帯電微粒子水

画像:洗濯物によるかぶれ テキスト:洗剤に含まれる皮膚刺激成分(界面活性剤)に対して「帯電微粒子」技術による分解効果を検証

1997年に住環境の「空気浄化」をテーマに研究開始以降、「帯電微粒子水生成技術」に着目し、新型インフルエンザやPM2.5、新型コロナウイルスなど社会的に関心の高いテーマに関するさまざまな効果を実証してまいりました。

「帯電微粒子水」研究のあゆみ →

そして今回(2022年5月)、肌トラブルやかぶれ(接触皮膚炎)の原因となる洗剤などに含まれる皮脂刺激成分(界面活性剤)に対して、帯電微粒子水による90%以上の分解効果を実証しました。

画像:洗剤と洗濯物 テキスト:界面活性剤90%以上分解!

検証の背景

肌トラブルやかぶれ(接触皮膚炎) に悩む人が増加

かぶれ(接触皮膚炎)を訴えて皮膚科を受診される方が増えています。患者の中でも多いのが皮膚のバリア機能が未熟な乳幼児と、バリア機能が低下する51歳以上。特に老化による皮膚バリア機能の低下は現在の医学では回復不可能と言われています。

画像:タオルに包まれる赤ちゃん テキスト:バリア機能が未熟な乳幼児 かぶれに悩む中高年男女 テキスト:バリア機能が低下する51歳以上

皮膚バリア機能低下の原因

かぶれ(接触皮膚炎)は主に、アレルギー反応によっておこる「アレルギー性皮膚炎」と、原因物質のもつ刺激性によっておこる「刺激性皮膚炎」に分類されます。その中でも日常的に使用する洗剤やシャンプー、化粧品などに含まれる界面活性剤が原因となる「刺激性皮膚炎」に着目しました。

画像:皮膚バリア機能低下の原因 毎日のシャンプー 洗濯洗剤 メイク用品

皮膚刺激成分について

界面活性剤とは

「刺激性皮膚炎」の原因の1つである界面活性剤は、界面(物質の境の面)に作用して、性質を変化させる物質の総称で、汚れを落とすためには必要不可欠な洗剤の主成分となるものです。

画像:洗剤の主成分 界面活性剤 汚れを落とすドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 水軟化剤 酵素 蛍光漂白剤 アルカリ剤

界面活性剤のしくみ

構造としては、1つの分子の中に、水になじみやすい「親水基」と、油になじみやすい「親油基」の2つの部分を持っており、この両方の性質により、水と油のように混じり合わないものを混ぜ合わせ、油汚れを落とすことができるのです。

画像:界面活性剤の分子構造 親水基 新油基

界面活性剤の分子構造

画像:界面活性剤のしくみ 油汚れは水の中に溶け込めない 界面活性剤が油汚れにつくと水の中に溶け込める

両方の性質(親水性・親油性)を持つことで繊維に付着した油汚れを落とすことができる

界面活性剤が汚れを落とすしくみ

界面活性剤には「浸透作用」「乳化作用」「分散作用」という3つの作用があり、それらが総合的に働いて、衣類などの汚れを落とします。界面活性剤の親油基が皮脂などの油汚れに吸着し(浸透作用)、親水基が水側に引っ張られることで(乳化作用)、汚れが繊維から離脱します(分散作用)。

画像:油汚れは水に溶けにくい 洗剤 水 油汚れ 繊維

1. 油汚れは水に溶けにくい

画像:新油基が汚れに吸着

2. 親油基が汚れに吸着

画像:親水基が水に引かれる

3. 親水基が水側に配列、汚れを浮かす

画像:皮膚バリア機能低下の原因 毎日のシャンプー 洗濯洗剤 メイク用品

4. 繊維から汚れが離脱、汚れを水中に分散

界面活性剤による皮膚刺激のメカニズム

上記で説明した界面活性剤の洗浄メカニズムと同じ現象が洗剤に触れた皮膚の表面でおこると、皮膚のバリア機能が低下し「刺激性皮膚炎」を発症する恐れがあります。 バリア機能が正常な状態の肌では、皮膚表面の皮脂膜がバリアとなり肌を刺激物質から守りますが、界面活性剤が肌に付着すると親油基が皮脂膜に吸着。肌表面の外側に配列された親水基が外部の水分に引っ張られ、(汚れが繊維から離脱する分散作用と同様に)皮脂膜が浮いた状態となり角質層との間に隙間ができます。皮脂膜の働きが弱くなり喪失することで、皮膚から水分が抜け出し、外部からの刺激が肌の奥に侵入しやすくなるのです。

