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純水素型家庭用燃料電池を選手村に初導入

パナソニックは、東京2020大会の選手村の一部施設に純水素型家庭用燃料電池を納入しました。こちらは東京都が主体となって取り組む「水素プレゼンテーション事業」の一環として採用され、選手村での実運転が行われました。 世界では今、CO2の排出量が増えた結果、急激な地球温暖化等の深刻な環境変化が各地で起きており、2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に向けた活動が広まっています。パナソニックも1991年に環境憲章を制定し、環境問題に真摯に取り組んできました。2030年までにパナソニックの事業会社すべてでCO2排出量を実質ゼロ化するという目標を掲げる中、東京2020大会においても、 こうした活動を支援してきました。

純水素型の家庭用燃料電池で選手村の一部施設に電力を供給

ふ頭公園のリラクゼーションハウス、居住棟の2か所に各2台の純水素型家庭用燃料電池が導入されました。 水素発電の最大の特長は、水素と酸素の化学反応で電力を生じさせるもので、発電時に排出されるのは水だけという点。従来の電力発電とは異なり、CO2の排出量を大幅に削減できるのが大きなメリットです。今回の選手村での水素発電には福島県で再生可能エネルギーを用いて製造された水素が使用されました。
パナソニックはこの水素エネルギー技術を20年以上にわたり研究し続けており、高効率での発電が可能な「純水素型燃料電池」の開発に成功しました。
これは2009年に実用化した、都市ガスから水素を取り出して電気とお湯をつくる家庭用燃料電池「エネファーム」で培った技術をベースにしています。
非常時にも安定した電源供給が可能で蓄電池に比べ長期貯蔵・運搬が容易であるという水素の大きな特徴を保ちながら、効率的かつ安定して水素を「つかう」システムとして製品化したことで、通常の電気を用いた生活とそん色ない生活水準を保ちつつ、使う段階でのCO2ゼロ化を可能にした最先端の技術です。
こうした純水素型家庭用燃料電池が東京2020大会の選手村へ導入されたことは、次世代エネルギー活用の観点で、オリンピック・パラリンピックの歴史を通じて初めての試みになります。

小型製品に特化した純水素型家庭用燃料電池

パナソニックでは家庭用燃料電池エネファームでの経験を基に、5kWという小規模の純水素型燃料電池を開発しました。消費電力が増えたタイミングで燃料電池の運転台数を増加させればよいので、必要量に応じた発電が可能です。また、定期的に必要なメンテナンス期間中、複数ある燃料電池を一斉ではなく順次点検することで、一定量の発電を維持しながら電力供給を止めることなく安定的に運用することができます。また、燃料電池の置き場所についても限られたスペースを有効活用しやすく、柔軟な設置対応が行えるなど様々なニーズに応えることができます。

水素社会のインフラ作りで地球環境を守りたい

「水素は“未来のエネルギー”では決してなく、既に実現可能な技術であることを広く認知させていきたい」 と、パナソニックの開発担当者は語ります。

「水素技術は世界最大のCO2排出国である中国をはじめ、環境意識の高い欧州各国でも次世代エネルギーとして注目を集めています。今まで実証実験レベルであった家庭用純水素燃料電池も、東京2020大会で初めて導入されます。2050年のCO2排出ゼロに向けて、今後も力強く推進していきたい」