カビを空洞化し、殺菌。不活化メカニズムの一部を解明!

画像:カビを空洞化し、殺菌。不活化メカニズムの一部を解明

2023年5月、ナノイー(帯電微粒子水)を照射することによるカビの不活化の様子を観察しました。細胞壁の破壊と、それに伴う内容物の漏出を確認し、そのメカニズムの一部が明らかになりました。

※ 大阪公立大学大学院 獣医学研究科 向本雅郁教授との共同研究において
※ 試験は45Lの試験空間で実施され、実使⽤における製品の効果を検証したものではありません。

記者発表の様子

記者発表の様子

カビを空洞化

カビを空洞化

カビの拡散を可視化

INDEX

生活8種のカビについて、ナノイー(帯電微粒子水)に抑制効果があることを既に実証していましたが、その抑制メカニズムについては、解明できていませんでした。

 全くタイプが異なる3種真菌3種(カビ2種・酵母1種)を選定し、2種の電子顕微鏡( SEMとTEM)により、表面と断面を形態観察しました。

ナノイー(帯電微粒子水)の照射によって、カビの表面が破壊され、内容物が漏出し、中身が空洞化する様子が解明されました。

WORDS

SEM(走査電子顕微鏡):

試料の表面を電子ビームでスキャンし、画像を生成する顕微鏡技術です。表面構造の観察に適しています。

TEM (透過電子顕微鏡):

電子ビームを試料に透過させて、画像を生成する顕微鏡技術です。内部構造の観察に適しています。

背景

私たちの生活空間には数十種類のカビが存在すると言われています。カビは大気中を浮遊して生息域を拡大しますが、非常に小さいため目視することができません。

パナソニックは、ナノイー(帯電微粒子水)技術を用いて、2011年9月に健康阻害リスクとなる家の8大カビへの効果を検証しており、99%以上不活化されることを実証しています。しかし、ナノイー(帯電微粒子水)がカビに対してどのような影響を与え、抑制しているのかは明らかになっていませんでした。

検証方法

ナノイー(帯電微粒子水)照射による形態変化の観察

45Lの試験空間にて、異なる分類の真菌3種(カビ2種・酵母1種)にナノイー(帯電微粒子水)を所定時間照射。走査型電子顕微鏡(SEM)により真菌の表面を、透過型電子顕微鏡(TEM)により断面の形態観察を実施しました。

画像:表面の観察をする走査電子顕微鏡(SEM)と断面の観察をする透過電子顕微鏡(TEM)

走査電子顕微鏡(SEM)でナノイー(帯電微粒子水)照射後の真菌の表面を、透過電子顕微鏡(TEM)で断面を形態観察。

形態学の観点で人間に有害な真菌を網羅できうる3種を選定し効果検証

クロカビ

生活環境で最も多く発生し、壁や食品、植物などに生え、健康上の問題や物の劣化を引き起こすことがあります。

ユミケカビ

土壌に存在することが多く、人間への病原性の可能性もがあります。

ロドトルラ

水回りのピンクぬめりの原因菌となる酵母で、人間や動物に対して病原性を示すことがあります。

検証結果

クロカビ(生活環境で最も多いカビ)

画像:内容物が流出しているクロカビの表面

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内容物が流出しているクロカビの表面

画像:内容物が流出し内部が空洞化されたクロカビの断面

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内容物が流出し内部が空洞化されたクロカビの断面

ユミケカビ(土壌に存在することが多く. 人間への病原性の可能性も)

画像:内容物が流出しているユミケカビの表面

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内容物が流出しているユミケカビの表面

画像:内部が空洞化されたユミケカビの断面

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内部が空洞化されたユミケカビの断面

ロドトルラ(水回りのピンクぬめりの原因菌となる酵母)

画像:細胞壁が損傷し、内容物が流出しているロドトルラの表面

ナノイー(帯電微粒子水)4時間照射後、細胞壁が損傷し、内容物が流出しているロドトルラの表面

画像:内部が空洞化されたロドトルラの断面

ナノイー(帯電微粒子水)4時間照射後、内部が空洞化されたロドトルラの断面

まとめ

真菌の細胞壁が破壊され空洞化

ナノイー(帯電微粒子水)照射により不活化する過程で、異なる分類の真菌3種※(カビ2種・酵母1種)すべてにおいて、細胞壁の破壊と内容物が漏出し、形態が変化することを確認しました。

※ 真菌とはカビや酵母、キノコを含む生物群で、健康に役立つものもあれば、カビのように私たちの生活や健康を脅かすものもあります。その真菌を「有性器官の形質」と「形状」により分類し、カビ、酵母を中心に分類別に選定した種において検証を実施しました。

未検証の真菌にも効果が期待!

画像:大阪公立大学大学院 獣医学研究科 向本雅郁教授

大阪公立大学大学院 獣医学研究科 向本雅郁教授

真菌の分類における代表種への検証を行い、全ての種で形態変化が認められました。その結果から、帯電微粒子水の照射による真菌の不活化メカニズムを構築、また、新しい作用として、一定の損傷を与えると照射し続けなくても不活化が進むことも分かりました。これらの結果は未検証の真菌に対しても同様の効果が期待されます。

※なお、今回の検証は密閉された試験空間での結果であり、実使用空間における効果を検証したものではありません。

※ 弊社から向本先⽣に依頼し、頂いたコメントを編集して掲載しています。

【プレスリリース】
カビを空洞化し、殺菌 ナノイー(帯電微粒子水)技術による不活化作用機序の一部を解明(2023年5月30日)
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230530-1