
2023年5月、ナノイー(帯電微粒子水)を照射することによるカビの不活化の様子を観察。細胞壁の破壊と、それに伴う内容物の漏出を確認し、そのメカニズムの一部が明らかになりました。また、照射停止後に不活化が進むことも分かりました。
※ 大阪公立大学大学院 獣医学研究科 向本雅郁教授との共同研究において
試験は45Lの試験空間で実施され、実使⽤における製品の効果を検証したものではありません。


背景

私たちの生活空間には数十種類のカビが存在すると言われています。カビは大気中を浮遊して生息域を拡大しますが、非常に小さいため目視することができません。
パナソニックは、ナノイー(帯電微粒子水)技術を用いて、2011年9月に健康阻害リスクとなる家の8大カビへの効果を検証しており、99%以上不活化されることを実証しています。しかし、ナノイー(帯電微粒子水)がカビに対してどのような影響を与え、抑制しているのかは明らかになっていませんでした。
【動画】部屋に浮遊するカビの可視化

検証結果

真菌の細胞壁が破壊され空洞化。
また、短時間の照射でも時間経過とともに生菌数は96%以上減少
ナノイー(帯電微粒子水)照射により不活化する過程で、異なる分類の真菌3種※(カビ2種・酵母1種)すべてにおいて、細胞壁の破壊と内容物が漏出し、形態が変化することを確認。さらに、照射後に放置すると生菌数が時間の経過とともに減少することも分かりました。
※ 真菌とはカビや酵母、キノコを含む生物群で、健康に役立つものもあれば、カビのように私たちの生活や健康を脅かすものもあります。その真菌を「有性器官の形質」と「形状」により分類し、カビ、酵母を中心に分類別に選定した種において検証を実施しました。
ナノイー(帯電微粒子水)照射による形態変化の観察
45Lの試験空間にて、異なる分類の真菌3種(カビ2種・酵母1種)にナノイー(帯電微粒子水)を所定時間照射。走査型電子顕微鏡(SEM)により真菌の表面を、透過型電子顕微鏡(TEM)により断面の形態観察を実施しました。

走査電子顕微鏡(SEM)でナノイー(帯電微粒子水)照射後の真菌の表面を、透過電子顕微鏡(TEM)で断面を形態観察
クロカビ(生活環境で最も多いカビ)

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内容物が流出しているクロカビの表面

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内容物が流出し内部が空洞化されたクロカビの断面
ユミケカビ(土壌に存在することが多く. 人間への病原性の可能性も)

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内容物が流出しているユミケカビの表面

ナノイー(帯電微粒子水)8時間照射後、内部が空洞化されたユミケカビの断面
ロドトルラ(水回りのピンクぬめりの原因菌となる酵母)

ナノイー(帯電微粒子水)4時間照射後、細胞壁が損傷し、内容物が流出しているロドトルラの表面

ナノイー(帯電微粒子水)4時間照射後、内部が空洞化されたロドトルラの断面
【動画】ナノイー(帯電微粒子水)の照射による真菌の不活化メカニズム(細胞壁の損傷)
ナノイー(帯電微粒子水)の持続的損傷効果に関する検証
45Lの試験空間にて、クロカビにナノイー(帯電微粒子水)を2時間照射。損傷を受けたクロカビを一定時間放置し、生菌数を計測しました。

ナノイー(帯電微粒子水)照射後に静置し、生菌数を計測
照射直後の不活化率は約23%、照射後8時間以上放置することにより90%以上、18時間以上では96%以上に上昇することが分かりました。

ナノイー(帯電微粒子水)照射後の生菌数の経時変化
【動画】ナノイー(帯電微粒子水)照射後、放置したカビの生菌数が減少
未検証の真菌にも効果が期待!

大阪公立大学大学院 獣医学研究科 向本雅郁教授
真菌の分類における代表種への検証を行い、全ての種で形態変化が認められました。その結果から、帯電微粒子水の照射による真菌の不活化メカニズムを構築。また、新しい作用として、一定の損傷を与えると照射し続けなくても不活化が進むことも分かり、これらの結果は未検証の真菌に対しても同様の効果が期待されます。
※なお、今回の検証は密閉された試験空間での結果であり、実使用空間における効果を検証したものではありません。
【プレスリリース】
カビを空洞化し、殺菌 ナノイー(帯電微粒子水)技術による不活化作用機序の一部を解明(2023年5月30日)
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230530-1