OCRソフト用開発キット「免許証認識ライブラリー」、「マイナンバーカード認識ライブラリー」の導入事例 株式会社クローバー・ネットワーク・コム様
高精度OCRでeKYCソリューションの入力効率化を実現
各種申込の入力負荷を軽減し、離脱防止に貢献

ビジネス社会におけるさまざまなリスクに対し、リスクヘッジシステムを主軸にデータベース構築やソリューションを提供しているクローバー・ネットワーク・コム様。最高水準のサービスの根幹には、創業以来、50件以上もの独自の特許技術に裏付けられた高い技術力があります。
今回は、金融機関や不動産向けに提供している本人確認書類取得サービス「Doc Mail C」と「eKYCソリューション」に、導入いただいた「免許証認識ライブラリー」、「マイナンバーカード認識ライブラリー」(以下「カラーOCRライブラリー」)および「ドクトル保険証※」の採用時のポイントから効果、そして今後の展望まで、同社システム開発本部開発部の小野様、中島様にお話をお聞きします。
※「ドクトル保険証」は当社の活字認識ライブラリーを組み込んだ株式会社ワイズアンドテクノロジーの製品です。
導入前の課題
- 「 Doc Mail C(本人確認書類取得サービス)」、「eKYCソリューション」で取得した書類の
入力作業の効率化 - 撮影環境やカメラの性能による取得画像の品質

導入後の効果
- 高精度OCR「免許証/マイナンバーカード認識ライブラリー」による入力作業の軽減で離脱防止に貢献
- パナソニック独自の画像処理技術で取得画像の歪みに対応
本人確認書類取得サービス「Doc Mail C」と「eKYCソリューション」に、文字情報を精密に読み取れるソリューションの導入が必要
――まずは、クローバー・ネットワーク・コム様が手がける事業の紹介からお願いいたします。
小野様:当社の事業は、2001年に電話番号履歴データベース「Doc Bell」の提供を開始して以来、インターネットを利用した各種情報提供サービス、各種データベースの構築・販売および保守をはじめ、多岐にわたります。
われわれ開発部の主な業務は当社で提供している各種サービスのシステム開発となります。時には汎用的な機能の開発だけでなく、お客様固有の変更を請け負うこともあります。
――クローバー・ネットワーク・コム様の独自性や強みはどんなところでしょう。
小野様:金融機関様のお客様が多いことは、当社の特色のひとつと言えます。20年以上にわたるデータの蓄積があるので、電話番号の使用履歴からなりすましなどを判定したり、不正利用の電話番号を検知してお知らせしたりするサービスをご評価いただいているかと思います。

