ノウハウ

経理DXの進め方とメリットを解説!
業務刷新と効率化で経理部門を改善

公開日:2023 / 5 / 31更新日:2024 / 1 / 19

新型コロナウイルスの影響や法改正により、さまざまな業種・業界でDXが加速しています。経理部門においては改正電子帳簿保存法で、全ての事業者に対して電子取引データをデータのまま保存することが義務化されました。また、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されることで、今後は経理で扱う書類が増加すると予想されます。

改正電子帳簿保存法とインボイス制度に対応するため、新たに会計ソフトや電子帳票システムの導入や刷新を検討している企業は多いのではないでしょうか。

これまでの経理部門では、大量の紙帳票のなかから必要な書類を探したり、帳票を目視しながらシステム入力したりする作業を繰り返すことが日常的でした。しかしICT技術が飛躍的に進歩した今日、この状況がガラリと変わりつつあります。

本記事では、経理部門のDXについて具体的な道筋を示しています。

経理部門のDXとは

DX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)のもともとの意味は、ICTを浸透させることで人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるということです。これは、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念です。そして、この概念は次第にビジネス面でも重要視されるようになりました。

これまでの経理部門では、大量の紙帳票を扱い、必要な書類はバインダーのなかから探していました。場合によっては、離れた倉庫に探しにいく必要があったかもしれません。経理部門における紙書類のファイリングやシステム入力作業は、会社にとって大切な業務のひとつとはいえ、人件費のかかる単純作業です。また、人為的なミスが避けられません。これらを電子データ化することで、単純作業の負荷から解放されるとともに、正確なデータを早く利用できるようになります。経理業務そのものが、より生産的な内容にシフトされ、より良い変化につながります。こうしたことを実現するのが経理DXだと言えます。

ICT技術が飛躍的に進歩した今日、経理DXの実現により、経理業務の効率化と刷新を目指す企業が増加しました。実現すれば、経理部員は多くの時間を人にしかできない生産的な業務に当てられます。

経理部門のDXを進めるためのステップ

経理DXを短期間で達成することは困難です。特に従業員1,000名を超える規模の企業の場合は、段階的に取り組む必要があるでしょう。絶対的な手順はありませんが、経理DXには次のような流れが妥当と考えられます。

  1.紙帳票のデータ化(ペーパーレス化)

紙帳票のデータ化は経理DXの第一歩です。自社の請求書や領収書、伝票、経費精算時の申請などを、紙からデジタルデータへ変更します。これは、経理DXの最初のステップと言えるでしょう。問題は他社とのやりとりですが、帳票をデータ化して電子取引する企業が増加しているため、理解を得られやすいと考えられます。

  2.転記作業の簡素化・自動化

経理業務には、帳票を仕分けして会計ソフト等に入力する作業があります。この処理を簡単に行えるのがOCR(光学文字認識)ツールです。手書きや活字の紙帳票を複合機やスキャナーなどで読み取り、画像データとしてパソコンに保存したあとに、OCRツールを使ってテキストデータに変換します。

OCRの性能が飛躍的に進歩したことで、画像ファイルのテキスト部分をテキストデータに変換できるようになりました。入力作業から解放されるだけでなく、仕分けの自動化、転記ミスの削減にもつながります。また、原本データ保管という点でも大きなメリットを得られるでしょう。

  3.業務の置き換え・効率化

経理DXが進むことで従来の経理業務が大幅に刷新され、効率的になります。

帳票を電子データとして保存することで、ファイリングしたりデスクや倉庫などを探したり、紙からデータを入力したりする手間と時間を、大幅に削減できるでしょう。仕分け作業やシステム入力作業などに時間を割くことがなくなり、人員の配置転換や新たな業務の創設が必要になるかもしれません。

  4.業務プロセスの刷新

経理DXは、経理業務自体の改善に加え、経営面にもメリットがあります。転記作業やシステム入力などの自動化と迅速化、データの一元管理が進み、業務が大きく刷新されることで、経営状況をリアルタイムで把握しやすくなるからです。