画像:バリア機能が正常な状態 外部からの刺激 皮脂膜 角質層 表皮細胞 水分

皮膚表面の皮脂膜がバリア機能として肌を刺激物質から守る

画像:界面活性剤が肌に付着 脂膜を浮かせる

親油基が皮脂膜に吸着、親水基が水側に配列し皮脂膜を浮かしてしまう

画像:肌のバリア機能が低下した状態 外部からの刺激 水分

皮膚膜を喪失し、皮膚のバリア機能が低下=皮膚ダメージが発生

刺激成分から皮膚を守るために【着眼点】

様々な物質に作用しやすいOHラジカル(高反応成分)を含む帯電微粒子水により、皮脂膜を喪失する原因となりうる界面活性剤の親油基を分解することで、肌に付着しても皮膚ダメージを抑制できると考えました。

画像:ダメージ抑制仮説 界面活性剤の新油基を帯電微粒子水が分解 皮脂膜が失われない

検証方法

界面活性剤の選定

市販の洗濯洗剤には非常に多くの界面活性剤が使用されていますが、その中でも、特に使用頻度の高いドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS)と、皮膚への刺激性の強いラウリル硫酸ナトリウム (SDS)2種類を検証対象に選定しました。

表:界面活性剤の選定 信用頻度が高い LAS 皮膚刺激性が強い SDS

※1 検証機関:一般財団法人 化学物質評価研究機構(CERI)報告書番号 452-21-A-0134、452-21-A-0075
※2 CERI 有害性評価書 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(P.18 表7-2)
※3 Cosmetic Ingredient Review(1983)「Final Report on the Safety Assessment of Sodium Lauryl Sulfate and Ammonium Lauryl Sulfate」、Journal of the American College of Toxicology (2)(7),127-181.(P.164、P.168 参照)

検証方法

実験用のチャンバー (広さ6畳 / 空間容積:24m³) 内に、『 帯電微粒子水 』発生装置を搭載した送風装置を配置。送風装置の吹き出し口から上方40cmの位置に、界面活性剤を塗布した繊維片を吊るします。『 帯電微粒子水 』発生装置と送風装置を作動させて、界面活性剤を塗布した繊維片に、『 帯電微粒子水 』を3時間曝露します。(『 帯電微粒子水 』が送風装置の風に乗って繊維片に到達し、『 帯電微粒子水 』による界面活性剤の分解反応が進行)3時間の曝露(分解反応)完了後、繊維片を回収し、分析しました(液体クロマトグラフ質量分析:LC / MS)。

画像:検証方法 帯電微粒子水発生装置を搭載した送風装置 界面活性剤を塗布した繊維片

検証機関
一般財団法人 化学物質評価研究機構

検証対象
界面活性剤を塗布した繊維片
界面活性剤
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)

検証空間
チャンバー(空間容積:24m³)

検証方法
① 帯電微粒子水の曝露
検証機材の設置後に、3時間曝露
② 効果の判定
曝露終了後に繊維片を回収
界面活性剤の残留量を測定し、残存率を算出

検証結果・専門家の声

帯電微粒子水の3時間曝露で界面活性剤を90%以上分解

『帯電微粒子水』 を3時間曝露した場合と、曝露しない場合(ブランク)の界面活性剤の残留量を比較。縦軸の残存率(%)は、曝露群の残留量をブランクの残留量で割った比率です。LAS(使用頻度が高い)ではブランクに対する曝露群の残存率は 4.6%(分解率 = 95.4%)、SDS(皮膚刺激性が強い)では曝露群の残存率は 9.0%(分解率 = 91.0% )、90%以上分解されることが分かりました。

画像:検証結果 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 分解率95.4%

帯電微粒子水を3時間暴露した後の残存率
LAS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)

画像:検証結果 ラウル硫酸ナトリウム 分解率91.0%

帯電微粒子水を3時間暴露した後の残存率
SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)

専門家の声

皮膚刺激成分(界面活性剤)が皮膚を守る皮脂膜(バリア機能)を破壊し、その隙間から分子量の大きい刺激性物質が肌内部に侵入することにより、刺激性皮膚炎とよばれる炎症やかぶれが引き起こされます。洗濯後、衣類に残留した界面活性剤を帯電微粒子水で分解することで皮脂膜の喪失を抑制し、刺激性皮膚炎の発症リスクを低減させる効果が期待できます。

写真:森島陽一先生 松下記念病院 皮膚科部長

松下記念病院
皮膚科部長 森島陽一先生