プロボノのインタビューが組織内部の一体感を醸成 プロボノフォーラム OSAKA 2012

「プロボノフォーラムOSAKA 2012」を2012年11月23日、大阪市北区の「西梅田ブリーゼプラザ」で開催しました。このフォーラムは、昨年から大阪で始まったプロボノプロジェクトが2年目を迎え、実際のプロボノ体験を広く共有しようと、特定非営利活動法人サービスグラントとパナソニックが主催し、プロボノに関心のある社会人や学生、NPO関係者など約110名が参加しました。
実際にプロジェクトに参加したプロボノワーカーや支援を受けたNPOなどをゲストに迎えて、プロボノに関わった人だけが得られる体験が語られるとともに、西日本各地で始まったプロボノの広がりも報告されました。

【第1部】Myプロボノストーリー

プロボノとは、ビジネスパーソンが仕事上のスキルや経験を活かして公共的・公益的な活動に関わる新しい社会貢献活動です。関西では昨年から大阪で初めてプロジェクトが開始され、2年目となる今年もさまざまな企業に所属するビジネスパーソンやフリーランスのクリエーターが、NPO支援に参加しています。

パナソニックは、2011年4月より社員の仕事のスキルや経験を活用してNPOを支援する社会貢献活動「Panasonic NPOサポート プロボノ プログラム」を開始。社員が仕事で培ったスキルや経験をさらに広く社会の中でお役に立てるボランティア活動として、社会課題の解決に取り組むNPOの事業展開力の強化を支援し、NPOの活動がさらに大きな成果をあげることを目指しています。
2012年度は、現在29名の社員が参加し、5団体の中期計画策定や営業資料作成、ウェブサイト再構築などを支援。昨年度との累計で43名の社員がプロボノを実践しています。

フォーラムでは冒頭、主催者を代表してパナソニック CSR・社会文化グループの金村俊治が挨拶。
厳しい経済情勢下にあっても、プロボノプログラムの価値は不変であると述べ、その意義として (1)パナソニックのNPO組織基盤強化プログラムと連動したトータルなNPO支援 (2)現役社員への社会貢献機会の提供 (3)社会的課題を現場体験することによる人間力の向上の3点を挙げ、今後、プロボノが日本各地に広がり、社会を動かすうねりになって欲しいと語りました。

パナソニック
CSR・社会文化グループ
金村俊治

続いて、実際にプロジェクトに参加したプロボノワーカーと支援を受けたNPOをゲストに迎え、プレゼンテーション方式で3組のプロボノ体験が語られました。とくに2年目となる今年は、従来のウェブサイト構築等の支援メニューに加えて、新たにNPOの事業計画立案を支援する日本初のプロジェクトが行われました。

この日本初の支援メニュー「事業計画立案」に、パナソニックのプロボノワーカー6名が挑戦。
地球温暖化問題の解決を目指して、重層的な取り組みを行う市民団体「気候ネットワーク」の事業計画立案に取り組みました。

メンバーからは「最初はNPOの事業計画策定を支援するって?というところから始まり、団体内部へのヒアリングを重ねながら、手探りで着地点を見つけていった。最終的には、組織基盤の強化を軸とする事業計画を提案した」との苦労が語られました。約半年間の活動を通じて得たことも多く、「とにかく専門性の高い活動をしているNPOで、すごい人たちだと思った」「普段の生活では得られない情報に接し、やったことのない仕事に挑戦することで、自分にはこういうこともできるんだと自信につながった」などの発言が聞かれました。

「気候ネットワークチーム」の納品ミーティング

パナソニック勤務
上原大輔さん

「私たちが立案した事業計画が今後、団体の活動にどう活かされていくのか。プロジェクト終了後も、期待感とともに長く関わっていきたいと思っています」

NPO法人 気候ネットワーク
芝 浩市さん

「プロボノワーカーと接することで、スタッフの意識に変化があった。プロジェクトを通じて、大きな宿題をもらったと思っています」

プロボノワーカーは、気候変動やDV(ドメスティック・バイオレンス)などの社会的課題に向き合うNPOと出会うことで、さまざまな発見や気づきがあり、「関われば関わるほど、その団体への思い入れが強くなっていった」ようです。

一方、NPO側にとっても、支援の受け入れは活動を見直すよい機会となったようです。

「最初は外部から何かのヒントが得られればという軽い気持ちだったが、プロボノのインタビューを受けることで、組織内部の一体感が生まれた」「普段あまり接点のないビジネスパーソンと接することで、自分たちの活動が意外に知られていないことに気づき、同時に応援してくれる人がいることに勇気づけられた」などの発言が聞かれました。

また、チームで支援に取り組むプロボノは、NPOとの出会いだけでなく、異職種、異業種のワーカーとの出会いも生みます。経験者からは一様に「普段の仕事とは縁のない世界で良い仲間ができた」と語り、プロジェクト終了後もお互いの関係が継続しているとの報告がありました。