経理DXの実現には、関係部門と連携して業務プロセスを見直していく必要があります。新たにシステムの導入を検討する必要があるかもしれません。そして、それを社内全体のDXにつなげます。

帳簿を電子化し、販売管理システム等と連携することで、ワークフロー全体の電子化が進みます。決済から経理までを社内のコンピューターシステムで処理できれば、バックオフィス業務が大きく刷新できるでしょう。

経理DXがもたらすメリット

経理部門は、大量の帳票を扱う部門です。そのため、ペーパーレス化をはじめとする電子化を真っ先に進めたい部門のひとつと言えるでしょう。人工知能(AI)を搭載したAI-OCRや、経理DXソリューションの導入による業務の自動化と迅速化、自社で採用しているツールとの連携など、経理DXを経営の重要課題と考える企業は多いことでしょう。

経理DXがもたらす恩恵は、業務効率化やコスト削減だけではありません。経営に関するデータの一元管理が可能となり、経営状況をリアルタイムで可視化しやすくなります。結果として、経理部門の経営貢献度が高まることが期待できるでしょう。

  経理業務の負担が軽減される

紙帳票からの入力作業に代えてOCRツールを導入すれば、業務内容は複合機やスキャナーに読み取らせたテキストデータの確認・修正作業に変わり、担当者の負担や手間が大幅に軽減されるでしょう。大抵のOCRは複数の帳票をまとめて確認できるうえ、注意箇所やエラーを表示してくれます。

  紙のファイリングや検索の手間、保存スペースが不要になる

紙書類の保存に必要なスペースが縮小することで、オフィスのダウンサイジングやライトサイジングも可能になります。あわせて、フリーアドレスを導入したり、オフィス空間を刷新したりするなどの職場環境の改善にもつながるでしょう。

電子データであれば、日付や取引先名などから必要な書類を素早く検索でき、メールなどに添付して関係者に送付できます。経営層からの依頼にも迅速に対応できるため、経理部門の貢献度が上がるでしょう。

  働き方の見直しを実現

紙帳票は社外に持ち出すことが難しいため、原本との比較が必要なときに、自宅でできる業務が限られていました。しかし、改正電子帳簿保存法の施行により、原本で見比べる必要がなくなりました。営業社員の経費についても、出張先からスマートフォンでスキャンした領収書データを送ることで、出社したり郵送したりしなくても経理担当者に処理してもらえます。また、経理担当者は、データで受け取ることで請求書や領収書を紙のままため込むことなく順次処理していけます。

そして、出社前提とされていた経理部門までテレワークを実現することで、全社的な働き方の改革につながる可能性があります。

  経営状況をリアルタイムで把握

経理部門には、財務管理や経営状況の報告などの役割があります。経理DXは、業務効率化やコスト削減のほか、経営に関するデータが一元管理・可視化されるため迅速な意思決定につながり、経営面でのメリットが大きい施策です。

自社に合ったOCRツールで業務効率化を図ろう

経営者の多くは、経理部門に経営管理の機能も求めています。そこで、飛躍的に進歩したICT技術を用いた経理DXにより、徹底した合理化を図ろうとする傾向が強まってきました。

もしも経理DXが進まなければ、これまでのように会計処理に大きな労力がかかってしまいます。それでは他社との競争に後れを取るうえ、いずれは取引先とのやりとりに支障が出てくる恐れがあるでしょう。

とはいえ、経理DXの実現のためには取り組むべきことが多々あり、入念な準備が必要です。そのため、他社の事例なども参考にしながら、自社に合ったシステムを導入しなければなりません。

パナソニック ソリューションテクノロジーでは、経理DXを検討され、悩まれている企業担当者さまからのお問い合わせを受け付けておりますので、ぜひ弊社にお声がけください。

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