導通・絶縁不良の非破壊解析

はんだや電子部品の導通不良(オープン)や絶縁不良(ショート)により電子機器の異常が発生します。はんだのショートは、X線で観察することができます。一方、BGA(Ball Grid Array)パッケージの半導体の導通不良や、セラミックコンデンサの絶縁不良は、X線で判別することは困難です。半田ごてで部品を外すと、その異常状態の痕跡が見えなくなります。

そこで、非破壊で導通・絶縁不良を特定する手法が望まれます。配線にパルス信号を印加して特性インピーダンスの変化を評価するTDR法や、レアショート箇所に電流が流れた時に発生する熱を観測する発熱解析が、導通・絶縁不良の原因調査にとても有効です。これまで解明した事例が豊富にありますので、次に紹介いたします。

BGAの導通不良

BGAは、パッケージの電極上に半田ボールが配置された形状のため、半田ボールとプリント基板のランドとの導通不良を見つけることが困難です。例えば、下の写真のBGAは導通不良があります。X線で観察しても接続しているのか接続していないのか区別が着きません。

良品(外観・X線)と不良品(外観・X線) 良品(外観・X線)と不良品(外観・X線)

そこで、導通不良の箇所を特定する手法として、TDR法を紹介します。この良品と不良品をプリント基板に実装したままの状態で、TDR法によって測定した結果を次に示します。縦軸はインピーダンス[Ω]、横軸は観測点からの距離(時間[ps])です。半田ボール部での導通不良によるインピーダンス変化を捉えることができます。

プローブ点図 プローブ点図

他にも、ケーブルの断線箇所の特定などにも活用できます。実際に、筐体にケーブルが挟まれ、断線が発生したことが確認できた結果を示します。被覆を剥がずに非破壊で場所を特定しています。

良品ケーブルのTDR測定結果と不良品ケーブルのTDR測定結果 良品ケーブルのTDR測定結果と不良品ケーブルのTDR測定結果

このように色々と導通・絶縁不良に活用できます。USBコネクタの接点不良なども調べることもできます。次にTDR法の原理を示します。

TDR法とは

TDRとは、Time Domain Reflectometryのことです。動作原理は、プローブからパルス波形を印加して、インピーダンスの変化に伴う、反射波、その到達時間を測定することにより、測定対象の配線のどの部分にインピーダンス変化があるのか判定します。BGAの半田ボールで導通不良があった場合、その位置で、オープン端のインピーダンス変化が、導通不良がない場合は、パッケージ配線を経てシリコンによる負荷が見えます。この違いを活かして、導通不良を観察します。

接触不良図

TDR法の本当の使い方も合わせて紹介します。高速I/Fの信号品質を確保するために、プリント基板の特性インピーダンスコントロールが重要になります。プリント基板の製造会社に特性インピーダンスを指示しても、実際には製造ばらつきが発生します。プリント基板の特性インピーダンスのばらつきがどの程度あるかを測定することで、高速I/Fの品質マージンを検証できます。例えば、差動信号の差動インピーダンスのばらつきを測定した結果を紹介します。

インビーダンス観測ポイント(sec)

セラミックコンデンサの絶縁不良、発熱解析とは

絶縁不良の場合は、発熱解析が有効です。例えば、セラミックコンデンサの絶縁不良などを判定することができます。機器に微弱電流を流すと、レアショート部の抵抗成分により、微弱な熱が発生します。それを感知して問題箇所を特定することができます。

発熱解析装置 故障箇所(プリント基板に実装された状態のまま(非ストレス、非破壊)で、故障箇所を特定)⇒断面解析⇒マイクロクラシック(特定した故障箇所に対して、熱ストレスを加えないようの断面加工を行い、マイクロクラックを観察) 発熱解析装置 故障箇所(プリント基板に実装された状態のまま(非ストレス、非破壊)で、故障箇所を特定)⇒断面解析⇒マイクロクラシック(特定した故障箇所に対して、熱ストレスを加えないようの断面加工を行い、マイクロクラックを観察)

詳しくは、「ユーザ視点での故障解析・トラブル解明」をご覧下さい。
具体例は「半導体の故障解析」「電子部品の発熱解析」をご覧下さい。