生産活動におけるCO2削減

当社は、気候変動対策への貢献と、工場の生産性向上やエネルギーコスト削減などといった環境経営の体質強化を目的に、工場のCO2削減に取り組んでいます。
2010年度からは当社独自の指標であるCO2削減貢献量を設け、省エネ体質の強化およびCO2原単位の低減を進め、生産活動におけるCO2削減貢献量の最大化に取り組んできました。2016年の環境行動計画グリーンプラン2018改定では、生産活動におけるCO2削減の指標を「CO2原単位」に変更し、2018年度の目標を2013年度比5%以上削減(年平均1%以上削減)と設定しています。
省エネ・CO2削減施策としては、各工場単位の個別の取り組みに加えて、全社として優秀事例の横展開や専門人材の育成、CO2イタコナ活動※1を推進しています。また2018年度目標である「再生可能エネルギー自社導入量1万MWh以上」の達成に向け、太陽光発電などの導入を推進しています。2017年度のこれらCO2削減取り組みへの投資額は35億円※2でした。その結果、2017年度のCO2原単位は、2013年度比で14%の削減を達成しました。また、原単位だけでなくエネルギー消費量自体も着実に減少しています。
加えて、工場、オフィス、ショウルームなどにおいてLED照明への切り替えを推進しています。2018年度中にグローバルの導入完了※3を目指しています。
その他、当社は2030年を目指した電機電子業界を挙げての温暖化防止の自主行動計画である経団連低炭素社会実行計画に参画しています。具体的には、業界が掲げる目標「2030年に向けて、工場と大規模オフィスのエネルギー原単位改善率 年平均1%」の達成を目指して、工場などにおける省エネを着実に進めています。

※1 当社の造語で、商品開発段階で商品設計上のムダを探す際に、商品の構成要素を板(イタ)や粉(コナ)にまで細かく原価分解してムダを発見する手法の考え方を、CO2削減に適用させたもの。単位生産量当たりのエネルギー使用量(エネルギー原単位)を連続的に見える化し、原単位の変動要因、最小の原単位で生産するための方策を分析・検討することによって、省エネの新たな切り口、施策を発見する活動
※2 CO2削減に関する投資はすべて含む。ただし差額集計あるいは按分集計を行っていない
※3 導入可能な事業場が対象

生産活動におけるCO2排出量※5と原単位:2013年度292万トン、2014年度248万トン、2015年度232万トン、2016年度230万トン、2017年度228万トン。CO2排出量原単位※4(2013年度比)は2014年度93%、2015年度93%、2016年度92%、2017年度86%
生産活動におけるCO2排出量(地域別)。日本「2017年度:93万トン/2016年度96万トン/2015年度101万トン」、中国・北東アジア「2017年度:71万トン/2016年度:68万トン/2015年度:67万トン」、東南アジア・大洋州「2017年度:48万トン/2016年度:48万トン/2015年度:50万トン」、北米・中南米「2017年度:7万トン/2016年度:7万トン/2015年度:8万トン」、インド・南アジア・中東阿「2017年度:5万トン/2016年度:6万トン/2014年度:2万トン」、欧州・CIS「2017年度:5万トン/2015年度:5万トン/2014年度:4万トン」
生産活動におけるエネルギー消費量:2013年度5.7万テラジュール、2014年度4.8万テラジュール、2015年度4.1万テラジュール、2016年度4.4万テラジュール、2017年度4.3万テラジュール

※4 CO2排出量を、各工場の生産高、生産台数など、CO2排出と密接に関連する活動量で除して算出した「CO2原単位」の2013年度対比の改善率を加重平均して算出。加重係数は、改善がなかったと仮定した場合の各工場のCO2排出量を使用
※5 燃料関係は環境省温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(Ver4.3.1)の係数に基づく。日本の各年度購入電力の係数(kg-CO2/kWh)は、CO2削減取り組みの努力を正確に反映するため0.410を固定して使用。各年度の電力係数である0.570(2013年度)、0.554(2014年度)、0.587(2015年度)、0.512(2016年度、2017年度)を使用した場合のCO2排出量は、319万トン(2013年度)、277万トン(2014年度)、268万トン(2015年度)、250万トン(2016年度)、247万トン(2017年度)。PPS(特定規模電気事業者)からの購入電力についても上記係数を使用。日本以外の購入電力の係数は、GHGプロトコルの各国の係数を使用

工場CO2削減WGの推進

CO2削減を確実に実行するためには、工場の各施設のエネルギー使用状況や対策による削減効果を見える化することが重要です。これまでグローバル全製造拠点において4万点以上の計測装置やファクトリーエネルギーマネジメントシステム(FEMS)を導入し、エネルギー使用状況の見える化や分析を行うメタゲジ※6を推進することでCO2削減に取り組んできました。
2010年度からはこの仕組みを活かして、CO2イタコナ活動を展開しています。この活動により、単位生産量当たりのエネルギー使用量(エネルギー原単位)を連続的に見える化し、原単位の変動要因や最小の原単位で生産するための方策を分析・検討することで、省エネの新たな切り口、施策を発見することができます。

