105. 従業員の福祉基金に私財2億円を寄贈 1961年(昭和36年)

昭和36年3月7日、会長は従業員の永年にわたる協力に感謝し、私財2億円を寄贈すると発表した。

「私は過去43年間にわたる長い間、皆さんの常に変わらぬご協力をいただき、このほど無事に社長の務めを終えることがでました。この際、お礼の意味で何か記念品を差し上げたいと思い、いろいろ考えた末に、福祉基金をお贈りすることにしました。皆さんがよく協議して、この基金を有効に使っていただけるなら、これに勝る喜びはありません」

3月7日は、会長がソケット製造に着手した松下電器創立の意義深い日に当たり、全員はこの発表に深い感銘を受けた。

この福祉基金2億円は、この年7月10日、会長から松下正治社長に贈呈された。その後、会長の意向にそって、末長く有効に活用するための具体策が検討され、昭和38年5月、「松下会長頌徳福祉会」が発足した。この会の運営により、従業員の子女の育英補助、結婚祝い、遺族育英制度などの福祉事業がきめ細かに行われた。なお、同会の名称は、昭和50年5月の創業記念日に「松下幸之助頌徳福祉会」と改められた。