IOCヤング・リーダーズ・プログラムは、それぞれのコミュニティで実施されている草の根スポーツプロジェクトへのコーチング、資金援助、メンターシップのサポートを通じて、影響力のある若者たちの育成・支援をしています。彼らのプロジェクトの様子を覗いてみましょう！
自身と向き合い、幸福度を高めるアウトドア体験を
私はMhor Outdoorの創設者でディレクターを務めています。スポーツを社会の発展に役立てることに2014年以来取り組んでおり、特にスポーツを通じた平等と融和の実現に関心を持っています。現在はスコットランドに住み、仕事をしていますが、これまで国際的なスポーツプロジェクトやイベントを数多く運営してきました。学生時代は、政治学と中東学を専攻し、英国における登山やハイキングの引率ができる“マウンテンリーダー”と、ノルディックスキーのインストラクターの資格を有しています。
Mhor Outdoorとは
Mhor Outdoorでは、社会的・経済的に困っている人々にもスコットランドでのアウトドア活動を楽しみ、元気を出してもらえるよう、近郊へのハイキングを企画する社会ビジネスを行っています。このハイキングに参加することで、社会への帰属意識を高め、運動やアウトドアでのスキルに対する新たな視点を得られるようになります。そして最終的には、アウトドアでの体験を通じて人々の健康や良い生き方、そして幸福度を増進させることを目指しています。
具体的な活動について
私はこれまでに広範囲にわたる人々に、9回のハイキング体験を提供してきました。多くの場合が、スコットランドの移民制度の舵取り役を担う人、難民認定を受けている人、そして亡命先を求めている人をメンバーとして開催。その他、育児によってアウトドアなどの活動を制限されているお母さんたちや、ホームレスや不安定な居住環境を経験した人々を対象に開催しました。このハイキングをして丘陵地で過ごすイベントは、参加ハイカーたちが将来、また自分自身に向き合うための知識や自信、スキルを身につけることができるよう設計。また、この活動がソーシャルビジネスモデルとしての可能性を探るため、多国籍企業と組んでパイロットプロジェクトとしてのハイキングも実施しました。
私は、プロジェクトの開発や試行錯誤、そして提供に必要な当面の資金確保に注力しており、ウェブサイトの作成やソーシャルメディアアカウント（Instagram）の開設に着手しています。また、アウトドア・コミュニティに呼びかけることで、私たちの目標に賛同してくれた英国全土のアウトドア愛好家の方々から、たくさんのハイキングブーツなどの用具の寄付もいただくことができました。
私が企画したアウトドア・アクティビティの参加者は累計で68名となりますが、その多くは初めて自分の街を離れ、丘陵地に足を踏み入れたという方々でした。半数以上が女性で、80％が社会的・経済的に疎外された生い立ちを持つ人たちです。自分自身に挑戦し、アイデンティティを確かめ、自身と人生をより前向きに捉えることができるようになった参加者たちには、それを誇りに思ってもらうことができました。
今後の展望
世界的なメンタルヘルスの危機ともいえるCOVID-19の感染爆発。前例のないそんな現在だからこそ、私は従業員のメンタルヘルスに与えるアウトドア・アクティビティのメリットに注目してくれる企業と協業し、サスティナブルな事業の展開を計画しており、専業従事者を雇用できるだけの十分な収益を確保したいと考えています。これからも地元の様々なソーシャルサービスプロバイダーや慈善団体と協力して、スコットランドの丘陵地を舞台に、人生を一変させるような経験を通して人々の生きる活力を創出するために働き続けます。そして、アウトドアの分野でさらに広く協業し、現在の社会に存在する様々な障壁に対して人々の関心を向けてもらいたい。それが私の目標です。