CO2イタコナ活動の概念図。原単位が最小になるように、エネルギーのムダとり施策を検討

CO2イタコナ活動を加速するため、エネルギーと生産情報を同時に見える化し単位生産量当たりのエネルギー使用量を分析するソフトであるSE-Naviをこれまで開発してきました。本ソフトの省エネナビ機能により、CO2イタコナ分析によるエネルギーロスの自動分析結果に基づいて、装置別エネルギーロスと要因別エネルギーロスを定量的に抽出することができます。これにより、エネルギーロスが大きい箇所から優先順位を付けた省エネ取り組みが容易になりました。
従来は、エネルギー使用量などのデータを手動で分析し専門家による検討を経て、省エネ施策を抽出していましたが、データを自動で分析し、省エネ施策データベースに基づいて、省エネ対策を検討することが可能となり、時間短縮だけでなく、専門家なしで省エネ提案が可能になりました。

※6 当社の造語で、メータやゲージなどの計測器を導入してエネルギー使用量を見える化し、測定可能な削減対策を実行すること

継続的にCO2を削減する仕組みを検討・構築するため、2016年度から全社活動として「工場CO2削減WG」を立ち上げ、2017年度も継続して活動を行いました。WG活動の一つとして、過去に導入してきた計測器やFEMSを徹底的に活用することで、さらなるCO2削減に取り組んでいます。またCO2削減施策の積み上げを行うため、WGでは先進的な新技術や施策を先行実証モデルとして取り上げ積極的に支援しています。本取り組みの一つとして、主要工程の温湿度、差圧などの物理データを追加で計測し、多角的なデータ解析を行うことで、さらなる省エネ施策の掘り起こしを製造拠点において実施しました。京都府にあるオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 宇治工場では、2016年度に工程内外の温湿度、差圧を既存のFEMSに取り込んでデータ解析を実施し、外気の取り入れ停止・内気循環への変更などによって、年間80トンのCO2を削減しました。2017年度はこの施策の進化と効果拡大を狙い、品質確保のためにより精緻な温湿度管理が必要とされる工程に着目。露点や電力を追加した新アルゴリズムを構築することで、品質を確保しながらCO2を削減できる見込みを得ることができました。2018年度以降、この省エネ施策の効果検証と適応場面のさらなる拡大へ取り組んでいきます。

工場CO2削減WG

再生可能エネルギー活用の取り組み

当社はCO2削減に向けた取り組みとして、太陽光発電など地域ごとの特性に応じた再生可能エネルギーの導入もグローバルで積極的に推進しています。2017年度の大規模導入事例としては、中国地域での太陽光発電システムの導入があります。2017年2月に中国のパナソニック杭州工業園にあるパナソニック APチャイナ(有)(PAPCN)が、当社における一つの製造会社としては最大規模となる約3.5MWの太陽光発電システムを導入しました。二棟の工場建屋の屋上および駐輪場屋根に太陽電池モジュールを設置し、これによりPAPCNの年間電力総需要の約20%を再生可能エネルギー由来の電力でまかなうことができるとともに、杭州工業園内の他の製造会社へも太陽光で発電した電力を供給しています。

PAPCNの太陽光発電システム

また、2017年7月には、パナソニック マニュファクチャリング北京(有)(PMFBJ)が約0.6MWの太陽光発電システムを導入しました。これは、当社の中国におけるソリューション事業を手掛けるパナソニック ソリューション サービス社(中国)が実施する、パナソニック製太陽電池モジュールHIT®を用いたソリューション事業を通じて導入したものです。当社は太陽電池モジュールの製造に加え、このようなソリューション事業も展開することにより、再生可能エネルギーの活用を推進しています。

PMFBJの太陽光発電システム

シンガポールにおける太陽光発電システムの導入

シンガポールでは、2016年9月にパナソニック ファクトリーソリューションズ アジアパシフィック社(PFSAP)の工場に発電容量1.0MWの太陽光発電システムを導入しました。3棟の工場建屋の屋上に、パナソニック製の太陽電池モジュールHIT®を計3,476枚設置し、これによりピーク出力時には電力総需要の約20%をまかなうことが可能となりました。パナソニック製HIT®は、業界トップレベルの高効率で、限られた屋上スペースでもより多くのエネルギーを生み出すことができます。また、高温の環境下においても高い発電性能を維持することができるため、熱帯性気候の地域により適しています。本製品は、マレーシア ケダ州のクリム ハイテクパーク工業団地にあるパナソニック エナジー マレーシア株式会社で製造されています。
この太陽光発電システムの導入は、東南アジア最大のクリーンエネルギー供給会社の一つであるサンシープ社とのリース契約によるものです。シンガポールにおいては、2015年10月にもパナソニック アプライアンス 冷機デバイス シンガポール社(PAPRDSG)の工場へサンシープ社とのリース契約により発電容量2.4MWの太陽光発電システムを導入しており、PFSAPの工場への導入は、サンシープ社のリース契約を活用した当社の2つ目の事例となりました。

