AI・技術動向 活用例

「チャットボット」とは?その機能やメリットのキホン

公開日:2022 / 7 / 22更新日:2024 / 2 / 2

近年、さまざまなWebサイトで見かけるようになった自動会話プログラム「チャットボット」。いったいどんなサービスで、なぜ導入する企業が増えているのか。どんなメリットが期待できるのか。「チャットボットのキホン」をお伝えします。

進む働き方改革 カギはテクノロジーの活用

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2019年11月1日現在、労働者は調査対象のすべての産業で「不足超過」。正社員は2011年8月調査から34期連続、パートタイム労働者は2009年11月調査から41期連続でした。多くの企業が人手不足を感じており、限られた人的資源をどのように活用するか、足りない労働力をどうやって補うのか。日々頭を悩ませているのが現状です。

そうした背景から、働き方の多様化を推奨することで業務効率の向上を目指す「働き方改革」が加速しています。同調査でも「働き方改革に取り組んでいる」と回答した事業所の割合は81%を占め、仕事のあり方が大きな転換期を迎えていることがわかります。

では、実際に企業はどのような働き方改革の取り組みを進めているのでしょうか。調査の回答を見ると、ムダな業務の削減、仕事の分担や進め方の見直しなど「業務の効率化を進める」が69%で最多。また「省力化投資(機械化・自動化・IT化)を行う」は約35%に達しています。従来の手法とは異なるアプローチで効率化を探っているほか、さまざまなテクノロジーを導入することで、働く環境を変えようとしている姿勢が伺えます。

人間の業務を代わりに担当「チャットボット」

そうした中、人間の業務を代替する、あるいはサポートするツールとして関心が高まっているのが「AIを搭載したチャットボット」です。近年、企業のWebサイトを訪問すると外部ユーザー向けの問い合わせの窓口として、チャットボットが採用されているケースが増えてきました。

チャットボットとは「チャット(chat=おしゃべり)」と「ロボット(ro“bot”)」を組み合わせた言葉。AIを搭載しているタイプ、していないタイプなど多様な種類があり、その多くは文字によるコミュニケーションを通して、ユーザーとリアルタイムで「自動で会話するプログラム」です。Facebookの「Facebookメッセンジャーボット」やLINEの「LINE BRAIN CHATBOT」など、各SNSがチャットボットサービスを展開。また、iPhoneの「Siri」やAmazonの「Alexa」なども、音声を介したチャットボットに分類されます。

チャットボットは、大きく4つのタイプに分けることができます。まず、1966年に開発された「チャットボットの原型」とされる自然言語処理プログラムから名付けられた「ELIZA(イライザ)タイプ」。主に「聞き役」のチャットボットで、あいづちを打ったり、ユーザーの問いかけを要約したり、聞き返したりして会話します。

また、あらかじめ用意されたシナリオに沿って、ユーザーが回答を「選択」しながら会話を進めていくのが「選択肢タイプ」です。選択するだけなのでユーザーの負担が軽く、利用しやすいのが特長。ただし、シナリオにない質問には答えることができません。

そのほか、やりとりの記録が蓄積されて学習するほど自然な会話に近づく「ログタイプ」や、辞書型のテンプレートを用いた「辞書タイプ(ハッシュタイプ)」があります。

24時間365日対応し、すぐに疑問を解決できる

では、どのようなシーンでチャットボットは活用されているのでしょうか。例えばWebサイトの利用者の中には、膨大なデータの中から目的の情報を自ら探し出すことが難しいという人も少なくありません。また、電話やメールを面倒と感じたり、知りたいことをうまく伝えられなかったりすることもあるでしょう。このようなシーンにおいて、チャットボットは有望なソリューションです。

一方でサービスを提供する側にとっても、そもそも窓口となる担当者が少ないうえに、ユーザーの問い合わせの回数が増えてひたすら対応に追われている、業務時間のオーバーが常態化している……といったケースが多く見られます。
そこでチャットボットが人間の代わりに24時間365日対応し、「多くの人が必要な情報に簡単にたどり着ける」ようになれば、ユーザーの利便性向上はもちろん、サービス提供者の大幅な負担軽減が期待できます。

自治体での導入も増加中

大量の問い合わせに対応しなければならない自治体での導入例も増加しています。例えば総務省が実施した「地方自治体におけるAI・ロボティクスの実証実験・導入状況調査」(2018年11月1日現在)によると、AIを導入した76市区町村のうち、半数を超える43市区町村がチャットボットを活用していることがわかりました。

東京都港区は、英語および「やさしい日本語」の2カ国語による外国人向け「多言語AIチャット」を導入。外国人の生活上の疑問や行政情報の問い合わせなどに自動で回答するサービスを提供しています。岡山県和気町でも、移住希望者や観光客からの問い合わせに答えるチャットボットをWebサイト内に設置しています。

人々のライフスタイルが多様化し、土日や夜間なども対応してほしいというニーズが高まったこと。Webサイトに掲載されている情報量が多く、目的とする情報にたどり着くのが容易ではないこと。こうした声に応えるサービスとして、24時間365日いつでも気軽にアクセスでき、疑問がすぐに解消できるチャットボットは最適というわけです。

「面倒くさい」というイメージだった問い合わせのハードルをチャットボットが下げ、疑問を簡単に解決できるようになることで、ユーザー満足度の向上、顧客接点の強化によるニーズの把握、サービスの質のアップなど、さまざまな効果が生まれています。

