人的資本に対する基本的な考え方
未来のパナソニックのために、自らを大きく変えていく道を選ぶ
パナソニック株式会社
取締役 常務執行役員
チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー(CHRO)
加藤 直浩
時代の変化の中で、パナソニックはその変化に対応しながら進化を遂げてきましたが、「人を起点とする経営」を尊重し、実践する姿勢については、これまで105年間にわたり守り続けてきました。創業当時は小さなベンチャー企業に過ぎなかったパナソニックがここまで成長できたのは、人を信じて事業や組織運営を任せ、チャレンジを促す経営に徹してきたからだと信じています。事業部制を日本で初めて導入したのもパナソニックです。仕事を任された人間が高い意識を持って考え抜き、悩み抜き、また周囲の人々の知恵を結集することで、壁を乗り越えていく。パナソニックは、こうした「自主責任経営」「衆知経営※」を常に実践してきた企業であると言えます。
※創業者・松下幸之助氏が提唱した経営理念で、一人ひとりの社員の知恵を結集して経営に活かすこと。
未来に向けたパナソニックの課題とお客様への原点回帰
しかしながら、現状に甘んじていては、組織はやがて衰退します。個々のビジネスが大きくなり、組織の階層が増えていけば、管理のための社内調整に費やす時間が増え、そこにエネルギーが費やされるようになります。結果的に、お客様の課題解決に貢献しているという実感がなくなり、お客様に価値を提供するためのスピードが落ち、社員のモチベーションも低下します。数年前のパナソニックは、まさにこうした状況に陥っていたように思います。お客様に寄り添い、くらしの課題を解決しようとする創業来の想いがお客様のもとに届きにくくなっていたのです。
これからのパナソニックを担う社員が生き生きと働く未来のために
この新たな体制・組織を機能させるために、これからのパナソニックに必要なことは「人づくり」です。それぞれの社内カンパニーが強くなることに加えて、パナソニックにしか提供できない価値をお客様に提供することが、厳しい競争環境で勝ち残っていくうえでも極めて重要です。社員が生き生きと働くための制度・仕組みづくりは私のミッションとしてしっかりと取り組みます。未来のパナソニックを担う世代の人たちには、私たちの世代では想像もしないようなことを自分たちで考え抜き、悩みながらも、ぜひパナソニックで成し遂げてほしいと思っています。
PLP(Panasonic Leadership Principles)
パナソニックは、お客様へのお役立ちを果たすために、社員の皆さんと大事にしていきたいこと、社員一人ひとりのWell-Beingの実現に欠かせない要素となるものとして「PLP(Panasonic Leadership Principles)」を策定しました。一人ひとりが社員稼業とウェルビーイングを実現している理想の姿をイメージしながら「求める行動」について徹底的に議論し、社員稼業の実践をより後押しするための行動指針です。