「Global Doc」の導入事例 三菱ガス化学株式会社様

10年にもおよぶ化学製品の研究開発現場

現在約500人の研究者が100のテーマに分かれ研究開発を推進中の同社。「私たちのような化学メーカーは研究スパンが長いのが特徴です。5年以上かかるケースがほとんどで10年ということもあります」(牛膓氏)。

長期間にわたり、さまざまなテーマにおける研究開発の過程で発生した情報が行き交っている同社では、社外のみならず社内での情報セキュリティ対策も強化している。

「原則、社内でのメールのやりとりに関してはファイルを直接添付せずに、『Global Doc』の専用フォルダーに文書を作成してファイルを登録したあと、文書のURLだけ相手に送る運用にしています。文書は3日または10日で消える設定にしており、親展の場合は文書にパスワード設定することもできます」(牛膓氏)。同社の方法をとれば社員同士だからこその安心感からくる“ついうっかり”を軽減できる。

「研究開発の現場ではデータをできるだけ早く正確に記録することが重要」と語る牛膓氏。前述の「研究月報」は、ワークフロー承認後、タイムスタンプが自動付与されて保管される仕組みになっているので、研究の進捗状況・成果を正確に記録できる。このように多数の研究テーマが並行して進み、他社との共同開発も多い同社では、タイムスタンプによる証跡管理・証明機能は権利保護対策のうえでも重要な役割を担っている。

「Global Doc」「Global Flow」の運用イメージ図
月報 タイムスタンプ

「Global Doc」に保管されたワークフロー承認後の文書の中から添付ファイル(Word、Excel、PowerPoint、画像など)だけ自動的に抽出し、PDFファイルに変換。その後、タイムスタンプを押印して、再び「Global Doc」に保管される仕組みになっている

他の研究分野だから気づくこと

技術文書の全社共通管理基盤によって、カンパニーや研究テーマをまたいだ情報の横串検索が可能になった同社。「研究が壁にぶちあたったとき、正面ではなく横から眺めてみると答えが見つかる、ということがあります。他分野の研究にヒントがあることも多いので、少なくとも社内で保有している技術情報に関しては、社員同士がアンテナをはり、キャッチしてほしいですね」(牛膓氏)。

このほか、牛膓氏は社内FAQの活用も促進しており、社内ポータル「Global Portal」からは、株式会社オウケイウェイヴが提供する「OKBiz Answer」を使用した「みんなの掲示板」にシングルサインオンできる設定にした。研究開発のスピードをアップし、高付加価値製品を市場に投入し続けるためには、テーマや部門といった単位に限定しすぎず、技術情報を共有・交換できる仕組みも必要である。

「Global Portal」みんなの掲示板 イメージ図

社内ポータルには、研究開発の過程で必要となるツールやFAQが集約されている。また、研究推進グループを含む各部門からの情報周知の徹底という面でも活躍している

クラウドやAI技術の活用でさらに便利に

同社では現在、オンプレミス環境でシステムを稼動しているが、「数年以内にはクラウドに移行したいと考えています。以前はクラウドに対して抵抗感をもつ人もいましたが、徐々に解消されています。クラウド化することで、管理負担の軽減などのメリットも多いでしょう」と牛膓氏は考えている。

また、「昨今メディアを賑わしている情報漏えい事件は会社としても気にしています。私たちも不要なアカウントはすぐに削除するなど、悪用を防止する対策は講じています。もちろん、ログも管理していますが、将来的にはイレギュラーなシステムの使い方などの異常を検知した場合は、管理者に自動でアラート通知するといった機能ができると便利ですよね。AI技術を用いれば実現可能ではないでしょうか」と牛膓氏は語った。

左:牛膓氏、右:パナソニック ソリューションテクノロジー担当営業

同社本社オフィスにて(写真左:牛膓氏、右:パナソニック ソリューションテクノロジー担当営業)

パナソニック ソリューションテクノロジーでは、システムをより便利に使い、管理者をラクにするための技術の活用方法を同社に引き続き提案していく。

【お客様プロフィール】三菱ガス化学株式会社様

三菱ガス化学株式会社様ロゴ

創業:1918年※1、設立:1951年※1、従業員数:8,034名※2、売上高:556,480百万円※2。3つの研究所と7つの工場、加えて国内外に多数のグループ会社を持つ。「社会と分かち合える価値の創造」をスローガンに、メタノール、過酸化水素、キシレン、電子材料、エンジニアリングプラスチックス、農医薬品、脱酸素剤エージレスなどの開発、製造、加工および販売を行っている。

※1 1918年に江戸川バリウム工業所(後の三菱江戸川化学株式会社)を設立。1951年に日本瓦斯化学工業株式会社を設立。
※2 2017年3月末時点、連結。