コア業務に集中できない「社内ヘルプデスク向け」の現状

上記自治体の例は、外部からの問い合わせをターゲットとしたチャットボット。働き方改革推進の流れを受けて、いま注目度を増しているのが「社内ヘルプデスク支援ツール」としてのチャットボットです。

社内から電話やメールで届くさまざまな問い合わせに対応するのが社内ヘルプデスクの役割。冒頭でもふれたように、企業が人材の確保に苦戦しているいま、社内ヘルプデスク業務は他の業務との兼務しているケースが多く、特に問い合わせが集中する時期などには本来優先すべきコア業務を圧迫しているのが実情です。

FAQやマニュアルを充実させようと思っても、多忙であるためその時間を確保できない。結果、残業せざるを得なくなり、業務時間も延びる。問い合わせへの対応が後手に回ることでクレームなども多くなり、社内ユーザーの満足度も低下する──。そんな悪循環にはまり込んでしまいます。

国内10万人規模の運用実績で回答を幅広くカバーする「WisTalk」

このような社内ヘルプデスクの課題を解決し得る社内向けAIチャットボットとして、導入実績を伸ばしているのが、パナソニック ソリューションテクノロジーが展開するAIチャットボットFAQサービス「WisTalk(ウィズトーク)」です。

特長の一つは、パナソニックグループ全体におよぶ国内10万人規模の運用で培ったノウハウが機能やサービスに生かされていることです。一定規模の企業であれば、業種は異なったとしても、社内ヘルプデスクに寄せられる問い合わせの内容には共通する部分が多く見られます。グループで蓄積した膨大なデータをもとに「経理向け」「人事向け」「法務向け」などのQ&Aテンプレートを用意。汎用性の高い内容で想定される質問を広くカバーしていますので、WisTalkのサービス開始にあたり、導入企業側がゼロからQ&Aを準備する必要はありません。テンプレートは、今後も順次、ラインアップを拡大していく予定です。

SEが導入を手厚くサポート。スタート後のカスタマイズも支援

とはいえ、それぞれの業種や現場には、固有の課題もあるでしょう。「WisTalk」なら、パナソニック ソリューションテクノロジーのSEが事前にしっかりと現場の状況をヒアリングし、「どのようなことに困っているのか」「どんな効果を期待しているのか」、あるいは「導入にあたって何を不安に感じているのか」などを把握。密なコミュニケーションによってサポートしながら、Q&Aデータの作成やテスト・評価・チューニングなどを経て、短い期間でスタート可能です。

運用を開始してもすぐにサポートが終了するわけではありません。より「WisTalk」が導入部門にフィットできるよう、機能や活用法を熟知したSEが、スタート後も引き続き「WisTalkの成長」を支援。実際の利用状況やユーザーの反応、新たに生まれた要望などをふまえて、導入企業様にていねいに寄り添うことで、回答精度を磨き上げていきます。

柔軟なカスタマイズを実現できる理由は、WisTalkが採用している「エンジン」を自社開発していることにあります。このエンジンは、AIの対話技術を競う国際的なコンテスト「DSTC5 2016」(Fifth Dialog State Tracking Challenge。GoogleやMicrosoftなどが組織委員を務める)で1位を獲得。非常に優秀なエンジンを自社で有しているからこそ、「導入企業・部門ごとの最適化」に近づけていけるわけです。

進化を遂げた最新版がリリース。「温かみ」ある対応も可能に

2020年3月、「WisTalk バージョン7.0」がリリース。いくつかの新機能が加わりました。Googleの自然言語処理技術「BERT」の搭載による「感情分析機能」によって、質問者の「怒り」や「イライラ」を検出。画一的で機械的な対応ではなく、ユーザーの反応を見極めて「申し訳ありません」のひとことを会話に挿入するなど、より温かみのあるコミュニケーションを実現します。また、「正答率」「満足度」「質問件数」などをグラフィカルに表示してWisTalkの利用状況を「見える化」する「ダッシュボード機能」も登場。Q&Aの改善を効率化します。

そのほか、導入部門ごとにQ&Aを編集できる「アカウント管理機能」や、質問文に含まれる5W1Hの単語をAIがタグづけし、その情報からQ&Aを絞り込んで表示する「自動タグ付与機能」(BERT搭載)も追加。また、チャットボットで解決できないケースはオペレーターによる有人チャットに切り替える機能も加わりました。

社内からの問い合わせ件数が半減した例も

WisTalkを導入した「パナソニック株式会社 コネクティッドソリューション社」の経理部門では、月間で約440件もあった問い合わせが半数以下の約200件に減るなど、大幅な業務負担の軽減に成功しました。こうしたグループ内での実績がWisTalkのノウハウを形成しており、グループ外のさまざまな企業の社内ヘルプデスクでも活用されています。

例えばA社の経理では「固定資産計上と費用処理の判断基準を教えてください」「出張パックの精算に必要な書類は何ですか?」、B社の人事では「年末調整について教えてください」、C社の人事では「退職後の住民税の納付はどうなりますか?」。情報システム部門なら「突然、メールが受信できなくなりました」「Office 365の自分のプロフィールを変更したいです」などが代表的な質問として挙げられます。ひっきりなしに寄せられる「よくある質問」のほとんどに、WisTalkは対応可能です。

次回の記事では、導入企業の「生の声」やパナソニック ソリューションテクノロジーによるサポートの詳細をご紹介します。

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社内向け用途(BtoE)3年連続シェア1位のAIチャットボット「WisTalk」
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※ 出典: ITR「ITR Market View : ビジネスチャット市場2022」

  • チャットボット市場 - BtoE用途 : ベンダー別売上金額シェア (2020年度~2022年度予測)

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