診断の具体事例

(1)電源ラインの保護

電源ラインに大電流が流れてしまうと、商品が焼損し、場合によっては命の危険を伴います。多くの場合、保護回路を追加するのですが、たまに、誤った部品選定、回路で設計した商品を診ることがあります。例えば、想定した過電流が発生しても、保護回路が動作しないという、恐ろしい事例がありました。これらを未然に発見することで、発煙・発火などのリスクを低減することができます。

突入電流対策
ESD対策
部品選定

(2)ダイオードの選定

ダイオードにはたくさんの種類があり、各々に特徴の違いがあります。しかし、ダイオードの選定を間違えれば、ノイズの増大につながることがあります。ダイオードの特性を理解したうえで、回路に適したダイオードを選定することで、ノイズ増大のリスクを低減することができます。

(3)実装不良

端子とランド間の半田接触面積が小さいなどの実装不良があると、経年劣化により、突然、正常に動作しなくなる可能性があります。また、端子間に異物があると、長年の商品使用によって異物の導電性が大きくなり、焼損などのトラブルが発生する可能性があります。このような肉眼では分かりにくい不具合を、電子顕微鏡などで未然に発見することで、トラブルのリスクを低減することができます。

半田量の不足
異物

(4)トラッキング

長期使用に伴う経年劣化、埃や水の浸入、誤使用や施工不良等、様々な原因により、家電製品は発火する恐れがあります。例えば長期間コンセントに挿したままのプラグでは、電極間に埃が堆積し湿気が入ることにより、トラッキング現象が発生し、発煙、発火に繋がります。このような生命の危険に繋がるリスクを未然に発見することで、安全を確保することができます。

トラッキングによる発火
電源プラグのショート

(5)コンデンサの寿命

フィルムコンデンサや電解コンデンサは、周囲環境により寿命が短くなります。寿命を長くするためには、コンデンサ周辺の設計に配慮すること、想定使用年数に耐えられるコンデンサを選定すること、などが挙げられます。寿命に影響する設計になっていないか未然に発見することで、商品寿命を延ばすことができます

寿命を考慮すべき電解コンデンサ
電解コンデンサよりも長寿命なOSコン

(6)リンギング

リンギングは、特にEMCで問題になることが多いです。リンギングを小さくすることが重要ですが、リンギングの発生要因は様々です。これらの要因が潜んでいないか未然に発見することで、EMCを改善することができます。

リンギングの有無による不要輻射の違い