オルガノ株式会社様
多様で柔軟な働き方における働き過ぎの抑止をクラウドファーストで実現
オルガノは、大型水処理プラントの建設・保守・運用を手掛ける水処理エンジニアリング事業と、水処理関連の機能商品事業を主力とする、総合エンジニアリング企業です。成長を続ける同社では、経営基盤をより強固にすべく、パナソニック ソリューションテクノロジー(以下、パナソニック)の長時間労働抑止システム「Chronowis(クロノウィズ)」を採用。働く場所の柔軟性を確保しながら、従業員の業務時間外労働を管理・制限するための環境を整えています。
オルガノ株式会社様
| 【本社所在地】 | 東京都江東区新砂1丁目2番8号 |
|---|---|
| 【社長】 | 山田 正幸 |
| 【設立】 | 1946年5月 |
| 【従業員数】 | 1,142人(2024年3月末時点) |
| 【事業内容】 | 水処理総合エンジニアリング事業 (水処理関連のプラント建設・ソリューション・機能商品事業) |
導入前の課題
- 在宅勤務制度の導入に伴いリモートワーク時のPCの利用時間管理がしっかりと行える仕組み(以下、PC利用管理システム)が必要になった。
- クラウドファーストの方針のもとPC利用管理システムもクラウド化したかった。
- 社用PCのWindows 11への移行を段階的に行うために、Windows 10と11の混在環境に対応できるPC利用管理システムが必要だった。
導入後の効果
- 出社時だけでなくリモートワーク時のPCについても利用時間管理がしっかりと行えるようになった。
- PC利用管理システムのクラウド化と「Microsoft Entra ID」(旧Azure AD)などへの対応が実現された。
- PC利用管理システムによるWindows 10 / 11の混在環境への対応が実現された。
従業員の能力を引き出す「働きやすさ」を追求
オルガノ株式会社
経営統括本部 人事部長
三好 譲氏
オルガノでは近年、働き方改革に精力的に取り組んでいます。
その目標について、同社の経営統括本部 人事部長の三好 譲氏は次のように説明します。
「働き方改革で当社が目指しているのは、従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる快適な職場づくりです。そのためにデジタル技術による業務の効率化や働き方の柔軟性を確保し、同時に従業員の労働時間を適正に把握することにも努めてきました。これは、事業が拡大する中で、従業員の働き過ぎを抑制するうえでも、コンプライアンスを確保するうえでも大切な取り組みといえます」
浮上した労働時間管理を巡る問題
働き方改革に取り組む中で、同社は従業員の職務や事情に合わせた柔軟な勤務制度を確立させてきました。例えばフレックスタイム制度として、コアタイムを持つ標準タイプだけでなく、顧客の要望に応じて業務をこなすことの多い水処理プラントの施工管理や試運転業務担当者などのために、コアタイムのない完全フレックスの制度も用意しています。また、諸事情によりフルタイム勤務が難しい従業員のために時短勤務の制度を設けているほか、業務効率化を推進できる働き方を実現する手段として月10日間を上限にした在宅勤務制度も導入しています。
オルガノ株式会社
経営統括本部 人事部
平井 一樹氏
こうした中で浮上してきた課題の1つが、PC利用時間の管理です。これまで使用してきたシステムではリモートワークにうまく対応できませんでした。経営統括本部 人事部の平井 一樹氏は当時をこう振り返ります。
「当社は2019年に、かねてより使用してきた勤怠管理システムに加えて、PCの利用時間を管理するシステム(以下、PC利用管理システム)も導入し、『申請のない業務時間外でのPC利用を強制シャットダウンで抑止する』という施策を打ってきました。ただ、その管理システムは出社時の社内ネットワークでの使用を前提にしたもので、リモートワーカーによるPC利用時間の管理がうまく行えず、在宅勤務制度を導入した当社にはフィットしませんでした」
この問題について経営統括本部 情報システム部の小口幹太氏はこう説明を加えます。