システム開発本部
開発部 開発一課
チーフ 中島 さとみ 氏
中島様:時代の趨勢に合わせて「Doc Mail」を開発、提供しました。これはパソコン上から携帯電話へSMSを送信する、国内唯一の誤送信防止機能付サービスです。持ち主が変更になった番号への送信を自動排除する、当社ならではの仕様となっています。
小野様:他社様でもSMSを送信するサービスは提供されていますが、このような独自性を打ち出せるところは当社の強みでしょう。
中島様:また、SMSを送るとメッセージの末尾にアンケートのURLを添付し、回答結果をリアルタイムで自動集計できるアンケート機能も提供しています。設問も自由に設定が可能です。
――「カラーOCRライブラリー」の導入には、どのような背景があったのでしょうか。
小野様:eKYCは急速に拡大しています。当社ソリューションの「Doc Mail C」はスマホのカメラ機能を利用してオンラインで本人確認書類を取得いただけます。また「eKYCソリューション」は専用のスマホアプリが不要で自社申込サイトやSMSなどで本人確認書類の取得から本人確認が完結できます。当社データベースへ照会しリスク判定を行うことで、本人確認強化と不正申込の排除を実現します。
ただ、本人確認書類は当社のサービスをご利用になるお客様ご自身がスマホのカメラで撮影するので、撮影環境やカメラの性能がまちまちです。そのため、OCRの認識精度が心配でした。そこで免許証やマイナンバーカードなど、文字情報を精密に読み取れるOCRソリューションを導入することで、認識精度を上げたいと考えました。
OCRの高い認識精度が決め手に
――「カラーOCRライブラリー」を導入されるまでの経緯をお聞かせください。
小野様:当社のサービスのひとつに取引先チェックと営業活動をサポートする「Doc Business α」という事業所情報データベースがあります。データには企業の財務諸表が含まれていますが、この財務諸表を取り込む際にパナソニック ソリューションテクノロジーの「帳票OCR」を利用していました。
当社のお客様には金融機関様が多いため、オンライン本人確認サービスによって非対面取引のリスク回避への活用をご提供できるということで、「Doc Mail C」と「eKYCソリューション」を新規開発しました。
その際に「カラーOCRライブラリー」の存在を知り、信頼性の高さはすでに「帳票OCR」で認識済みだったので、検討に至った次第です。
――選定にあたり重視されたことは何でしょう。
小野様:
(1)精度
(2)当社システムへの組み込みやすさ
(3)コスト
の3点を重視しました。
精度については低いとサービスとして成り立ちませんから、最優先事項でした。
選定の際には他3社のOCRライブラリーも検討しましたが、OCRの認識精度は「カラーOCRライブラリー」が最も高く、とりわけ漢字と仮名が混在している免許証の住所の認識精度が高かったです。
また、当社システムへ組み込みやすく、開発工数が抑えられるため、コスト削減が見込めました。人件費や仕入れコストは販売価格に影響しますし、さらにメンテナンスがしやすいという付加価値も期待できました。
これらに加え、クラウドサービス上での連携のしやすさが決め手となり、「カラーOCRライブラリー」を導入しました。
――その他にも注目された点はありましたか?
小野様:サポートについても手厚さを感じました。サンプルプログラムやマニュアルなどのドキュメントが充実しているため、開発の際に事前検証できるのは組み込みやすさにもつながります。
離脱防止に効果を発揮し、お客様の契約数アップに貢献
――実際に「カラーOCRライブラリー」をご利用されてから、サポートの手厚さは感じられましたか。
小野様:質問に対する回答も迅速で、大変満足しています。今もいろいろご相談しており、親身になって対応していただいているのでありがたいです。
――「カラーOCRライブラリー」はどのようにご利用いただいていますか?
小野様:「カラーOCRライブラリー」はダイナミックリンク形式でご提供いただいているので、速度重視の当社のサービスに合致しています。「カラーOCRライブラリー」によってOCR処理による入力作業の効率化を実現でき、マスキング処理の自動化も実現しました。現在はバージョンアップによって前処理の性能がさらに上がりました。メンテナンスのしやすさも実感しています。
――お客様の反応はいかがですか?
小野様:多くのお客様から高くご評価いただいています。
銀行の口座開設をする意思があるにも関わらず、お客様がスマホでの申し込みの際、手続きがスムーズに進まないことで口座開設をやめてしまうと、銀行様としては機会損失となります。
例えば、スマホで撮影された本人確認書類がピンボケしていたり暗すぎたりするとそのデータを認識できず、利用者は何度も撮り直しを求められます。それが面倒で、手続きを途中で止めてしまうというケースは多々あります。
また、本人確認書類の画像を無事にアップロードして顔認証まで進んでも、次は本人情報を一から入力しなければならず、そこも離脱につながる要因となっていました。
銀行様も離脱の一因を「本人確認書類の撮影や手入力の部分では」と分析されています。そのため、「カラーOCRライブラリー」の導入によって離脱防止に効果を発揮し、お客様の契約数アップに貢献できているという点が、現在ご評価いただいている最大の理由かと思います。

今後は手書き書類にも対応するAI-OCRで
協業での新規サービス展開に期待
――「カラーOCRライブラリー」を導入されたことに付随する新たな試みなどはございますか?
小野様:当初は「免許証認識ライブラリー」と「マイナンバーカード認識ライブラリー」の2種でしたが、その後、新たなニーズとして保険証画像のマスキングの必要が生じ、現在は「ドクトル保険証」も導入しています。
導入の背景には、健康保険法の改正があります。本人確認書類で健康保険証を利用する場合、プライバシー保護の観点から多数の情報をマスキングすることが必須となったのです。「ドクトル保険証」には保険証画像の読み取りに加えて画像の情報をマスキングし保存する機能がある点が、当社のニーズとマッチしました。
また、「Doc Mail C」と「eKYCソリューション」の「カラーOCRライブラリー」で、認識精度の高さは実証済みです。システムへの組み込みやすさやコスト、さらにサポートまで高い満足を得ることができたことで、安心して採用することができました。

システム開発本部
開発部 開発二課
専任部長 小野 満 氏
――今後の展望を教えてください。
小野様:今後は非対面取引業務がさらに増加していくことが予想されますので、それに伴い、eKYCにかかる当社の技術やサービスも、ますます発展を続けていかなければならないと考えています。
――その中で、「カラーOCR ライブラリー」、パナソニック ソリューションテクノロジーはどのようにお役に立てますでしょうか。
小野様:非対面取引業務の増加に伴い、本人確認書類の種類拡充が求められます。
現在、本人確認書類に運転免許証を用いるお客様がかなり多いが、高齢化社会がさらに進めば運転免許証を持っていないお客様が増えるでしょう。
そこで、在留カードをはじめ「カラーOCRライブラリー」のラインアップを増やしていただくことで、当社のサービス拡大が図れると思います。
パナソニック ソリューションテクノロジーはAI-OCRに力を入れており、ほかのサービスではすでに手書き文字認識に対応されています。手書き書類の読み込みが必要な業務への適用を期待したいですね。特に当社のお客様は金融機関様や生損保様など、まだ手書きの申込書が多いため、高い技術と連携して共にアイデアを出し合い、新規サービスを展開できればと思っています。