過酷な環境でも野菜・果実の生産を

~ITグリーンハウス~

温暖化、砂漠化、土壌汚染、水質汚濁など、さまざまな環境問題を抱える地球。人口は増加していく一方で、作物をつくることができる土地の確保は難しくなってきています。世界のあらゆる環境下で、美味しい野菜や果物を収穫できるようになれば――パナソニックは、天候、温度などの気象条件に左右されにくい、光・空気・水を制御する先進の農業ソリューションの開発に挑戦しています。

このミッションは農林水産省の主導で2016年にスタートした国家プロジェクトで、パナソニックのほか複数の企業が参画しています。沖縄県・石垣島に建設されたのは温度・湿度などがすべてコンピューターで管理・数値化された最先端の「ITグリーンハウス」。通常、石垣島のように高温多湿な地域では高品質な栽培が難しいとされる、トマトやイチゴ栽培の実証実験が進められています。

写真:沖縄県石垣島の「ITグリーンハウス」空撮写真 写真:沖縄県石垣島の「ITグリーンハウス」空撮写真

亜熱帯に属する石垣島の年間平均気温はおよそ24℃。一方で年平均降水量は2000ミリを超え、スコールに見舞われる日も多く、台風も年に5回ほど直撃します。
本来、トマトやイチゴはこうした気候を嫌うため、この土地で高品質な栽培を実現するには、昼間・夜間を問わず細やかな温度・湿度管理が必要となります。

パナソニックは、これまでに培ってきた野菜栽培システムや農業設備などの技術を結集し、公的研究機関、大学やパートナー企業とも協力しながら、「ITグリーンハウス」を構成するセンシング、通信、計測といった主要なソリューションを複数提供し、栽培する作物ごとに最適となる環境をつくりだし、日々の栽培管理とその記録・分析を行っています。

太陽の光は作物を育てるために必要ですが、その光には作物の栽培に不要な赤外線も混ざっています。強烈な直射日光の熱を和らげ、かつ赤外線を通さない素材として導入したのが「熱線吸収カーテン」です。この素材には当社プラズマテレビにヒントを得た技術が採用されており、ハウス内の温度調節に欠かせないものとなっています。

写真:ITグリーンハウスの「熱線吸収カーテン」

トマトは雨に濡れると実が割れるなどの傷みが生じます。そこでハウス内では粒径が極めて小さいミストを噴射し、作物を濡らしてしまうことなく温度と湿度を最適な状態にコントロールしています。このミストには、当社が都心の暑さ対策として開発したミスト式冷却器「グリーンエアコン」と同じ機構が採用されています。

写真:ITグリーンハウスの「ミスト式冷却器」

こうした光、温度、湿度、ミストなどの制御を自動で、また時には遠隔制御しているのが「Smart菜園’s クラウド」です。これは国内のハウス農家向けに開発されたクラウドサービスで、栽培に携わる方が現場から離れたところからもハウスの状態を正確に把握・コントロールすることができます。

写真:「Smart菜園’s クラウド」 操作画面

クラウド型農業管理システム「栽培ナビ」は、通常、一人のベテランの判断に頼って行っていた土づくりや温度調節のノウハウなどを数値化・見える化し、プログラムとして残せるソリューションです。次世代へ、また、発展途上国などへ向けて技術を伝承する際に活用できます。

写真:「栽培ナビ」操作画面

ハウス本体は、住宅設備・建材メーカーとしての実績も積んできた当社のノウハウを生かし、台風や強風対策として風速50メートルの強風にも耐えうる強度・品質を確保しています。

本プロジェクトで得られる知見を今後の農業ソリューション開発に生かしていくことで、世界中のあらゆる気候・土地において、美味しくて栄養価の高い野菜や果物を安定栽培、安定供給する未来が、より確実なものとなっていきます。それにより国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成にも貢献することができます。

※ SDGsはSustainable Development Goalsの略。2030年までに達成を目指す17の目標のこと。

「持続可能な開発目標(SDGs)」17のゴール

Sustainable Development Goals
イラスト:Sustainable Development Goals(世界を変えるための17の目標)。1:貧困をなくそう。2:飢餓をゼロに。3:すべての人に健康と福祉を。4:質の高い教育をみんなに。5:ジェンダー平等を実現しよう。6:安全な水とトイレを世界中に。7:エネルギーをみんなに、そしてクリーンに。8:働きがいも経済成長も。9:産業と技術革新の基盤をつくろう。10:人や国の不平等をなくそう。11:住み続けられるまちづくりを。12:つくる責任つかう責任。13:気候変動に具体的な対策を。14:海の豊かさを守ろう。15:陸の豊かさも守ろう。16:平和と公正をすべての人に。17:パートナーシップで目標を達成しよう。これらは、2030年に向けて世界が合意した持続可能な開発目標。

これからもパナソニックは、皆さまに「より良いくらし、より良い世界」をお届けするために取り組みを続けていきます。

※ 本プロジェクトは、農研機構生研支援センター『「知」の集積と活用の場による研究開発モデル事業』の支援を受けて行われています。

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