「旧来のPC利用管理システムは、当社の推進するクラウドファーストの方針にも合致していませんでした。当社では業務に使う全システムを原則クラウドにするという方針のもと、旧来のPC利用管理システムが連携していたMicrosoft ActiveDirectoryもクラウド版のMicrosoft Entra IDに切り替え、クラウド型のID・アクセス管理ツール(以下、IAMツール)と連携させてシングルサインオン(SSO)を実現しようと考えていました。旧来のPC利用管理システムだとその環境に対応できなかったのです」
Chronowisが柔軟な働き方やクラウド戦略と合致
以上の問題を解決すべく、同社はPC利用管理システムの刷新に乗り出しました。その中で新システムの要件として「PCシャットダウンなどの長時間労働抑止の機能を備えていること」「残業申請/承認が簡単に行えること」「多様な勤務パターンに対応できること」「クラウド型のシステムであり、 Microsoft Entra IDやIAMツールとの連携が可能であること」といった事項を定めました。そして、その要件を全て満たすシステムとして選ばれたのが、Chronowisです。
本製品を選んだポイントとして平井氏は
「Chronowisの導入で、スマートフォンによる残業申請/承認が可能になる点が大きかったです。というのも、従来は残業申請/承認がPCでしか行えず、営業職や客先現場勤務の技術職のようにPCを業務中に開く機会が少ない従業員には不便な仕組みだったからです」
と明かし、こう続けます。
「オルガノの旧来環境(Windows 10 + Active Directory)と新環境(Windows 11+Microsoft Entra ID)の双方にChronowisが対応できる点も評価しました。これにより、新旧環境の入れ替えが無理なく段階的に行えると考えました」
オルガノ株式会社
経営統括本部 情報システム部
兼 オルガノアクティ株式会社
情報システムセンター
小口 幹太氏
こうしてChronowisを選択した同社は、その実効性を社内的に証明するためにPoCを実施しました。この検証では、先に触れたPCの新旧環境やIAMなどを使いながら、社外にあるPCや社内ネットワーク上にあるPCに対し、Chronowisの仕組みが問題なく機能するかどうかを確認しました。
「今回のPoCはなかなか骨の折れる検証で、通常ならば2~3ヵ月間を要するようなものでした。それが、パナソニックの全面的な協力のおかげで、わずか数日でPoCを終え、Chronowisの実効性に確信を持つことができました。また『従来システムからChronowisに変えて問題は起きないだろうか』と心配する社員もおり、そういった方々に安心してもらうのにもPoCは有効でした」
PC利用時間の可視化により従業員の意思改革への期待が膨らむ
同社は、2024年9月にChronowisの使用を開始しました。本製品の使用方法として、例えば本社勤務(午前9時始業)の従業員に向けては、終業定時(17時15分)の15分後から10分間隔で「申請がないと、あと○○分後にPCをシャットダウンする」とのポップアップメッセージを送信。それでも申請がない場合には終業定時の1時間後である18時15分にPCを強制シャットダウンしています。また、勤怠管理システムに記録された出退勤データとChronowisのPC利用記録データを人事部が月次で集計・突合し、両データの乖離(かいり)が一定水準を超えている従業員と、その上司に対して、乖離の理由を確認するメールを送付しています。
さらに同社は、Chronowisが収集したPCの利用記録について、管理職者のみならず従業員各人が自分の記録を自由に参照できるようにしています。
「PC使用に関する自分の記録を自ら確認できるようになることで、自分の労働時間を自ら管理し適正化しようとする意識が強まり、それが各人の成長につながればと願っています」
と、平井氏はこの可視化の効果に期待を寄せます。
この言葉を踏まえつつ、三好氏はChronowisへの評価をこうまとめます。
「残業は必ずしも悪ではありませんが、会社には従業員の健康とコンプライアンスを守る義務があり、働き方の柔軟性を確保しながら、従業員の労働時間を把握して働き過ぎに待ったをかけることも大切です。Chronowisによって、そのための仕組みが強化されたことは、意義ある変化と見ています」
※ 本文中に記載されている内容は、2024年12月の取材時点のものです。