「NPOの思いの強さ」に驚いたプロボノ。 「やりたいことを“見える化”」してもらったNPO

パナソニック プロボノチーム
岡崎嘉幸さん

プロボノ支援を受けて、「気候ネットワーク」はプロジェクト期間中から組織力強化に向けた取り組みを開始。2日間にわたる中長期戦略会議を実施して、2015年ビジョンの明確化と共有化を図り、実施計画を整理するとともに組織運営の基本となるPDCAサイクル(※)を実行に移した。
(※Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことで、業務を継続的に改善していく手法。)

そうしたNPO側の素早い変化とひたむきさに、プロボノメンバーもまた刺激を受けた。本業の仕事を休んで戦略会議にも特別参加したというメンバーの一人は、「かかわればかかわるほど、団体への思い入れが強くなった。会議内容も非常に濃い密度で話をされていて、やっぱりこの人たちにはかなわないなと思った」と話す。

ほとんどのメンバーにとって、NPOとの出会いは初めての体験。地球温暖化防止という遠大な社会課題に向けて、限られた資源の中で夜遅くまで働く人たちの姿には新鮮な驚きがあり、その思いの強さに「とにかく、すごい人たち」とメンバーは口を揃える。

パナソニック プロボノチーム
田中正和さん

パナソニック プロボノチーム
桜井康晴さん

最終提案では、組織強化のための取り組みと仕組みづくりに加え、会員拡大に向けた取り組みを7つのステップに整理して提案。NPO側からは「まさにやりたいと思っていたことを、“見える化”してもらった」「多くの気づきと学びがあり、サステナブル(持続可能)な組織構築に向けて大きな一歩を踏み出せた」との称賛の言葉をもらった。だが、プロボノメンバーは「貢献できた」という思い以上に、「こちらが勉強させてもらった」と話す。

「絶対にこれをやらなければいけないという使命感で仕事をしている人たちの姿を見て、理想的な働き方だと思えたし、その場に自分が参加できたことが一番の財産になった」

パナソニック プロボノチーム
松嶋潤子さん

パナソニック プロボノチーム
上原大輔さん

また、上原さんは会社とは規模も性格も異なる事業体に触れたことで、気づきがあったという。 「遠い未来に目を向けているNPOと、今、目の前にいるお客さまに最適なモノを提供しようとする僕との視点の違いを痛感した。将来起こるだろう問題を防ごうと日々活動する人たちと接する中で、これからのメーカーは製品価値の提供で終わることなく、お客さまやその家族・友人、地域・社会に至るまで、将来を見すえた2次的3次的な広がりの先も考慮する視点をもつべきだと実感しました」

プロボノメンバーが提案した事業計画は、どのように花開くのか。その成果は今後の「気候ネットワーク」の努力次第ともいえる。「せっかくできた人間関係だから、今後もかかわり続けます。それに、今以上に“気候さん”が有名になる日が来るのがすごく楽しみなんです」

(団体プロフィール)NPO法人 気候ネットワーク
97年の地球温暖化防止京都会議(COP3)を成功させるために活動した「気候フォーラム」の趣旨・活動を受け継いで、翌98年に設立。温暖化防止のために市民の立場から「提案×発信×行動」するNGO。温暖化防止にかかわる専門的な政策提言や情報発信を行うと同時に、地域単位での温暖化対策モデルづくりや人材の養成・教育などに取り組んでいる。