高専卒入社のキャリアパス
高専卒、生産技術として活躍する二人は、どんなキャリアを歩んできたのでしょう。

久保さん
2005年 高専卒入社 生産技術(設備設計)
歩み
綱崎さん
2009年 高専卒入社 生産技術(設備設計)
電気工学専攻。高専でソフト/ハードと電気系全般について学ぶ日々。
電気・電子工学専攻。新しい半導体材料開発をしていたが、電気・電子よりも機械に興味があると気づく。
大阪府門真拠点のメカ製造部門に配属。学生時代の専攻とは異なる業務に不安を感じる。
大阪府門真拠点で機械設計業務をスタート。超初心者の私に対する手厚い指導がありがたかった。
先輩に恵まれ、丁寧に指導していただいたおかげで仕事の楽しさを発見。
会社にも少しずつ慣れ、大阪市内の寮での生活を満喫!
初めての担当設備。苦労しながらも無事に納入。
新商品の回路基板設計業務を担当。新しい上司や協力者と多くのチャレンジができた。
リーダーに就任。多くの人に支えられ、スキルアップを実感。
「ものづくり大学校」にて1年間研修。同年代の仲間と共にモノづくりの基礎を習得。
結婚・転勤と変化の多い年。妻の支えで何とか乗り切れた。
職場復帰。久しぶりの実務にモチベーションアップ。
大阪府住之江拠点に転勤。通勤時間が2時間になったが、新たな仲間と楽しく業務ができた。
シンガポールへの長期出張へ。
工場業務の大変さを痛感するも、幅広い知見を獲得できた。
若手メインのプロジェクトでリーダーに。頼もしい後輩たちに感謝!
希望を出して大阪府門真拠点に転勤させてもらう。自分で職場を選べる会社に感謝!
FA用モータ担当として中国工場に数週間出張し、試作・製造など幅広く関わる。それまでとは違う景色が見えた。
これまでの経験を生かし、標準品担当リーダーとして業務を推進。
結婚。
1年間、内部テーマとしてICT製品開発を推進。有意義な業務を経験できた。
妻が出産。有休を多く使用したが、上司・仲間に助けられスムーズに業務復帰。
三重県伊勢拠点に1年間派遣され、工場勤務の苦労と難しさを知る。
子どもが保育園通園をスタート。有休や定時退社など、とても融通が効く会社に感謝。
設備製造から設計部門に異動。分からないことが多く、必死に勉強する毎日。
クロストーク

<入社後の印象>

久保/入社当時はまだ体育会系の上下関係がありながらも、アットホームかつ一体感のある古き良き昭和の雰囲気が残っていましたね。時に厳しく、時に優しく色々と教えていただいたおかげで社会人としての基礎が形成され、成長できたと思います。現在は体育会系という感じはなくなりましたが、先輩が後輩の面倒を見るカルチャーや強い一体感はしっかりと息づいていますね。

綱崎/最新の高層ビルで働くものだと思っていましたが、実際は歴史の重みを感じる古い建物でイメージしていたエンジニアライフではなかったですね(笑)。ただ、入社後3ヶ月をかけてすべての部門を回り、仕事内容や製品がどのように作られるかを理解する研修や日々のOJTを通じて、ひとりの技術者として着実にスキルアップできる最高の環境だと思いました。

<キャリアの中で印象に残っていること>

久保/入社7年目に経験したシンガポールでの生産設備立上げですね。当時日本で生産していた製品をすべて海外に移管するプロジェクトでしたが、設備そのものの立上げとその維持管理を担うローカル人材育成という2つのミッションがあったんです。英語はほぼ話せなかったものの、ブロークンながら現地メンバーと必死に意思疎通を図り、無事にミッションを完遂。皆モチベーションが高い上に吸収が早いこと、私のことを「先生」と呼んでくれたことには驚きましたね(笑)

綱崎/入社10年目、リーダーとして携わったICT製品の製造設備設計プロジェクトです。現場の方々からすれば、リニューアルによって慣れ親しんだモノづくりができなくなるという危惧があるわけです。そこで、皆さんの不安や今の設備の問題点などを洗い出す調査に1年、要件確定に1年。そして設計から導入に1年という足掛け3年もの時間を費やすプロジェクトになりましたが、決してひとりでは成し得なかったですね。多くの時間と労力を注いだ新設備は現場からの評判も良く、大きな喜びを感じることができました。

<キャリアの中で大変だったこと>

綱崎/機械設計のイロハを学んだ入社後の3年間は、これまでで最も苦労した時間だと思います。知識を詰め込むだけでなく、実際のモノづくりの現場を深く知らないと設備は作れないことを痛感する毎日でした。先輩からの相次ぐダメ出しにめげそうになることもありましたが、入社3年目を迎える頃にようやく知識と経験が結びつき始め、自分の仕事が少しずつ設計と言えるものになっていったんです。その小さな成功体験によって自信を持つことができましたし、設計という仕事の奥深さを改めて知ることができましたね。

久保/新製品の生産設備立ち上げのため、工場に派遣された1年間は自分にとってのターニングポイントですね。知り合いもおらず、制御や画像検査、設計といった専門外の不具合にも自分で対応する必要があったんです。そこで、色々な人に片っ端から声をかけて教えを請うことを実践していきました。そうするうちに徐々に知り合いも増え、業務もスムーズに行えるようになりましたね。苦楽を共にした仲間とは今も一緒に仕事をしていますし、築いた関係性が現在の業務にも生きているのがうれしいですよね。

<これからチャレンジしたいこと>

綱崎/自分自身の経験も踏まえて、「教育」に力を入れていきたいんです。様々な工場と接し、転勤も経験してきたからこそ、設計のスキルは決して座学では身につかないということも理解しているつもりです。一人でも多くの若手が働きやすさとともにスキルアップを実現できるよう、体系化したプログラムを形づくって後輩の育成に携わり、ワークライフバランスや生産性向上を実現していきたいですね。

久保/まずは、現在挑戦している設備設計の分野で一人前になりたいと思っています。新たに覚えることも多くて大変ですが、これまでに培った設備製造のスキルと製造現場を熟知している強みを活かしていきたいですね。設備を使う人たちへの想像力をしっかりと設計に反映し、新たな仕事のやり方や新たなモノづくりを開発することで、会社に貢献したい。そんな思いが強くあります。