/河川・湖水 0)、排水量7(下水 7/公共用水域 0)」、使用量合計1,919(上水道・工業用水合計 1,130/地下水合計 789/河川・湖水合計 0)、排水量合計1,481(下水合計 562/公共用水域合計 919)

社内で最も多く水を使用する社内カンパニーであるインダストリアルソリューションズ社(75事業場)では、2020年度の水使用量の実績は削減取り組みの他、事業再編の影響もあり10.83million m3と前年度比で19.6%削減しました。使用量原単位の削減目標達成率は142%で、前年の新型コロナウィルス感染症の影響から生産が回復基調にあることより原単位が良化しました。オートモーティブ社(11事業場)では、目標447thousand m3に対し、実績は434thousand m3となりました。

パナソニックデバイス佐賀株式会社では、近年の地震・豪雨災害などの自然災害が頻発する中で屋外で保管する化学薬品の漏洩リスクにも配慮し、化学薬品が必要な樹脂再生式純水製造装置から、化学薬品を使用しない電気再生方式装置に置き換えることで、工場周辺への環境リスク低減及び環境負荷の低減を図りました。その際、新たに導入した排水回収装置により純水製造装置から発生する排水を濃縮排水と回収水に分離し、その回収水を再利用することで工場全体の水使用量を18thousand m3/年削減することができました。

当社は今後も水資源保全の取り組みを進めていきます。

パナソニックデバイス佐賀
電気再生式純水装置