PFSAPの太陽光発電システム

ベルギーにおける風力発電システムの導入

風力発電が進んでいる欧州では、2016年11月にパナソニック エナジー ベルギー株式会社(PECBE)の工場に発電容量2.0MWの風力発電システムを導入しました。現地の電力会社との契約により工場敷地内に風力タービンを設置し、工場のピーク時総需要の約25%をまかなうことが可能となりました。

PECBEの風力発電システム

日本におけるバイオマス発電システムの効率化

パナソニックエコソリューションズ内装建材株式会社 群馬工場では、製造工程から発生する木屑、木粉をバイオマスボイラーの燃料として使用しています。導入以来、バイオマスボイラーで発生した蒸気は、工程内の生産に利用するとともに、余剰蒸気で発電を行っています。2011年以降、集塵機の小型化やファンのインバーター化、木粉搬送経路の見直しなど、継続的な改善取り組みを実施しています。今後も木屑燃料を有効利用すべく、ボイラーの効率化を推進するとともに他工場への展開を検討してまいります。

同社 群馬工場のバイオマス発電システム

イギリスにおけるバイオマスボイラーの導入

欧州では、パナソニック マニュファクチャリング イギリス株式会社(PMUK)が新たに木質バイオマスボイラーを導入しました。従来、使用済みの木材パレットは廃棄物として輸送し、そこで製造されたチップは地域のバイオマス発電の燃料として使われていました。
2016年度より、工場内にチップ製造機、貯蔵庫、バイオマスボイラーを導入し、工場内でのチップ化と、バイオマスボイラーの燃料としての使用を開始しました。これにより、木材パレットを輸送していたトラックの削減及びボイラーのガス使用量の削減が可能となり、年間65トンのCO2を削減できました。今後はバイオマス発電の導入により、更なるCO2の削減を目指します。

PMUKのバイオマスボイラー

このような取り組みの結果、2017年度の再生可能エネルギー自社導入量は、当社全体※7で2.1万MWh※8になり、2016年の環境行動計画グリーンプラン2018改定時に設定した、2018年度に再生可能エネルギー自社導入量1万MWhという目標を上回る進捗となっています。
上記以外のグローバルの各拠点においても引き続き太陽光発電システムの導入を推進しており、導入可能と判断された拠点においては2020年度中の完了を目指し、さらなるCO2排出削減に取り組んでいきます。

※7 非製造拠点に導入された再生可能エネルギー自社導入量を含む
※8 太陽光、風力、バイオマスなどが対象。ヒートポンプ含まず

中国CO2排出量取引制度への対応

中国では、2017年12月から電力業界の1,700社以上を対象とした排出量取引制度がスタートしています。2018年4月時点では当社は対象となっていませんが、中国国内に多くの事業場を有する当社としては、従来より進めてきた生産活動におけるCO2削減の強みを活かしながら、同制度の当社事業への影響や今後当社が対象となる可能性に対して、リスクと機会の観点から対応を進めていきます。

エネルギー起源CO2以外の温室効果ガス削減

当社が排出するエネルギー起源CO2以外の温室効果ガスは、エアコン工場で製品の冷媒として使用しているHFC(ハイドロフルオロカーボン)、液晶工場でクリーニングガスとして使用しているNF3(三ふっ化窒素)などです。これらの削減に向けて、それぞれ冷媒の漏洩防止や廃冷媒の回収と外部での破壊処理、除外装置の設置などの対策を実施しています。
2017年度のエネルギー起源CO2以外の温室効果ガス排出量(CO2換算、以下同じ)は13万トンとなり、前年度から2万トン増加しました。

生産活動におけるエネルギー起源CO2以外の温室効果ガス排出量(CO2換算):2013年度15万トン、2014年度10万トン、2015年度10万トン、2016年度11万トン、2017年度13万トン

温室効果ガス排出量の内訳(ガス別、スコープ別)

エネルギー起源、非エネルギー起源を含めた当社の温室効果ガス排出量は、2017年度は241万トンになりました。内訳としては、スコープ1排出量※9が19%、スコープ2排出量※9は81%となっています(参照:スコープ3排出量)

※9 国際的なGHG排出量の算定基準であるGHGプロトコルで定義される温室効果ガス排出量。自社で所有・支配する施設からの直接排出量をスコープ1排出量(例:都市ガスや重油の使用にともなう排出量)、自社が所有・支配する施設で消費するエネルギーの製造時からの排出量をスコープ2排出量(例:購入電力の発電時の排出量)と呼ぶ

生産活動における温室効果ガス排出量(CO2換算)の内訳(種類別)。2017年度は241万トン。種類別では、CO2日本93万トン(39%)、CO2日本以外135万トン(56%)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)類9.4万トン(3.9%)、PFC(パーフルオロカーボン)類0.9万トン(0.4%)、SF6(六ふっ化硫黄)他2.2万トン(0.9%)、NF3(三ふっ化窒素)0.1万トン(0.04%)
生産活動における温室効果ガス排出量(CO2換算)の内訳。2017年度は241万トン。スコープ1排出量 46万トン(19%)、スコープ2排出量 195万トン(81%)